Super Short Stories 料理実習編
1.その一言から始まった
リディア「はぁ〜い、今日の勉強はお料理についてで〜す」
生徒一同「はーい」
リディア「では、これから早速調理実習で〜す」
生徒一同「えー!?」
リディア「あら、男子のみんなは女の子の手料理が食べたいわよねぇ〜?」
男子一同「食べたーい!」
女子一同「えぇ〜〜〜〜!?」
2.私の記憶が確かならば
リディア「じゃあルールを説明するわね〜」
クララ「何で調理実習なのにルールがあるんですか?」
リディア「(無視して)みんなには20分以内に、あるテーマに沿った料理を作ってもらいま〜す」
クララ「テーマですか?」
リディア「それでは発表します。今日のテーマはこれです!!」
♪ジャーン、ジャーン(荘厳な音楽と共に食材が上がってくる)
リディア「今日のテーマは、卵!」
クララ「『料理の鉄人』ごっこがやりたかったんですね」
3.おかしな卵は知らん顔
リディア「というわけで、卵を使った料理コンテストですよ〜」
クララ「先生、使う卵ってまさかマジックエッグじゃありませんよね?」
リディア「………」
クララ「何故黙るんですか」
4.作る側の意気込み
ルキア「うーん、得意じゃないんだけどなぁ…でも、やるっきゃないか!」
クララ「美味しいのが作れればいいなぁ…」
アロエ「はーい、頑張りまーす」
ヤンヤン「腕の見せ所アルな!」
シャロン(わ、私…料理なんか作ったこともないのに…)
ユリ「とりあえず食べられるもの作りゃOKだよね?」
マラリヤ「…お楽しみに(妖しい笑みを浮かべつつ)」
5.食べる側の覚悟
タイガ「いや〜、女の子の手料理か、楽しみやなー」
カイル「お手並み拝見ですねぇ」
レオン「どんなもん作ってくれるんだろうなー」
サンダース「…期待せん方が身の為だぞ」
ラスク「え?何で?」
セリオス「…マラリヤの料理がある時点でロシアンルーレットだと思わないか?」
男子一同(…ブルリ)
6.その陰で
サツキ「………」
ユウ「お、お姉ちゃん、お姉ちゃんが料理が上手だったのは僕知ってるから。ね?
だから、出場できないぐらいで、そんな、あの、泣かないで、お願いだから」
7.作る前に
リディア「じゃあ皆さん、食材はリエルさんのとこから持って行って下さいね〜」
ルキア「えーと、私はタマネギとジャガイモと、あと豚肉かな」
リエル「500マジカになります」
ルキア「実費!?」
8.ダークホースの野望
ヤンヤン「フッフッフ…実はワタシ料理得意アル。四千年の歴史見せてやるネ!
…でもコイツ邪魔(クララのプロフィール「趣味:お菓子作り」を見ながら)」
9.大国の論理
ヤンヤン「決めた。コイツ消すネ」
10.竹のカーテンの裏側
ヤンヤン「フッフッフ…ヤツの鍋に料理が出来上がった頃に爆発する魔法をかけておいたネ。
これにて貴殿の大往生間違いなしアル(クララの調理室の物陰から様子を伺う)」
クララ「♪〜(全く気付かず)」
11.続・竹のカーテンの裏側
10分後。
ヤンヤン「…おかしいアル。何で吹っ飛ばないネ?…まさか、魔法間違えたアルか!?」
クララ「♪〜(未だ気付かず)」
12.タイムリミット
さらに5分後。
ヤンヤン「あわわ…クララの料理もう完成寸前アル…やっぱ魔法間違え…」
チュドーン!!!
ヤンヤン「!?…鍋はおろかクララまで吹っ飛ばしてしまったアル。魔法じゃなくて爆発量間違えてたネ。
ま、これでライバルはいなくなったことだし、ゆっくり調理…」
リディア「は〜い、時間ですよ〜」
ヤンヤン「はう!?自分の料理作れてないアル!?」
クララとヤンヤン、試食前にリタイヤ。
13.天然ドS
リディア「はい、何かちょっとした事故もあったみたいだけど無事に調理終了ね〜」
男子一同「無事…?ちょっとした事故…?(クララの調理場所跡の惨状を眺めながら)」
14.調理:ルキア/試食:レオン
レオン「おっ、素直にオムレツかぁー。定番だなぁ」
ルキア「ど、どうかな?美味しいといいんだけど」
レオン「じゃ、いただきまーす…ブハァ!(盛大に吹く)」
ルキア「キャー!!砂糖と塩間違えてたー!!」
ボケまで素直。
15.調理:シャロン/試食:セリオス
シャロン「………」
セリオス「…確かに、人には得手不得手がある。それは認めよう」
シャロン「………」
セリオス「…君が慣れない事を必死で頑張っていた、それも認めよう」
シャロン「………」
セリオス「…だが、僕は一体これのどこをどうやって食べれば良いんだ?」
シャロン「う、うるさいですわ!さっさとお食べなさい!!」
皿の上の炭化した目玉焼きらしき物体を前にして。
16.調理:アロエ/試食:ラスク
アロエ「あ、あのね、アロエ失敗したくなかったの。美味しく作ろうと思ったの」
ラスク「それは分かるけど…何でこんなに少ないの?」
アロエ「だから、何回も味見をしてたから…」
ラスク「すいませーん、これ他の人のとトレードしていいですか?」
アロエ「酷い!!」
皿には8割方食べられたスクランブルエッグが。
17.調理:マラリヤ/試食:サンダース
マラリヤ「どう…美味しそうでしょう」
サンダース「うむ、見た目は完璧だ。見た目は」
マラリヤ「一気にイッていいのよ」
サンダース「中に何を混ぜた」
マラリヤ「さぁ…遠慮しないで」
サンダース「何故目を逸らす」
マラリヤ「何を怖がってるの?早くどうぞ」
サンダース「…ッ(滝のような汗)」
敬礼して卵とじのスープを飲み、土色の顔で玉砕する軍曹。黙祷する男子生徒一同。
18.調理:ユリ/試食:タイガ
タイガ「俺はグルメなんや!こんなんで満足できるかぁ!!」
ユリ「何だとぅ!?文句があるなら卵の代わりにこれでも喰らえ!!」
タイガ「グハァ!!(正拳突きを貰って撃沈)」
彼女が作ったのは卵かけご飯。しかも飯が冷めてる。
19.またもや割を食った
ユウ「………」
サツキ「ユ、ユウ。あの、食べられなかったからって、そんな、落ち込まないで。
そ、そうだ、ラムネのキャンディー買ってあげるから。だから、ね?」
20.結果発表
リディア「みんな散々だったけど、一応優勝者は決めておかないとね〜」
クララ「あの…この状態で優勝も何も…(←保健室から帰って来た)」
リディア「(無視して)それでは発表しま〜す」
一瞬の間。一応みんな息を呑む。
リディア「優勝は、カイル君〜」
カイル「うふふ、恐れ入ります」
女子一同「あんたかよ!!」
21.納得
女子一同「納得行かない!大体何でカイルが…」
レオン「おぉ、メチャクチャ美味ぇよこの玉子焼き!」
セリオス「むぅ、いい出汁が効いているな」
ラスク「こっちは親子丼かぁ。わ、卵半熟ー」
サンダース「うむ、食材を活かしきっている。見事だ」
タイガ「かに玉って、中華も出来るんかいな?凄ぇな」
ユウ「うわぁ、美味しーい!食べられて良かったー」
女子一同「ま、負けた…」
22.続・納得
クララ「というか、カイル君いつの間に…」
カイル「いやぁ、流石に見ていられなかったんで、空いてた場所をお借りしました」
クララ「空いてた場所…あぁ、なるほど」
本来ヤンヤンが使う筈だった調理室を目にしつつ。
23.戦い終わって
クララ「今日は散々でした…」
シャロン「とんだ恥をかいてしまいましたわ…」
ユリ「でも、男に料理で負けるのは悔しいよね。あーあ」
ルキア「やっぱ女の子は料理ぐらいできなきゃダメなのかなぁ…」
アロエ「料理出来なくても大丈夫だよ」
ルキア「え、何で?」
アロエ「だって、カイルお兄ちゃんに主夫になってもらえばいいんだもん」
女子一同「それだ!!」
24.新たなる戦い
マラリヤ「フフフ…早速彼を言いなりにならせる薬を…」
ヤンヤン「そうはさせないアル…カイルは私の嫁ネ」
シャロン「何を勝手な事を仰ってるのかしら?」
ユリ「そっちこそ!関係ない人は引っ込んでて!」
アロエ「ダメー、カイルお兄ちゃんは私のなのー!」
一同の視線の間で飛び散る火花。
25.戦火拡大
リディア「あらあら、カイル君を巡ってのケンカはダメですよ〜」
クララ「せ…先生、何言って…」
リディア「彼の占有権は、先生達の間でも長い間問題になってるんだから」
クララ「え?せ、先生達も狙ってたんですか!?」
リディア「仕事で疲れてる身に料理を作っててくれる子がいたら、そんなの見逃すと思う?」
クララ「………」
26.過去の戦禍
リディア「いっとき、誰が彼を独占するかで先生達が揉めちゃったのよ〜。
え、結果?校舎の半分が吹っ飛んだって言えば分かるかしら…あら、顔色が悪いわよ?」
27.戦禍の犠牲者
リディア「で、みんなで共有しようという意見が持ち上がったの。それなら平和でしょう?
でも、全員が酷使したもんだから彼が倒れちゃってね〜、ウフフ」
シャロン(そういえば前、カイルが長らく休んだことがありましたわね…)
ルキア(ここの先生方は鬼だ…)
28.不可侵条約
クララ「(恐る恐る)あの…現状はどうなってるんですか?」
リディア「えぇ、今は全員互いに手を出さない、って暗黙のルールになってるのよ〜」
クララ「全員?」
リディア「私と、アメリア先生と、マロン先生と、ミランダ先生と、エリーザ先生。
あとフランシス先生と、ロマノフ先生と、ガルーダ先生…」
クララ「掛け値なしの全員ですか!?」
リディア「あと校長も」
クララ「校長まで!?」
29.宣戦布告
リディア「というわけで、今まで平和を保ってたんだけど…へぇ〜、いいですよ。
そちらがその気なら、暗黙のルールなんてすぐに反故に出来るんですからね〜」
女子一同(うぅ、手強い…けど…負けられない…!)
30.料理される寸前の料理人
カイル「おや、寒気が…風邪でも引きましたかね?…今晩はお粥にでもしましょうか」
END