Kawasaki GPZ900R
トップガン仕様&トム

(2012年3月〜4月)


 古い作りかけのプラモデルを引っぱり出した。
 モノは「Kawasaki GPZ900R 輸出仕様」。
 作り始めたのは映画「トップガン」を観て何年も経たないウチなのでもう20年ほどになるだろうか...
 トップガンでトム・クルーズが乗っていたGPZを作ろうとカウリングやタンクを塗装し、ステッカーをそれらしく貼ったところでとん挫してしまい、部屋の隅でホコリをかぶってしまっていた。

<キットのパッケージ>
 これがキットのパッケージだ。
 年月で箱は黄ばみ、傷みも激しいが20年もの間ほとんど開けていなかったので中身は作り始めた頃の状態をほぼ維持していた。
メーカーはアオシマ、縮尺はオートバイモデルでは定番の1/12。
 「輸出仕様」としか書いていないがカラーリングからすると91年モデル(A8)のようだ。
 トップガンでトムクルーズが乗っていたのは85年モデル(A2)とのことなのでかなりの違いがありそうだが、当時GPZのプラモデルといえばこれしかなかったんだろうなあ...



<引っぱり出したきっかけ>
 およそ20年ぶりに引っぱり出し、完成させようと思ったきっかけは...
 何気なくインターネットを見ていたら、こんな「トップガン仕様GPZ」が発売されているのを知り...
 そんなのを見ていたらなにやらファイトが湧いてきて「標準仕様改造トップガン仕様GPZ」を完成させたくなったってわけ。
 まあ、至れり尽くせりのこのプラモで作るより工夫して「改造」しながら作った方が面白味もあるってもんだ。
 と、自分に言い聞かせながら...



 余談だが...
 先日、結婚した娘の住む山形に出向いた際、山形駅近くに大きな模型屋さんがあったので中に入り、陳列棚を眺めてみた。
 トップガン仕様のGPZも並べられていた。価格は3700円ほど。
 人気車種なのだろうか...GPZ900Rも年式別にかなりの種類が並んでいた。
 ノーマルの85年型(A2)もその中にあり、価格は2400円ほどであった。
 同じ型なのに「トップガン仕様」というだけで1000円以上高いなんて...
 最近、とみに思うがプラモデルが大変高価なホビーになってきた気がする。
 子供がもっとプラモデルに目を向けるようにし向けるならもっと安くないと...
 昔(2〜30年ぐらい前)に比べると値段、4〜5倍にはなっているな...
 飛行機好きの息子に1/72の零戦やP51を作って上げたとき、200円ぐらいだったからなあ...
 でも、この模型屋さん、結構子供や若者が出入りしていて懐かしい雰囲気だった。



<バイクを完成させる>

 さて、とりあえず作りかけのバイクを完成させよう。
 「作りかけ」といってもカウリングやタンクの塗装とステッカーの貼り付けぐらいでほとんど初期状態だ。
 オートバイモデルは細かなパーツをかなりの数組み付けていくので総ての工程を記述するとあまりにも長くなり過ぎる。
 プラモデルだから基本的に説明書の指示通り組み立てていくので前半部分は省略してある程度形になったところから説明していくことにしよう。

<リヤフェンダーのカット>
 説明書の指示通り組み立てていくうちにリヤフェンダーの長さの違いに気付いた。
 トップガン仕様はキットのものと違い、リヤフェンダーが短く、ナンバープレートの下端やや下あたりで切れているのだ。
 リフレクターの塗装まで進めていたが気付いてしまったからには、ここは思い切ってカット。
 右側にカットしたリヤフェンダーの先端部分がある。
 資料を調べてみると確かにA2は短いフェンダー、86年型(A3)〜90年型(A7)までは長いフェンダーだが、91年型(A8)はまた短いフェンダーに戻っているはずなのだが...
 このキットはA7の車体にA8のカラーリングということなのだろうか?
 当時GPZのプラモデルといえばこれしかなかった...ということで、メーカーの仕様検討もそこまで綿密ではなかったのかも知れない。



<フロントフォークのディテールアップ>
 フロントフォークにはNS500でも行ったアルミホイル裏面を巻き付けてディテールアップした。
 また、カウリングを付ける前のこの時点でエンジン廻りの油汚れと土埃のウェザリングを施しておく。
 油汚れはエンジン廻り全体でウェスの入りにくいところを重点的にごく薄めた艶消し黒を吹き付ける。
 不要部分は下地の塗料に影響が出ないようティッシュや綿棒で素早くふき取る。
 土埃は、やはりごく薄めたフラットアース(タミヤアクリル塗料)で下からを重点的にエアブラシで吹き付ける。
 この時点での土埃は「あっさり」でOK。
 カウリングなどを組み付けてからもう一度最終的なウェザリングを施すからだ。



<ウィンドシールド>
 アッパーカウルにヘッドライト、ミラーステー、ウィンカーステー、ウィンドシールドなど細かなパーツを接着する。
 ウィンドシールドはカウルへの取り付け部に裏から艶消し黒で、さらに周囲を黒で塗装するので、はみ出しのないように注意深く面相筆で作業を進める。



<リヤカウルの組み付け>
 塗装済みのリヤカウルを組み付ける。
 塗装とステッカー貼付は作り始めの際にやってあったので20年前のものだ。
 当時はPCも普及していなく資料といえば雑誌やビデオ(VHS)ぐらいなもの。
 映画と全く同じステッカーの写真や鮮明な画像など手に入らない。
 現代のようにインターネットから画像を拝借...なんて夢のような時代なのだ。
 雑誌などで似たようなステッカーやワッペンの写真を捜し、縮小カラーコピーする。
 そんなわけでステッカーは実物通りというわけには行かないが「雰囲気重視」といったところ。
 まあ、それはそれでいいだろう。
 赤と黒の境目の線は白いカッティングシートを細く切って貼り付けた。



<外装パーツの組み付け>
 カウル類、タンク、シートやアシストグリップなど外装のパーツ類を組み付ける。しかし、ここで...
 ん?...待てよ...
 冒頭の「トップガン仕様GPZ」のパッケージを見るとタンクの赤い部分には3枚のステッカーが貼ってある。
 映画のビデオ(DVD)をもう一度よく見直してみると、どうやら3枚貼ってあるようだ。
 ここは、私の観察不足と反省し、追加で3枚目を貼ることにした。



<ステッカーの検証>
 その他にもロワカウル黒い部分のステッカーがパッケージの絵では無い。
 これも映画を何度も見直してみたところ、左の写真(赤○部)の通り、どうやらこれは貼ってある方が正解のようだ。
 これは私の観察が正しかったとほくそ笑みながら貼ったまま製作を継続。
 その他タンク上部、リヤカウル最後方に2枚、当時気付かなかったステッカーが貼ってあることが判明し、追加で貼ることにした。



<追加ステッカー貼り付け完了>
 そしてステッカーを総て貼り終えたのがこの写真。
 当時と違って画像も入手しやすく思い通りの大きさでプリントアウトもできる時代なので追加はそれほど苦労しなかった。
 写真ではよく判りにくいがミラー面はアルミホイルのオモテ面が貼り付けてある。
 「鏡同様」というわけにはいかないが、塗装よりはマシだろう。




<バイク完成>
 そしてキットには入っていないフロントカウルの赤い部分とリヤフェンダーのサイドにあるリフレクターをプラ板で作って貼り付け、カウル類を付けた状態で、再びフラットアースで土埃のウェザリングを施す。
 これでバイクについては概ね完成だ。
 しばらくこのまま飾っておいて、ピート・マーヴェリック(トム・クルーズ)の製作に入っていこう。





 さて、どのシーンで作ろうか...


やっぱり、どうせ作るんならこのシーン以外にないでしょ。
トムのヘアーがオールバックなのがいまいちだけど....


<トムのフィギュア作成開始>
 バイクの方、塗料が乾くのに最低でも数日はかかるので出来れば触らず飾っておきたいのだがフィギュアを乗せるとなるとこのようにまたがせながら形を整えなくてはならない。
 指紋がついたり、どこかを壊したりしないように注意深くフィギュアの形状を整える。
 フィギュアの材質は定番のスーパースカルピーだ。
 バイクにまたがらせた形で作るには部分部分で作るわけにはいかない。
 ほぼ全身を作って形を整え、オーブンで焼くが、焼いている間に材料の重さで形が変形してしまうのだ。
 最初の焼き段階では変形が極力少なくなるように針金や不要ランナーなどで、建築で言うならいわゆる「筋交い」ようなものを刺してオーブンに入れた。
 その穴埋めや微修正を施して、何度か焼いたので足先などは少し焦げているが、後ほど色つけをするのでOKだ。




 後方からのカット。
 未着色の状態だと少し大柄に見えるが168cmというトムの身長から1/12で立っている状態の身体を作り、それからポージングさせているので仕上がりを信じて作業を進めた。
 ジャンパーからはみ出たTシャツも再現。




 傍らではレイバンのサングラスを作成する。
 フレームはランナーを熱で伸ばしたほそーいプラ棒。
 レンズはよくお店でぶら下げて売られている小物の入っていたポリ板の曲面部分だ。
 デザインナイフで同じ形状に2枚切り出す。
 曲面なので結構難易度の高い作業だ。
 クリアブルーをレンズにたらし、流れないように挟んだ万力を斜めにしてレンズ面自体を水平に保って乾燥させているところ。
 このあとシルバーでフレームを着色する。



<トムを仕上げる>
 全体にサーフェーサーを吹き、着色してジャンパーにワッペンを貼って、トムのフィギュアも仕上げ段階だ。
 インターネットが普及した現代では資料も豊富で、ほぼ実物通りのワッペン画像が手に入った。
 入手した画像はPCで回転させたり変形させたり切り張りをしたりしてほぼ正面から見た形を作り、大きさを考慮しながら印刷してにじみが出ないように表面を透明シートでコーティングする。
 両面テープを裏に貼り、丁寧にカットしたあと切り口をサインペンで黒くして厚みを目立たなくし、一枚完成といった具合だ。
 傍らには無造作に置かれたレイバンのサングラスが...
 右手はバイクにまたがらせるときに付けるので別途作成。




 後方から...
 ジーンズの色再現が結構難しかった。



<第二次暫定完成>
 レイバンのサングラスをかけ、右手も付いてバイクにまたがり、暫定完成だ。
 この状態でひと月ほど飾っておき、塗料が完全硬化したら最終の仕上げとなる。
 スタンドを上げて地面にタイヤを固定して疾走する「トップガンNinja」になる予定だ。




 そして完成...


スタンドも上がり、疾走するピート・マーヴェリックだ...