数学Ⅱ                       戻る

  1節 三角関数

     一年で学習したことを復習しよう。


  下図を思いだしましょう‼

    

 以下の表の穴埋めは、中間や期末テストに必ず出題されます。
 覚えておくように指導する学校がありますが、覚えるのは大変です。
 それにテストが終わってしばらくすると忘れている。
 できたら、自分で考えてほしい。 表の下に考え方を説明しよう。

下図の空白を埋めなさい。

角度(°) 30 45 60
sin
cos
tan

 以下のような簡単な図を書いてみよう。
     
応用問題 田中くんと吉田くんは木の高さを測ることにした。
 田中くんは真南から、吉田くんは真東から図ると、田中くんは 木の頂点の仰角は30°吉田くんは45°だった。
 また、二人の離れた距離は25m,
 木の高さをhメートルとして、
hの値を求めなさい。
 ただし、地上から目線までの高さは考慮しないこととする。

解説
 田中くんは 木の頂点の仰角は30°だから tan
30°= h/AC=  AC=√3 h …①
 吉田くんは 木の頂点の仰角は45°だから tan
45°= h/BC = 1  BC =h …②
   また、二人の距離は50mだから、三平方の定理より、
     AC2+BC2=502=2500 ①,②を代入して、3 h2+ h2=2500 h2=625
     h>0 なので h=25     25m …答



  
sin120°, sin135°,cos120°の値はどうだろう。

 sinθ, cosθ, tanθの値の正負はθがどの象限の角であるかによって定まり、以下に図示します。
 このあと学ぶグラフと両方使うことで、問題の取り組みも楽になるでしょう。

  sinθ    cosθ    tanθ
     

例 次の角θについてsinθ,cosθ, tanθの値を求めよう。

    (1) 210°   (2) -225°

(1) 210°
    210°は(180°+ 30°)
 

第3象限に30°の三角形ができます。第3象限の sin, cos,tan の正負は?   

 sin30°、cos30°、 tan30°
  sin30°=、  cos30°=、  tan30°=  


(2) -225°
     45°で考えてみよう

 sin45°、cos45°、 tan45°は
 sin45°= 、 cos45°=、  tan45°=1

 45°は第2象限なので、
  
   sin−225°=、  cos−225°=ー 、  tan−225°=-1


以下のような6つの公式がありますが、三角関数は公式が多く、覚えるのも大変ですので
上の例では図で考えてみました。

公式


  
0°≦θ≦90°のとき、以下の公式が成り立つ。
 

 sin(θ+180°) =-sinθ
 cos(θ+180°)=-cosθ
 tan(θ+180°) =tanθ
 
  sin(180°-θ)=sinθ
 cos(180°-θ)=-cosθ
 tan(180°-θ)=-tanθ


  
公式を覚えるのは大変。できたら図で解決することを勧めます。

問 (1) sin150°   (2) sin135°   (3) cos150°

  (4) cos135°  (5) sin120°   (6) cos120°

 答
  (1) sin150°=    (2) sin135°=   (3) cos150°= -
  (4) cos135°= -   (5) sin120°=  (6) cos120°=-


 公式 以下の公式①.②は非常に大切です。しっかり覚えておこう。

 sin2θ+cos2θ=1 ……公式①

  tanθ= …… 公式②

証明にはなりませんが、公式①を実際の角度(30°)で確認してみましょう。
  sinθ= cosθ=  ですね。それぞれを2乗すると、
 sin2θ=cos2θ= で、
    sin2θ+cos2θ=1 になります。
 同様に角度(45°)でも 
()2()2=1


問1 0°≦θ≦180°とする。
  cosθ= のとき、sinθtanθの値を求めなさい。

  sin2θ+cos2θ=1 より

     
sin2θ=1−cos2θ sin2θ=1−=
     0°≦θ≦180°で cosθ>0なので第2象限になります
    
sinθ>0 tanθ<0
   sinθ=±

      
0°≦θ≦180°なので sinθ  …答
   
tanθ より ÷=√3 …答

問 0°≦θ≦180°で、tanθ=-2の時、次の各式の値を求めよ

  (1)tan²θ   (2)1/cos²θ   (3)cosθ   (4)sinθ


1) tan²θ=(-2)²=4   (2)公式 1+tan²θ=1/cos²θより 1/cos²θ=1+(-2)²=5
(3)cos²θ=1/5   0°≦θ≦180°で、tanθ=マイナスだからθは第2象限
     cosθ=-1/√5
(4)sinθ=tanθ×cosθ=2/√5

問2 0°≦θ≦180°とする。

  cosθ= のとき、sinθtanθの値を求めなさい。

0°≦θ≦180°で cosθ>0なので第2象限になります。sinθ>0 tanθ<0

 sin2θ+cos2θ=1 より

      sin2θ=1− sinθ=± 
   0°≦θ≦180°なので 
sinθ=  …答
  
 公式 tanθ= より ÷=-1 …答


問3 0°≦θ≦180°とする。
 
 cosθ= のとき、sinθtanθの値を求めなさい。

解説 0°≦θ≦180°でcosθ>0 だから第1象限になります。
   sinθtanθ=sinθ
×

   sin2θ+cos2θ=1  cosθ= を代入  

   sin2θ1−   よって sinθtanθ=

  
sinθtanθ=÷=  …答

問4 角度θが鋭角で、cosθ=のとき、sinθtanθの値を求めなさい。

  sin2θ+cos2θ=1 より  第1象限

   sin2θ=1−cos2θ=1−()

    
sinθ= ± Aは鋭角だからsinθ= …答

   tanθ=
より tanθ=÷  …答

問5 θが第3象限の角で、cosθ=-3/5のとき、sinθtanθの値を求めなさい。

  sin2θ+cos2θ=1 より   第3象限の角だから sinθ<0 tanθ>0

   sin2θ=1−cos2θ=1−(9/25)=16/25
    (θが第3象限の角なので sinθ<0)

    よって sinθ-4/5  tanθ =4/3

問6 0°≦θ≦180°とする。
 
 cosθ=-のとき、sinθtanθの値を求めなさい。

解説 右図参照 0°≦θ≦180°でcosθ<0なので、第2象限になります。よってsinθ>0, tanθ<0
 三平方の定理より1
2+y2= 32     y=2√2 図より
   
sinθ=2√2/3  tanθ= -2√2

別解
  sin2θ+(1/9)=1   sin2θ=8/9
 sinθ>0なので
 sinθ=2√2/3

問7 sinθ+cosθ=のとき、sinθcosθの値を求めなさい。

 (x+y)2=x2+2xy+y2を利用しよう。

 問いの sinθ+cosθ=の両辺を2乗します。
   (sinθ+cosθ)
2= ()2
    sin2θ+2sinθcosθ+cos2θ
1/4
    公式 sin2θ+cos2θ=1を使って 
      2sinθcosθ=(1/4−1)=-(3/4)
      sinθ
cosθ=-(3/8)

問8 θが第4象限の角で、tanθ=-2のとき、sinθcosθの値を求めなさい。

  第4象限の角だからsinθ<0 , cosθ>0
 
公式をすべて使ってもいいですが、全部覚えるのは大変。そこで、
  
公式 tanθ=
より,両辺を2乗して、
   tan2θ=sin2θ/cos2θ   (-2)2=(1cos2θ) / cos2θ
   
4=(1cos2θ) / cos2θ  1-cos2θ=4cos2θ
     5cos2θ=1 第4象限だから cosθ=1/√5 cosθ=
√5/5
     tanθ=より
     sinθ=tanθ
×cosθ=(-2)×(1/√5)=-2√5/5
        
絵をかいて三平方の定理を使ってもいいね。

問9 0°≦θ≦180°のとき、sinθ=を満たす角θを求めよ。


  

 sinθだから1象限と2象限、 まずθ=30°
   0°≦θ
≦180° なので、上の図からθ=150°も
      答 
θ=30°,150°…答


■三角関数のグラフ

  sinθ、cosθ、tanθのグラフは以下のようになります。
    ※ 180°=πラジアン(弧度法) 360°=2π ラジアン

 y = sinθのグラフ  (θは角度)
  
 y = cosθのグラフ (θは角度)
   

 y = tanθのグラフ

  (θの値が90°に近づくと、直線θ=90°に限りなく近づいていく。
  このとき、θ=90°をグラフの漸近線(ぜんきんせん)といいます。

     

  3つのグラフは手書きで簡単に描けるようになりましょう。

下図の空白を埋めなさい。

角度(°) 0 30 45 60 90 120 135 150 180
sin
cos
tan
角度(°) 180 210 225 240 270 300 315 330 360
sin
cos
tan

答 

角度(°) 0 30 45 60 90 120 135 150 180
sin 0 1 0
cos 1 0 -1
tan 0 √3 -√3 -1 0
角度(°) 180 210 225 240 270 300 315 330 360
sin 0 -1 0
cos -1 0
tan 0 √3 -√3 -1 0


☆☆ 鋭角の三角関数に帰着するとよいです。

225° = 180° + 45° だから、
sin225°= sin(180°+ 45°) で考える。
よって、sin225° = -


▲弧度法を使って弧の長さl や 面積sを求めてみよう。

   弧度法 180°=πラジアン
     弧の長さの比と中心角の比は等しいので、次の式が成り立つ。
     
l : 2πr = θ: 2π (左辺:弧の長さ比 右辺:角度の比)
          よって 2πl=2πrθ  l=
      面積の比と中心角の比は等しいので、次の式が成り立つ。
         S :πr2 = θ : 2π   2πS=πr2θ   S=r2θ 

2/8

問 半径8㎝、中心角π のおうぎ形の
   ① 弧の長さl は   ② 面積S

円周:r   面積:πr2
   ① 6π㎝   ② 24π㎠

   2πr : l = : π
  円周の長さ比  中心角(ラジアン)の比

解説  仮に半径6㎝、角度45°を考えてみましょう。
まず、円全体の弧の長さ、面積は
円全体
 弧の長さ:12π㎝だから 12π÷8=3/4π㎝
 面積:36π㎤ だから 36π÷8=9/2π㎤



問2 半径6, 中心角 2/3πの扇形の弧の長さと面積を求めよ。

・扇形の弧の長さをlとする

  全体の弧の長さ 2π×6 : l = 2π:2/3π  

    4π(答)

・扇形の面積(Sとする)

  全体の面積 π×36 :S=2π:2/3π

  S=12π・・・(答)


正弦定理
  1年の復習

公式  




 以下に説明します。

 


問1 三角形ABCにおいて、AB=4、A=75°、B=60°のとき、   辺ACの長さ、および外接円の半径を求めなさい。

  まず、図形を簡単に書いてみよう。

 ACの長さ=b とおく
 公式から  
 (AC=b

 bsin45°=4sin60°(sin45=, sin60°=

         b= 2√6 …答

 また、外接円の半径は  から

    
 R= 2√2  …答



問 a=6,A=30°,B=45°のとき,外接円の半径Rとbを求めなさい。

 解答 簡単に絵を描き,与えられたデータを図に書きこもう。
       

   R=6,b=6√2
 

▲余弦定理


公式  
 

例  △ABCにおいて、AB=√13、AC= 3、C=60°のとき、辺BCの長さを求めてみよう。

 角度や長さを多少、気使いながらまず簡単な図を書きましょう。

    角度が1つ、辺の長さが2つ分かっているので余弦定理を使います。
 (2=32x2-2・3・x
cos60°
 13=9+x2-6x
 x2-3x-4=0 
 乗法の公式を使って
  (x+1)(xー4)=0 x>0 なので x=4

問1
 

 
 簡単な図を書こう。正弦定理を使おうとしても、aの値が未知なので、
  余弦定理を用います。

2/10
問2
   

      

問3
  
問4
 
 





▲円の接線と弦の作る角
 円の弦と、その弦の一端を通る接線のつくる角は、
 その角の内部にある弧の円周角と等しい(接弦定理)

   

問 角度A=90°∠x の大きさを求めよ。

     

   
 答
    ∠X=180°- (90°+ 55°) = 35°


方べきの定理

 円の2つの弦AB,CDの交点(図1)、または、それらの延長の交点(図2)をPとすると、
 
  PA×PB=PC×PD が成り立ちます。

      図1            図2
      

 このことは円と直線の交点に作られる2組の三角形が、それぞれ相似であることから証明できます。
 
    図3
 どちらも弧AC、BDの円周角で∠A=∠C、∠B=∠Dから相似


 問1 下の図において、PC=4, CD=5,AB=9のときPAの値を求めよ。
   x
 

 PA = x とおく。
 方べきの定理より、4・(4+5)= x・(x+9)より、
 x2 + 9x = 36  x2 + 9x -36 = 0
 乗法の公式より、(x -3)(x+12)
 x>0だから  x = 3 ・・・答


  検証してみよう AP=3なら
  3・(3+9)=36 4・(4+5)=36 でOK!
 

 問2 下の図において、xの値を求めよ
       

 方べきの定理より、3・(3+8)=x(x+4)より、
  x2 + 4x – 33 = 0 x=-2±√37
   解の公式より、x>0だから  x = -2 + √37・・・答


三角形の面積を求める
 △ABCの2組の辺とその間の角度が分かれば三角形の面積が求められます。
  公式は1つ覚えれば十分です

 公式 

   

以下の証明では、角度Bが分かっているときを例にとります。

 

▲加法定理
  sin,cosの加法定理 公式
    sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
    sin
(α−β)=sinαcosβcosαsinβ
    cos
(α+β)=cosαcosβ
sinαsinβ
    cos(α−β)=cosαcosβ+sinαsinβ

 sin15°の値を求めてみよう

  sin15°= sin(60°−45°) 
    (sin60°×cos45°)-(cos60°×sin45°)

    =
(√6-√2)/4  …答
  別解
      sin(45°−30°) = sin45°×cos30°−cos45°×sin30°

 以下の値を求めよ。
   ① sin75°  ② cos75°  ③ cos   ④ sinπ

答 ①(√6+√2)/4    ②(√6-√2)/4
  ③ cos15°=cos(45−30)=cos45cos30+sin45sin30= (√2+√6)/4
  ④ sinπ=sin165°=sin(120+45)=sin120cos45+cos120sin45=(√2-√6)/4


▲2倍角の公式 公式

 sin2α=2sinαcosα
 cos2α=cos2α-sin2α=1-2sin2α=2cos2α-1
 tan2α=2tanα/(1-tan2α
)

 公式をすべて覚えなくても、以下、加法定理や他の公式から導きだせます。

問 上の公式 sin2α=2sinαcosα を加法定理を使って証明しなさい

 証明 sin2α=sin(α+α)=sinαcosα+cosαsinα=2sinαcosα

問 cos2α=cos2α-sin2αを加法定理を使って証明しなさい

 証明 cos2α=cos(α+α)=cosαcosα-sinαsinα=cos2α-sin2α

問 cos2α-sin2α=1-2sin2αになるのを証明しなさい

  sin2α+cos2α=1より  cos2α=1-sin2α
  左辺 cos2α-sin2α=(1-sin2α)-sin2α=1-2sin2α

問 cos2α-sin2α=2cos2α-1になるのを証明しなさい

  sin2α+cos2α=1より sin2α=1-cos2α 

  左辺 cos2α-sin2α=cos2α-(1-cos2α)=2cos2α-1


▲三角関数の合成の応用

 y=sinθ+√3cosθの最大値、最小値を求めてみよう。

 y=sinθ+√3cosθ=2(sinθ+cosθ)
  =cos =sin より √4=2
 2(sinθ+cosθ)=2(sinθcos+cosθsin)
 =2sin(θ+)    y2sin(θ+)
 -1≦sin(θ+)≦1 だから の最大値は2 最小値は-2 

問1 0≦θ≦2πのとき √3sinθ-cosθ=1を解きなさい。

 √3sinθ-cosθ=1 左辺を合成すると、
 √3sinθ-cosθ(sinθ-cosθ
)  =cos ,=sin だから
 (sinθ-)   よって (sinθ-)=1 sinθ-
    
0≦θ≦2πより,-≦θ- (右図)
 でプラスなので1,2象限となり θ=,π …答

問 関数 y=cos2θ-2sinθ+2 (0≦θ<2π)の最大値・最小値、およびそのときのθの値を求めなさい。

2倍角の公式を使う解き方

y=cos2θ-2sinθ+2  0≦θ<2π 2倍角の公式から
 =12sin²θ2sinθ+2
 =2sin²θ2sinθ+3
  sinθ=xとおく。
   0≦θ<2πでは 1≦sinθ≦1なので 1≦
x≦1。
   y=2x²2x +3
    =2(x+)²++3
  x= で最大  最大値は7/2  θ=7π/6 , 11π/6
           最小値=1  θ=π

2倍角の公式を使わない解き方



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