横田基地の動き
1998年11月三多摩労連池田吉人
横田基地の動き
横田基地をはじめ、在日米軍は、世界的軍事力をひきつづき維持し、朝鮮半島とペルシャ湾で同時発生する紛争に対応するという国防戦略ににもとづき、海外遠征軍に変貌している。98国防報告では、在日米軍は、「アメリカの戦略の要(リンチピン)である」と規定されている。
<横田基地の特徴その1 海外遠征の出撃拠点>
この1月横田、厚木、三沢で行われたNLPは、イラクヘの軍事制裁に参加するための空母艦載機による訓練で、これまでの慣習を無視し、土日返上、深夜まで続けられ、史上最高の1日500飛行を記録した。まさに海外出撃のための訓練であった。あの91年の湾岸戦争では、横田基地からは10機のC130輸送機が出動したが96、97年のイラク攻撃作戦にも、C9患者輸送機と医療部隊が参加している。11月16日に再びイラク攻撃が準備され回避されたが、16日未明に大型輸送機が発進(15日午後11時、16日午前1時、4時)するという事態も起きている。
横田基地第374空輸航空団司令官アランプライディング大佐(現在司令官交代)は、98年テレビ東京のインタビューの中で「我々の輸送機は、韓国、グァム、日本、アラスカ、アメリカ本土、インド、バングラディシュ、オーストラリアまで飛行している。いざとなれば世界中へ出動する」と述べている。アメリカの輸送基地としての横田基地の位置づけは、「横田はアメリカ本土とアジア、中東のもっとも大きなハブ空港」と述べている。これらは、横田基地が海外遠征の「自由出撃拠点」として使われていることをしめすものである。基地内では、毎年3回「ビバリーモーニング」と呼ばれる即応体制演習が行われている。
この演習は、横田基地のすべての部隊が参加し行われ、NBC(核・化学・細菌戦争を想定)訓練や輸送、補給訓練なども含まれている。
この2月に演習では、アメリカ本国から来る兵力を受け入れるための訓練がおこなわれている。同時に米韓合同演習「フォーイーグル97」では朝鮮半島での戦闘有事を想定したソウルからの横田基地への脱出訓練も行われている。
また、海外部隊受け入れのための125室を持っ宿泊施設もおもいやり予算でつくられようとしている。
空軍の緊急展開部隊としてつくられた航空遠征軍部隊(イラク攻撃参加)は、イラク作戦のローテーションが組まれ三沢(F16戦闘機)、嘉手納(F15戦闘機)からイラク作戦に参加している。これらは世界各地の紛争にどこへでもいく「なぐり込み部隊」である。(作戦ではF15が制空権を確保、F16が敵のレーーダー基地、ミサイル基地を破壊し、地上爆撃となる)この訓練に欠かせないのが超低空飛行訓練である。また、戦闘機をフェリーし(空中給油をおこなう)のが、KClO,KC135空中給油機であり.、これらの空中給油機が横田に駐機する回数は以前より増えている。空軍は、この4月20日に戦後はじめて空軍演習を行い、三沢(F16部隊)、横田(C130輸送機部隊)、嘉手納(F15部隊)が参加し訓練を行っている。これも本格的な航空遠征軍部隊編成と大きな関わりをもつと考えられている。まさにこれらは、「基地国家日本」の実態を示すものである。
横田基地は事実上の日米統合総司令部10万の部隊運用
横田基地は、ガイドラインの下日米共同作戦の統合司令部として運用される。
この2月に行われた、日米統合指揮所演習「キーンエッジ98」では、米本国から湾岸戦争で使用した大型コンピュータセット60台を持ち込み海上で370キロ四方の状況をつかみ日米十万の部隊を動かす訓練を行う。これがガイドラインで言う「日米共同調整所」となり統合司令部を平素から準備する訓練と言える。欧州や中東、東南アジアなどでの有事に際し、米軍が同盟国との共同して戦えるための訓練である。この訓練は、横田、防衛庁、座間、府中、横須賀などの自衛隊米軍を結んで行われた。
尚、小牧基地から米軍と自衝隊による航空部門に於ける軍事交換も行われている。
<警戒態勢>
米軍は、8月のスーーダン、アフガニスタンミサイル攻撃から、基地警戒態勢がとられている。警戒態勢はその後、韓国大統領、米国大統領訪日にともない警察を動員しての周辺道路含む検問体制がひかれている。これまでに例がないが周辺住民向けの警察からのおねがい(警戒態勢をとること不審者通報など)が文書で配布されている。また、基地第2ゲート内に、臨時待機所が5軒、機動隊バスも常駐された。これらは、有事の際に基地の治安を警察が行うことと、基地周辺は厳戒態勢が敷かれることを示している。
<思いやり予算で建設ラッシュ>
第2の特徴は、思いやり予算を中心とするによる建設ラッシュである。18人学級をめざすための中学校の新設、69億円かけてのショッピングセンター建設、室内プール、パーティー会場改修等である。また、98年3月19日に第374医療群、航空医療輸送小隊に滞在施設が増設された。この施設は、航空医療一時入院施設でこの施設の完成で太平洋地域で一番大きな施設となった。
<増える基地被害>
昨年の横田基地の飛行回数は、14364回である。97年度の横田基地での夜間(22時から6時まで)飛行は、135回であるっ 日米合同委員会合意ができ22時から6時まで飛行禁止、地上活動の禁止となっているが依然と深夜早朝の飛行がおこなわれている。
また、これらに加え、1月、6月、9月とNLPも強行され騒音被害は拡大している。また、基地被害は、航空機の騒音被害だけでなく、基地内での「身障者体育祭」に参加するための自衛隊戦闘機による青海市内旋回飛行、基地内ポンプステーーション付近での燃料漏出事故など、また、緊急着陸事故なども起きている。これらは自治体に公表されるものとそうでないものがあり、自治体の不安をいっそう拡大している。さらに、最近基地内のごみ処理施設からのダイオキシン発生への不安も住民から寄せられている。
<自治体も不安>
基地問題は、都、周辺自治体行政サイドにとってさけて通れない問題である。新ガイドラインの具体化により自治体への負担・協力が義務づけられようとしている。これに対し、これ以上の基地強化、病院など民間施設が使われることなどに対する不安が高まっている。
基地騒音問題については、東京都、5市1町で構成する周辺市町連絡会は、政府に対しNLP全面禁止と新ガイドライン具体化に関する情報提供を再三要求している。東京都議会はこの3月NLP全面禁止と横田・厚木騒音対策など求める決議を全会一致で採択。東京都は、航空機飛行状況、高度などの調査を行うことを平和要求交渉で明らかにした。
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