新横田基地公害訴訟地裁で賠償勝訴判決

 5月30日東京地裁八王子支部で、6000名の原告団によって6年にわたって闘われてきた新横田基地公害訴訟の判決が出されました。判決は従来に引き続き、米軍の夜間飛行の違法性を認め、コンターに基づく一律の賠償を命じています。賠償額は合計約24億円にのぼります。
 国側は、住民の正当な要求に対して、一人一人が自分の住所にすんでいることの立証を求めたり、騒音は減ったといってでっち上げの新コンターを持ち出したり、横田基地の近くに越してきた方が悪いという危険への接近の理論を持ち出したり、果ては労働者は昼は自宅にいないのだから被害は少ないという理論を持ち出すなど、日本初の大規模訴訟を何とか押さえ込もうと様々な策動を行ってきました。基本的にはこれらの策動を排除して、大規模基地訴訟初の賠償勝訴を勝ち取ったことは、日本の基地闘争に新たなページを開く大きな意義をもつものです。これは原告団・弁護団・支援する仲間の奮闘のたまものです。
 同時に、地裁の判決は、飛行差し止めを却下、陳述書未提出者に賠償を認めない、危険への接近の理論により20数名の賠償を認めない、アメリカを相手取った訴えを却下、などの弱点を持っています。新横田基地公害訴訟団は、これらの弱点を克服すべく、引き続き高裁の闘いを進めます。みんなで支援の和を広げましょう。
訴訟団・弁護団の声明
声明
本日、東京地方裁判所八王子支部において、新横田基地騒音公害訴訟につい て、国に対し騒音被害による損害賠償を命ずるとともに、アメリカ合衆国に対 する訴えを不適法とする判決が言い渡された。
本判決は、すでに最高裁判所でその違法性の判断が確定している横田基地に おける米軍機の騒音について、重ねて違法性を認定し、被害住民らの救済を認 めたものであり、特に原告数的6000人というかつてないほどの大規模訴訟 において国に対して約24億円という巨額の賠償を命じたことは、在日米軍基 地のあり方について見直しを迫る判決として評価すべきものである。
しかしながら、本判決は、陳述書が提出されていない被害住民については被 害そのものの立証がないとして賠償請求を棄却した。これは、現に被害地域に 居住することで騷音被害を被っていることは明らかであるにもかかわらず、そ の請求を棄却したのであって、明らかに証拠を見誤った判断である。
また、本判決は、基地周辺住民の切実な願いである夜間早朝の飛行活動の差 止を認めなかった一方で、4月12目の最高裁対米訴訟判決を無批判に踏襲し、 アメリカ合衆国政府に対しては裁判所への出頭すら命ずることができないとし たものであり、結局は今日現在も続く違法騷音を放置するしかないという不当 な結論を導くものであって、法治国家の名に悖る判断というほかはない。
また、本判決は、違法騒音の差止を認めなかったばかりか、将来にわたる賠 償さえも認めなかったものであり、旧訴訟以来28年もの長期間にわたって違 法騒音の存在を認定し続けながら、将来にわたる救済を頑なに拒む裁判所の態 度には、憤りすら感じざるを得ない。
さらに、本判決は、減額法理としての危険への接近を認めたほか、ごく一部 とはいえ被告国の免責を認め、損害賠償を否定した。しかし、最高裁が違法と 断じた基地騷音について危険への接近法理を適用することは、むしろ危険の居 座りを公認したも同然であり、厳しく批判されなければならない。
このように、本判決については一定の評価をすることはできるが、到底認め られない判断の誤りが含まれていると言わざるを得ない。訴訟団・弁護団は早 急に控訴の手続を進める意向である。
静かな眠れる夜を取り戻すために、我々はさらに結束を強め、訴訟の場にと どまらない多角的な運動によって、違法騒音差止めの実現を目指す所存である。
2002年5月30日
新横田基地公害訴訟団
新横田基地公害訴訟弁護団

 
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