東京空襲の孤児調査(行方不明)
 
 とても常識では考えられない異常事態が起きていたのである。 3月10日の空襲では、自分の親家族はどこへ逃げ、どの場所で、どんな状態で死んでいったのか、それもわからない。東京空襲死者の8割以上が行方不明(身元確認できない)になっている。身元不明になった遺骨が10万人以上あるが、遺骨があっても誰の遺骨が判明していないため、遺族は現在まで遺骨さえ手にできなかったのである。
 1993年の孤児22名のアンケート調査で、神戸市2名、松山市1名の孤児の親の遺体は判明しているが、東京都の孤児19名の親および家族の空襲による死亡者は85名、その内、遺体が確認でき親族にひきとられ遺骨のある者はたったの10名である。
 
   75名が遺体もなく遺骨もない。行方不明になっている。
  孤児の死者数調  (1993年 孤児22名)  *=東京以外
  氏名  出身地 学年 男女 居場所 死 亡 遺体確認 遺体不明
(1)  浅草区 小6 集団疎開  2
(2)  深川区 小3 集団疎開  1
(3)  深川区 小4 集団疎開  1
(4)  浅草区 小1 空襲下  −
(5) *神戸市 小5 縁故疎開  2
(6)  浅草区 小6 集団疎開  0
(7)  浅草区 小6 集団疎開  0
(8) *松山市 小5 縁故疎開  1
(9)  浅草区 小6 集団疎開  0
(10)  浅草区 小6 集団疎開  0
(11)  目黒区 小6 縁故疎開  0
(12)  浅草区 小3 縁故疎開  0
(13)  深川区 小6 集団疎開  0
(14)  深川区 小6 集団疎開  0
(15)  深川区 小3 集団疎開  1
(16)  深川区 小5 集団疎開  1
(17)  浅草区 小6 集団疎開  0
(18)  神田区 高女1 空襲下  2
(19) *神戸市 小5 集団疎開  6
(20)  本所区 小4 集団疎開  0
(21)  浅草区 小3 集団疎開  2
(22)  本所区 小4 集団疎開  0
浅草区は現台東区 深川区は現江東区 本所区は現墨田区