◆脊髄液減少症とは◆
脳脊髄液減少症とは何らかの理由で脳脊髄液が減少し、頭痛や様々な全身症状が現れる疾患です。脳脊髄液減少症特有の症状に起立性頭痛がありますが、必ずしも全ての患者に現れるとは限りません。全身症状についても個人差が激しく、脳脊髄液減少症との因果関係が立証されていないものも数多くあります。脳脊髄液減少症には治療方法があるため基本的には治る病とされていますが、現時点では研究段階にあり、未だに不明な部分が多いのが現状です。
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■平成28年4月より硬膜外自家血注入法(通称ブラッドパッチ)に保険適用(診断基準に該当するもの)
現在の医学では直接脳脊髄液量を図ることができません。
そのため、厚生労働省の研究班の診断基準(平成23年発
表)では、「脳脊髄液漏出症」と「低髄液圧症候群」につい
てのみ、診断基準を定めました。また、漏出症と低髄は同時に
発症していることが多く、明確に切り分けることは不可能とされ
ています。(右図においては赤く囲われた範囲を指す)
平成28年度4月より、診断基準に該当するものについ
ては、保険申請病院において、保険適用でブラッドパッチを
施術することができるようになりました。(保険申請病院につ
いては各自治体にお問い合わせください) |
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脳脊髄液減少症の発症原因と症状
●発症原因
交通事故やスポーツ障害など体や頭への強い衝撃、脱水、出産時等のいきみ、穿刺、原因不明など
●症状
・起立性頭痛
・その他
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起立すると髄液の減少のために脳が下垂して、頭蓋底部の硬膜に異常な圧が加わり、激しい頭痛を生じます。この頭痛は、横になると軽減するという特徴があります。(必ずしも現れるとは限りません)
頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など)、頸部痛、頭重感、聴覚過敏、光過敏、全身倦怠感、疼痛、めまい、吐き気、脳神経症状、自律神経症状、内分泌異常、免疫異常、睡眠障害など。 |
子供の脳脊髄液減少症
子供(18歳以下)の脳脊髄液減少症は大人とは異なった特徴があります。
小学生、中学生、高校生と、成長の過程によって症状の現れ方や対処の仕方、問題点な
ども異なります。
また、大人の診断方法が当てはまりにくいと言われています。 |
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脳脊髄液減少症支援の会・
子供支援チーム

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小学生
自分の症状を表現する力に欠ける傾向にあります。よほどひどい頭痛がない限り、脳脊髄液減少症と気付きにくいの
が特徴です。保護者や養護教員など、周囲の大人の注意が必要です。小児にはブラッドパッチ治療は負担が大きいた
め、保存療法(臥床安静・水分補給)で回復することが望ましいとされています。
中学生
体育の授業や部活が原因で発症する機会が増えます。また、急激に身長が伸びる時期でもあるため、起立性調節
障害との区別が難しくなります。欠席日数が増えることで、高校進学等に影響が出ることが大きな問題となっています。
高校生
中学生と同様の傾向にありますが、より大人に近い体格となっているため、脳MRIなどで診断できるケースが増えてき
ます。高校では欠席日数や単位不足により、進級や卒業に影響が出ることがあります。 |
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脳脊髄液減少症の診断・検査・治療
●診断・検査方法
問診、生理食塩水パッチ、脳MRI、MRミエロ、CTミエロ、RIシンチなど。
●治療方法
・保存療法(臥床安静と水分補給)
2週間程度、23時間平らになって安静を保つ。
一日1.5〜2Lの水分を摂取するよう心掛ける。
・硬膜外自己血注入法(ブラッドパッチ)
保存療法の効果がない場合に行う。
治療効果には個人差があり、2〜3回必要とすることが多い。
診断基準に該当する場合、保険申請病院において保険治療が可能
非該当の場合は全額自費となる
・アートセレブ(人口髄液)
ブラッドパッチ効果があるのにもかかわらず、症状緩和が乏しい等の時に使用。
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経口補水液 OS-1
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その他の注意事項
■治療(保存療法・ブラッドパッチ)後の経過
治療後、硬膜の傷は2週間から1カ月程度で修復します。しかし、髄液漏出が止まっても、髄液の生成が追いつくまで2〜3ヵ月かかるのが一般的です。また、治療後6ヵ月間は再発のリスクが高いと言われています。諸症状についても、症状ごとに回復の程度が異なります。そのため、真に回復を実感するまでに1〜3年かかるのが普通だとも言われています。 |
■完治について
治療3ヶ月後に髄液漏出が治っている
か否かの判断を行います。ただし、その時
点で髄液漏出が治っていたとしても、諸
症状は消失していないのが一般的です。 |
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現時点では完治に関する明確な基準がないため、完治時
期については医師の判断となります。 |
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■諸症状の緩和について
脳脊髄液減少症特有の症状である起立性頭痛は、ブラッドパッチ等の治療の後、高い確率で消失することが分かっています。
その他の症状についても消失もしくは軽減しますが、どこまでブラッドパッチの治療効果を期待できるかは不明で、個別に治療・投薬を必要とするものが多いようです。 |
■再発について
完治していても、再び強い衝撃を受けることで再発することがあります。ただし、諸症状が悪化したというだけでは再発とはみなされません。
再発か否かは、専門医の判断になりますのでご注意願います。 |
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令和1年6月13日 現在