日米共同統合実動演習


 陸海空にわたる米軍と自衛隊による日米共同統合実動演習が11月2日から16日まで、日米あわせて約2万人の参加で実施されます。同時に約4万人の規模で、米海軍と海上自衛隊との共同演習が同5日から12日まで計画されています。沖縄の米海兵隊による実弾砲撃演習も、先発隊が同10日から演習場入りして30日まで続けられ、約1カ月にわたって日本列島がまるごと演習場となります。

 日米共同統合実動演習には、11月2日まで米韓合同演習(フォール・イーグル)に参加している空母キティホーク、ミサイル巡洋艦チャンセラーズビル、同モービルベイ(いずれも母港は神奈川・横須賀基地)が参加します。

 米韓合同演習に参加している上陸作戦用のドック型揚陸輸送艦ダビューク(母港は長崎・佐世保基地)が11月7日から12日まで、霧島演習場に近い鹿児島港に寄港することも明らかになっています。

 日米共同統合実動演習では、韓国のクンサン基地所属の米空軍第8航空団のF16戦闘機部隊6機と人員約百人が、航空自衛隊の小松基地(石川)に展開。米韓合同演習では、米第7艦隊旗艦の揚陸指揮艦ブルーリッジが、横須賀にいながら、通信衛星などを使った「艦隊戦闘実験」を指揮・統制することも明らかになっています。

 日米共同統合実動演習は、岩手山演習場(岩手)、霧島演習場(宮崎・鹿児島)、大矢野原演習場(熊本)、北海道大演習場および日本周辺海空域でおこなわれますが、その特徴は新ガイドライン(日米軍事協力の指針)で強調されている民間空港の利用や民間業者の動員などかつてなくすすんでいることです。

 霧島演習場などで初めて実施される日米共同演習では、訓練に参加する沖縄の米海兵隊の先遣隊第1陣が24日、民間航空機で鹿児島空港に到着。自衛隊の車両に先導されながら、米軍がチャーターしたレンタカーで九州自動車道を経由して同演習場入りしています。

 29日には、米海兵隊の参加主力部隊約200人が、民間航空機で宮崎県の航空自衛隊新田原基地に到着。警察の先導で自衛隊の車両などに乗り込んで霧島演習場に入っています。今回の新田原基地の使用は、米軍側の要求によるものでした。

 岩手山演習場での共同演習でも、29日にハワイの米陸軍の参加主力部隊が、米軍のチャーターした9台の民間バスを使って、三沢基地(青森)から東北自動車道などを経由して、演習場入りしています。

 米韓合同演習(フォール・イーグル)に参加しているドック型揚陸輸送艦ダビュークの鹿児島港への寄港は、霧島演習場などで沖縄の海兵隊と陸上自衛隊が共同演習を実施しているさなかで、「補給や乗組員の休養」をおこなうとしています。

 日米共同統合実動演習に連動して自衛隊が初めて陸海空の統合演習を硫黄島とその周辺海空域で実施するのも特徴の1つです。陸上自衛隊の空てい部隊も参加し、海上自衛隊の輸送艦や航空自衛隊の輸送機を使って、海外への侵攻作戦にも適用できる上陸作戦訓練を実施します。

 米海軍と海上自衛隊は、日米共同統合実動演習と並行して4万人規模の独自の共同演習を展開します。

 海上自衛隊は、両演習について秋田、山形、新潟、富山、石川、福井、京都、兵庫、鳥取、島根の日本海に面する10府県に通知しています。ところが、演習海域は「日本周辺海域」としているだけで具体的に特定しておらず、漁民らからは「海域が特定されないのでは注意のしようがない」との不安の声があがっています。

 日米両軍の艦艇は、演習中に日本海側から津軽海峡を抜けて太平洋側に移動することになっていますが、その期日さえ「未定」としています。

赤旗より


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