在日米軍基地とは


◆在日米軍基地とは

 日本に置かれている127ヵ所の米軍基地の内54カ所が米軍専用の基地で残りが日米共同使用の基地です。 基地の所在は沖縄に7割を占め、首都圏(東京・神奈川・埼玉など含む)にも集中しています。
 在日米軍基地の総面積は1,010,123,000平方メートルです。大阪市や名古屋市よりはるかに広く東京23区の半分ほどになります。東京都内にある米軍基地(横田、大和田、柚木、府中、赤坂プレス、ニュー山王、多摩、硫黄島)の総面積は約1,603ヘクタール、東京スタジアム約370個分の広さです。 今や、在日米軍基地は米国にとって、単なる海外軍事基地という範ちゅうを超えて、本国と同様のかけがえのない戦略上重要な基地となっているのです。

◆在日米軍とは

 ここではまず「在日米軍」とは何かをはっきりさせる必要があります。
 実は米軍の部隊編成で「在日米軍」という部隊は存在しないのです。では「在日米軍」とは何かといえば、「米軍であって、日本の領土・領空・領海に存在するもの」をいうのです。従って、日本の領域から離脱するとその米軍は「在日米軍」ではなくなります。これが正確な「在日米軍」の定義です。このことをはっきりさせたうえでのことですが、現実には米軍の陸軍、海軍、空軍、海兵隊の諸部隊が日本領土に駐留していることも確かです。
 これらの部隊にはそれぞれ直接にその部隊に対して指揮権を持つ司令部が存在しており、軍としてのオペレーションはその上部司令部の指揮の下に実施されているのです。たとえば第5空軍は米太平洋空軍司令部(ハワイ)の指揮下にあり、第7艦隊は米太平洋艦隊司令部(ハワイ)の指揮下にあります。ですから指揮権がそれぞれ違う諸部隊が日本に「混在」しているというのが実態です。これらの諸部隊に対して在日米軍司令官は指揮権を持っていません。ですから在日米軍司令官はこれらの部隊間の調整が一つの任務となります。
 また、日米地位協定の運用上の問題が起これば(たとえば事件、事故)、その対処が任務となります。この点で在日米軍全体のトップとして、在日米軍を代表しているのです。さらに外交的には国務省の在日米大使がアメリカ合衆国を代表しますが、その意味でいうと在日米軍司令官はペンタゴン(米国防総省)の代表ということになります。
 また通常は在日米軍全体のオペレーションについて指揮権はないと述べましたが、例外的に、純粋な形態での「日本有事」の場合には、在日米軍司令官は日本に駐留する米軍全体に対する指揮権をもつとされています。しかし、こうした事態はこれまで一度もないのが現実です。(次号に続く)
頻繁に起きている米軍の凶悪犯罪で、「日米地位協定」が問題視されていますがこの「日米地位協定」運用に関して米政府と日本政府との調整役が在日米軍司令部です。 「日米地位協定」の正式名称は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(1960年6月23日発効)と言い、日米合同委員会で協議されています。

◆日米共同作戦の立案

 在日米軍司令部には、もう一つの役割があります。
 それは日米安保条約第5条に基づいた「日米共同作戦」のけいかく立案です。
 日米共同作戦が適応されるのは日本が直接攻撃を受けた場合の「日本有事」と限定されていましたが現在では、日本に配備されている米軍への攻撃や以下の周辺有事とされる@米軍が日本周辺で戦争を起こしているとき米軍基地への攻撃、A米軍が日本周辺で戦争を起こしているときに米軍の艦船、戦闘機が日本領土内で攻撃を受けた場合も含まれます。
 これらの条件によって日米共同作戦は成立し、日本の自衛隊も参戦することになります。こうした事態を踏まえた「日米共同作戦」計画が在日米軍司令部によって立案されているのです。

 
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