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Mediation
Mediation 38×70cm acrylic on panel 2009

ドミニク・ルトランジェ展

DOMINIQUE Lutringer
第1回 New works

2009年9月7日(月)〜9月19日(土)
開廊時間/11:00〜18:30
日曜祝日休廊




Dominique Lutringer
フランス生まれ。
ストラスブール大学、アートスクールに学ぶ。
フランス、カナダで主に舞台芸術の分野で活躍する。
1992年より日本在住。絵画制作に励む。
2000年にザ・リッツ・カールトン大阪のワインバーのために連作を制作して以来、ホテルやレストランより多数の作品受注。
法人、個人の注文制作を中心に活動し、定期的に個展を開催。
2008年はフランスのアヌシー、ニース、スイスのジュネーブで巡回展を開催。


私はドイツ人を父に、スイス系フランス人を母に、フランスで生まれました。
15歳の頃、三島由紀夫の「金閣寺」を読んで以来、日本独特の美意識に憧れ18歳で初の日本旅行、今年で日本在中17年になります。
 やはり私はヨーロッパ人であり、作風も色使いなど特に、日本にはない感覚と言われますが、フランス文化とは対極にある日本文化に魅力を感じ、「無常」や「間」など日本独特の概念や感性を作品制作の上でも大切にしています。
 観る人の数だけ作品の見方があります。作品を観る側が対象に近づき、また時には遠く離れて自由にコミュニケーションできる開かれた扉となるような作品を制作していきたいと考えています。

内側/外側
かりそめの浅薄な快楽に貪欲な社会の見せかけの向こう側には、人間 の孤独が際限なく存在しています。
その孤独は、ある種の風景や馴染みの物が置かれた家といったイメージ を通じて示されます。そういった静物は時が過ぎても変わらず在り続 け、まるで、時間は静物には影響を与えず、人間だけを支配しているよ うに感じられます。私達自身の存在の夢みるような隠喩であるこういっ た静物は、生きて私達を見つめているのです。これらの静物は、誰しも 一度は苛まれるであろう孤独というものに対する人間の無力に対する無 言の証人です。
この静物をめぐる絵画的な探求を9月7日から19日までギャル リ プチボワにおいて、30余点の作品で表現します。24 種類の小さな異なる型で構成された7mのシリーズをご覧下さ い。赤が多くを占めるこのコンポジションの大切な要素は色彩です。
このシリーズの他にもこのテーマを補完する作品をご覧頂きます。独立 して見ると、20世紀前半のイタリアの画家、ジョルジョ・モランディ からのある種の影響が見られるでしょう。彼もまた孤独の人で、その画 業は静物と風景のみを終生追求したものです。
映画もまた私の作品制作の過程に大きな影響を与えるものの一つです。 ひとつのタブローを作り出すことは、シナリオを描き、物語を紡ぎ、長 い時間をかけてイメージに展開していく映画制作のような作業です。そ して、すべての作品が経験を新たに豊かにしてくれます。
そして、イメージの向こう側には、すぐには見えてこないけれども、発 見することに時間をかける人のために少しずつ姿を現す何かがあるので す。この時間こそ、私達がもはや制御できなくなってしまったもので しょう。なぜならばイメージはあまりにも速く通り過ぎてしまうからで す。