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菅野由美子展
one_16 2008
oil on canvas 84.3×30.2cm

菅野由美子展
第1回 New works

2009年7月13日(月)〜8月1日(土)
開廊時間/11:00〜18:30
日曜・祝日休廊

作家コメント
絵を描いている気がしないことがよくあります。壁塗り職人とか器の絵付け師とか、そういう気分の方が近いような時です。なるべくすべてを均等に描く努力をしています。あるいは、ある誰かにとってとても日常的な器を並べることで、その器をその誰かに見立てて描いているのかもしれないと思う事もありますが、でも気のせいかもしれません。
この絵は、たとえば同じ本を何度も何度もくりかえし読むというような、そういった個人の内省の力によって描かれていると思います。




菅野由美子は1960 年東京生まれ。東京造形大学在学中に作品の発表を始め、'86 年のシドニー・ビエンナーレ、'89年の「第3回アジア美術展」(福岡市美術館、横浜美術館、韓国国立現代美術館巡回)など、数多くの国内外の展覧会に参加。'80 年代 前半から女性美術家が流行的に台頭したいわゆる「超少女」の一人として注目を集めました。
当時、菅野は木、鉄、粘土などを素材にコンセプチュアルな立体作品を発表していましたが、'92 年の個展を最後に制作活動を中断していました。

そしてこの4 年ほど前から、日常身の回りにある小さな置物などを油彩で丁寧に描く仕事を再開し、一昨年4 月に15 年ぶりとなるギャルリー東京ユマニテでの個展で以前の立体か ら一転、古典的な油彩の小品群を発表し好評を頂きました。一昨年の展覧会は、本人も実験的な展覧会と位置づけた発表でしたが、展覧会後は、現時点での等身大の作品を制作することに確信を持って仕事を続けられたと言います。
16-17 世紀のヨーロッパで見られた静物画を思わせる、均一に塗られた茶系の背景。その中に菅野自身が様々な国を旅して集めた壷、ビン、器、皿などが、茶事の見立てのように物語に沿って選ばれていきます。しかしながら、それらはどことなく擬人化された肖像画のようでもあり、また、光線までもが計算された静謐な画面は、何事も起こらない淡々と過ぎていく平和な日常の気配を感じますが、その静けさの奥にある力強い存在感は、見るものが不思議と自身の内面と向きあうべく作用へ導かれるようでもあります。彼女の作品はストイックであるがゆえに、小さな画面から無限の広がりへとイメージは膨らんでいきます。


略歴
1960年 東京生まれ
1984年 東京造形大学絵画科卒業
主な個展
1984、85、87、91年 かねこ・あーとギャラリー(東京)
1986年 ギャラリー+1(東京)
1988年 天野画廊(大阪)
1989、92年 東京画廊(東京)
2007、09年 ギャルリー東京ユマニテ(東京)

主なグループ展
1985年 「第五回ハラアニュアル」 原美術館(東京)
「臨界芸術’85 の位相展」 村松画廊(東京)
「The Figurative Impulse」 ウォーカーヒル・アートセンター(ソウル)
「さまざまな眼-4」 かわさきIBM 市民ギャラリー(川崎)
1986年 「第6回シドニー・ビエンナーレ」 NSW アートギャラリー(シドニー)
1987年 「第23 回今日の作家展」 横浜市民ギャラリー(横浜)
1988年 「TAMA VIVANT'88-世界の模型展」 シブヤ西武シードホール(東京)
1989年 「第3回アジア美術展」福岡市美術館(福岡)、国立現代美術館(ソウル)、横浜美術館(横浜)
「プリント・ドローイング・ペーパーワークビエンナーレ」ランゲージ・プラス・ギャラリー(ケベック)
1990年 「NEO TOTEM」 スパイラル・ガーデン(東京)
「観念の刻印展」 栃木県立美術館(宇都宮)
1991-2年 「ZONE OF LOVE」 東高現代美術館(東京) 西オーストラリア美術館(パース)他 シドニー現代美術館(シドニー)他
1997-8年 「ISLAS/ISLAND」 モダン・アート・センター(カナリア諸島) ラ・グランジャ・アート・センター(サンタ・クルーズ) 現代美術センター(セビリア)
2003年 「ART TODAY 2003」 セゾン現代美術館(軽井沢)
2007年 「ROUGH AND REFINED」 レオ・キャステリ・ギャラリー(ニューヨーク)
「BTAP-Works in Progress」東京画廊+BTAP(北京)