数 A

 整数の性質
  1節 約数と倍数節 約数と倍数

   1. 約数と倍数

        4の倍数の判定法
      3桁の数字(自然数)をNとしよう。
      N=100a+10b+c と表せる。

            =4×25a+(10b+c)

           4×25aは4の倍数だから
      (10b+c)が4の倍数であればNは4の倍数である。

     
・3の倍数の判定法と9の倍数の判定法

       N=100a+10b+c(自然数)
        =(99+1)a+(9+1)b+c
        =9(11a+b)+(a+b+c)
       9(11a+b)は3及び9の倍数なので
       a+b+cが3の倍数であれば
、Nは3の倍数であり、
       9の倍数であればNは9の倍数である。


   このことから倍数の判定ができる
    
の倍数の判定法:下2桁が4の倍数であ
    3の倍数の判定法:各位の数の和が3の倍数であ
    9の倍数の判定法:各位の数の和が9の倍数であ

  問1 次の数のうち4の倍数はどれか?
    @524  A308  B582  C1276  D6334


 問2 次の数のうち3の倍数はどれか。また、9の倍数は?
      @621  A705  B1348  C1276  D6372

 答 問1:@,A,C 
   問2:3の倍数は@,A,C  9の倍数は@,C

 
正の約数の個数
  
16の正の約数の個数を求めてみよう。
   16を素因数分解すると、2
4
  よって、16の正の約数の個数は
   2
0,21,2,23,24  つまり1,2,4,8,16,の5個 (20=1)


 このことから下のことがいえる。
  nの正の約数の個数は11234n のn+1(個)である。

 例 675の正の約数の個数を求めよ。

  675を素因数分解すると、675=33×5
   675の正の約数は 
   3正の約数 1,3,32,33の4個の1つと(下図参照)

   33の正の約数 1, 5, 52 の3個の1つとの積で表せる。
  よって、675の正の約数の個数は4×3=12(個)

  1(50 ) 5(51 )  52 
 1(30)  1×1 1×5 1×52
 3(31 )  3×1 3×5 3×52
 2  2×1 2×5 2×52
 3  3×1 3×5 3×52


  問 432の正の約数の個数を求めよ。

 答 20

  2.最大公約数と最小公倍数

   整数の割り算と商 および余り

例 整数aを8で割ると6余り、整数bを8で割ると5余る。このとき次の数を8で割ったときの余りを求めてみよう。   (1) a+b  (2) ab

 a,bは整数m,nを用いて、
  a=8m+6 ,b=8n+5 と表せる。
 (1) a+b=(8m+6) + (8n+5)
      =8m+8n+11=8(m+n)+11=8(m+n+1)+3

   m+n+1は整数である。
    よって
a+bを
8で割ったときの余りは3


 
(2) ab=(8m+6)(8n+5)=64mn+40m+48n+30)
    =
8(8mn+5m+6n+3)+6 (8mn+5m+6n+3:整数)
    よってabを8で割ったときの余りは6


 例 整数aを6で割ると5余り、整数bを6で割ると2余る。このとき次の数を6で割ったときの余りを求めよ。
   (1) a+b  (2) ab  (3) bー

 答 (1) 1 (2) 4  (3) 3 (0≦余り<正の整数)


 3.ユークリッドの互除法

       
24と9の最大公約数は3ですね。たとえば、24と9の最大公約数を求める際、
         
24÷9=2 余り6
           6=1 余り3
          6÷3=2 より 3 
     ただひたすら、割り算を繰り返すことによって求める方法をユークリッドの互除法といい、
     24と9では暗算でできますが、大きな2つの数の最大公約数を求めるときに有効になります。

   上の例に従って592と222の最大公約数を求めてみよう。
        592÷222=2 余り148

        222÷148=1 余り74
        148÷74=2  最大公約数:74

 問 互除法を利用して、
  (1) 143と26の最大公約数を求めよ。
  (2) 187と68の最大公約数を求めよ

 (1) 13  (2) 17

 4.不定方程式

 例1 方程式xy=4の整数解をすべて求めてみよう

  x,yがともに4の約数であるから、
   x=1, y=4     x=ー1, y=4
   x=2, y=2     x=ー2, y=ー2 

   x=4, y=1     x=ー4, y=1
  したがって4の約数は

    1,ー1,2,4ー4

  例2 不定方程式4x+7y=0の整数解をすべて求めてみよう(p:75)

  4x+7y=0から 4x=ー7y …@
  4と7は互いに素であるから、xは7の倍数であり、
  整数kを用いて x=7k ここでx=7kを@に代入すると、
  
4×7k=ー7yより y=−4k
  よって不定方程式4x+7y=0のすべての整数解は
  x=7k,
y=−4k (k:整数)

 問 次の不定方程式の整数解をすべて求めよ
  (1) 6x+7y=0  (2) 2xー9y=0
 (p:75)

 (1) 6x+7y=0 6x=−7y…@ 
    6と7は互いに素で、xは7の倍数であるので、
   整数kを用いて
x=7k ここでx=7kを@に代入
   6×7k=
−7yより y=−6k
   よって
不定方程式6x+7y=0のすべての整数解は
    x=7k,y=−6k (k:整数)

 (2) 2xー9y=0 2x=9y  …@
   
2と9は互いに素で、xは9の倍数であるので、
   整数kを用いて x=9k ここでx=9kを@に代入
   2×9=9yより y=2k
  よって不定方程式2xー9y=0のすべての整数解は
  x=9k,y=2k (k:整数)


  例3 不定方程式5xー9y=2の整数解をすべて求めてみよう(p:77)

  まず、5xー9y=2…@ の整数解を1つ求める。
 不定方程式5xー9y=2の整数解を1つ求めると、
  x=4,y=2 であるから
x=−5,y=−3でもOK
  5×4ー9×2=2 …A
       
  5(xー4)9(yー2)=0
  5(xー4)9(yー2) …B
  5と9は素であるから、(xー4)は9の倍数であり、
  整数kを用いて xー4=9k Bに代入

  5×9k9(yー2)   ー2=5k
  よって@のすべての整数解は
   x=
9k+4 
=5k+2 (k:整数)

 問 不定方程式9xー4y=1の整数解をすべて求めよ(p:77)

  まず、9xー4y=1…@ の整数解を1つ求める。
   x=1,y=2 であるから
    9(x−1)ー4(y−2)=0

    9(x−1)4(y−2) …A
   9と4は素であるから、(xー1)は4の倍数であり、
  整数kを用いて xー1=4k Aに代入

  9×4k=4(yー2)   ー2=9k
  よって@のすべての整数解は
   x=
4k+1 
=9k+2 (k:整数)

 問 2x+3y=1の整数解をすべて求めよ。

    2x+3y=1 …@

    x=ー1,y=1は@の整数解の1つである。
   したがって 2×(−1)+3×1=1…A
   @−Aより 2(x+1)+3(y−1)=0
  よって  2(x+1)=ー3(y−1)…B

  Bより 
未未未未未未


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 2節 整数の性質の応用
   

 例 28人の生徒を5人の班と6人の班に分けたい。
  5人の班と6人の班をそれぞれいくつ作ればよいか。

   5人の班の数をx、6人の班の数をyとすると、
   5x+6y=28

    この式を満たす0以上の整数xとyの組を求める。
   x=6で30になるのでxは0〜5までの整数。 

 x   0 1  2  3  4  5 
 y  14/3 23/6  3  13/6  4/3  1/2 

 上の表からxとyがともに整数になるにはx=2,y=3のときだけであるので、
 5人の班を2つ、6人の班を3つ作ればよいことが分かります。

 問 39人の生徒を5人の班と6人の班に分けたい。
  5人の班と6人の班をそれぞれいくつ作ればよいか。

  5人の班の数をx、6人の班の数をyとすると、
   5x+6y=39

    この式を満たす0以上の整数xとyの組を求める。
   x=8で40になるのでxは0〜7までの整数。

                 
   13/2  分数  分数    分数  分数  分数  分数

 x=3,y=4で
  5人の班を3班、6人の班を4班作ればよい。

【まとめ問題】

除法の性質

  問 a , b  を整数として、a  を 5  で割ったときの余りが 2 、b5で割ったときの余りが 3  のとき、次の値を 5  で割ったときの余りを求めよ
    (1) a+b   (2) 2a+b  (3) a 2 +b 2

【答】 (1) 0  (2)2  (3)3


問題整数 n  が 3  で割り切れないとき、n 2   を 3  で割ったときの余りが 1  となることを示せ。


約数と倍数 

 問 次の問いに答えよ。
  (1)  10  の正の約数をすべて答えよ。
  (2)  12  の約数をすべて答えよ。
  (3)  5  の倍数を書き並べよ。
  (4)  3  の正の倍数を小さい方から5つ答えよ。

【答】(1) 1 , 2 , 5 , 10  (2) ±1 , ±2 , ±3 , ±4 , ±6 , ±12
    (3) 0 , ±5 , ±10 , ±15 ,…  (4) 3 , 6 , 9 , 12 , 15


倍数判別法

 問 次の数は 2 , 3 , 4 , 5 , 9  のどの倍数となるか答えよ
    (1) 13260  (2) 57024

【答】(1)  2 , 3 , 4 , 5  の倍数となります。
   (2)  2 , 3 , 4 , 9  の倍数となります。


素因数分解
 

 問 次の数を素因数分解せよ
     (1) 24   (2) 189

 【答】(1) 2 3 ×3  (2) 33×7 


約数の個数・平方数
 

 問   360  の正の約数の個数を求めよ。

【答】  24  個 

 

等式を満たす整数の組

 問 次の等式を満たす整数の組 (m , n)  をすべて求めよ。

  (1) (m+1)(n1)=3    (2) mn2m+3n10=0 

【答】(1) (m , n)=(0 , 4) , (2 , 2) ,(ー2 , ー2) , (ー4 , 0) 

(2) (m , n)=(2 , 6) , (ー1 , 4) ,(1 , 3) , (4 , ー2) ,(5 , 0) , (ー7 , 1) 



最大公約数と最小公倍数

 問 次の各組の最大公約数と最小公倍数をそれぞれ求めよ。

   (1) 75 , 105  (2) 42 , 78 , 273 

(1)  最大公約数は 15  、最小公倍数は 525 
(2)  最大公約数は 3  、最小公倍数は 546 


最大公約数と最小公倍数の関係式

 問 2つの自然数の最大公約数が 6  、最小公倍数が 420  であるとき、この2つの自然数の組をすべて答えよ。

【答】  (6 , 420) , (12 , 210)      (30 , 84) , (42 , 60) 


ユークリッドの互除法

  

 問 次の2数の最大公約数をユークリッドの互除法を用いて求めよ。
    (1) 407 , 77    (2) 336 , 180 

【答】 最大公約数 11  、最大公約数 12 


不定方程式@

 問 次の方程式の整数解をすべて求めよ。

(1) 5x+2y=0   (2) 5x+2y=1 

(3) 5x+2y=2 

【答】(1) x=2m , y=5m (m:整数)
   (2) x=2m+1 , y=5m2  (m:整数)

     (3) x=2m+2 , y=5mー4  (m:整数)

不定方程式A(互除法)

 問 次の方程式の整数解を1つ求めよ。

(1) 44x+35y=1   (2) 44x+35y=3

【答】 (1) x=4 , y=5   (2) x=12 , y=15    


2節 整数の性質の活用

 
2進法

 

 例 10進法で表された次の数を2進法で表せ。

 (1) 13 [2]  (2) 18 [2]  (3) 39 [2]

  10進法→2進法変換は、素因数分解でやったように、
 ただひたすら2で割っていきます。
  また、違った変換法は下の位から1,2,4,8,16の重みでやる方法もあります。
 (1) 13でしたら、G,C,2,@と〇で囲った個所にビットがたちます。
   〇で囲った個所に1をたてますので、 1101
(2)となります。
 (2) 18は O,8,4,A,1で 10010(2)
 (3) 39は ?16,8,C,A,@で 100111(2)

 例 次の数を10進法で表せ。

 (1) 11010 [2]  (2) 10101 [2]  (3)  100011 [2]   

  【答】2進法→10進法変換も同様にやってみましょう。
  (1) 11010は 16,8,4,2,1 でビットがたった1のみ〇で囲ってみます。
  O,G,4,A,1 O+G+A=26

  (2) 10101  O,8,C,2,@  O+C+@=21
  (3) 35 


2進法 ⇔ 16進法

0 ⇔ 0  1 ⇔ 1  10 ⇔ 2  11 ⇔ 3  100 ⇔ 4

101 ⇔ 5  110 ⇔ 6  111 ⇔ 7  1000 ⇔ 8

1001 ⇔ 9  1010 ⇔ A  1011 ⇔ B

1100 ⇔ C  1101 ⇔ D  1110 ⇔ E  1111 ⇔ F

 例題 16進数 EA3 2進数に直せ。

上の対応表より、答えは 1110 1010 0011 です(見やすくするために4桁ごとにスペースを空けました)

ちなみに、小数の場合も同じ手順で計算して小数点をつけるだけです。例えば、16進数の E.A3

E.A3   は2進数で 1110.10100011

1110.10100011

--------------------------------------------------------

 例題2 2進数 1001000011 2進数に直せ。

下から4桁ごとに区切ると、10 0100 0011 となります。これに上の対応表を使うと243

243 となります。

ちなみに、小数の場合も同じ手順で計算して小数点をつけるだけです。例えば、2進数の 10.01000011

10.01000011 16進数で 2.43

2.43 に対応します。

 n進法

 例 5進法で表された234[5]を10進法で表わしてみよう
   

   5進法です。52,51,0 の重みで計算しましょう。
     2×2+3×51+4×0=50+15+4=69です。

 

 例 反対に、10進法で表わされた82を5進法で表わしてみよう

  @与えられた10進法の数を5でわり、商と余りを求める。
  Aこれを商が1になるまでくりかえす。
  B最後の商1と余りを順に書き並べる。 
     82=312[5]


   

  問(1)[  ]進法で表わせ。
  
 (1) 289  [ 3 ]  (2) 439  [ 5 ]

 答 (1) 101201 [3]  (2) 3224 [5]

-----------------------------------------------------------------------
  

 問 次の問いに答えよ。
(1)  次の数を10進法の小数で表せ。

0.101 [2]      A 0.231 (5)  

(2)  次の10進法で表された数を[ ]進法で表せ。

0.625  [ 2 ]     A 0.728  [ 5 ] 

【答】(1) @ 0.625   A 0.528 

   (2) @ 0.101 [2]    A 0.331 [5]  

 n進法のたし算

 問 次の計算をせよ。

(1) 1011 [2] +110 [2]   (2) 413 [5] +224 [5] 

 【答】  (1) 10001 [2]    (2) 1142 [5]
  

 問 次の計算をせよ。

 (1) 101 [2] ×111 [2]  

 (2) 413 [5] ×24 [5]

【答】 

(1) 100011 [2]  

(2) 22022 (5)  


 循環小数

 問 次の問いに答えよ。
(1)  次の分数を小数で表せ。

    @    34  

(2)  次の分数を有限小数と循環小数に分類せよ。

    512  , 78  , 815  , 920  

【答】 (1) @ 0.75 

    (2)  有限小数は    78  , 920   循環小数は  512  , 815