酸と塩基とPH

アレニウスの定義

酸とは水に溶けてH⁺を生じる物質 例 HCl→H⁺+Cl⁻

塩基とは水に溶けてOH⁻を生じる物質 例 NaOH→Na⁺+OH⁻


酸はHを与える物質 

塩基はHを受け取る物質 例 HCl(酸)+NH₃(塩基)→NH₄⁺+Cl⁻


価数(後にでてくる酸化数とは別物なので混同しない)

1molの酸から生じるH⁺の物質量を酸の価数という 例HClは1価の酸(H⁺) H₂SO₄は2価の酸(2H⁺)

1molの塩基から生じるOH⁻の物質量を塩基の価数という 例NaOHは1価の塩基(OH⁻) CaOH₂は2価の塩基(2OH⁻)

 

電離度

水溶液中で電離している酸や塩基の物質量を電離度といいaで表す。

a=電離している酸or塩基の物質量÷溶かした酸or塩基の物質量

aが0に近いと弱酸or弱塩基(電離しにくい=イオン化しても元に戻りやすい)

aが1に近いと強酸or強塩基(電離しやすい=イオンになったまま元にもどりにくい)

 

例 水はH₂O→H⁺+OH⁻でH⁺とOH⁻のイオン濃度はそれぞれ1.0×10⁻⁷mol/L

PHは酸がどれだけ濃いかを表す値で、1~14までで表し、1が最も強い酸。

酸性1~6 中性7 塩基性(アルカリ性)8~14

例 1.0×10⁻⁷mol/L PH7   1.0×10⁻²mol/L PH2  1.0×10⁻⁹mol/L PH9

 

電離平衡=イオンになる速度と元に戻る速度が釣り合っている状態

例 第1電離CH₃COOH→CHCOO⁻+H⁺ 第2電離CHCOO⁻+H⁺→CH₃COOH 

第1電離と第2電離の反応速度が釣り合っていること=電離平衡

 

 イオン濃度

水素イオン濃度を[H⁺]と表す。

水素イオン濃度を[H⁺]は酸の価数×酸のモル濃度×電離度で決定する

水酸化物イオン濃度を[OH⁻]と表す

水酸化物イオン濃度[OH⁻]は塩基の価数×塩基のモル濃度×電離度

 

弱塩基 電離度が小さい酸 例 酢酸CH₃COOH

強塩基 電離度が大きい酸 例 塩酸HCl

弱酸 電離度が小さい酸 例 アンモニアNH₃

強塩基 電離度が大きい塩基 例 水酸化ナトリウムNaOH

 

 

指示薬

PHの値によって色が変わるもの

メチルオレンジ 3.1未満赤色 3.1~4.4赤色から黄色に徐々に変わる 4.4以上黄色

フェノールフタレイン 8.0未満無色 8.0~9.8無色から赤色に徐々に変わる 9.8以上赤色

メチルレッド 4.2未満赤色 4.2~6.2赤色から黄色に徐々に変わる 6.2以上黄色

BTB 6.0未満黄色 6.0~7.6黄色から青色に徐々に変わる 7.6以上青色

リトマス 4.5未満赤色 4.5~8.3赤色から青色に徐々に変わる 8.3以上青色 

例題1 次のA~EをPHが小さい順に並べよ。

 A 0.1mol/Lの水酸化ナトリウム
 B 0.1mol/Lの酢酸水溶液
 C 0.1mol/Lのアンモニア水
 D 0.1mol/Lの塩酸
 E 水

解き方

電離したあとの式を書く

AはNaOH→Na⁺+OH⁻

BはCH₃COOH→CHCOO⁻+H⁺

CはNH₃+H₂O→NH₄⁺+OH⁻

DはH₂O→H⁺+OH⁻

※電離したあとの式をつくるヒント

酸だったら、H⁺が発生して片方は陰イオンになる。

塩基だったらOH⁻が発生するから、残りは陽イオンになる。

覚える種類は多くないので電離式を覚えておく。

 酸性 中性 塩基性に分ける

酸性B,D 中性E 塩基性AC,

Bの水素イオン濃度を[H⁺]は酸の価数×酸のモル濃度×電離度

Bは酸の価数1 酸のモル濃度0.1mo/L 電離度?

Dは酸の価数1 酸のモル濃度0.1mo/L 電離度?

BとDは電離度がどちらが大きいかを判断する。

Bは弱酸、Dは強酸なので、Dの方が電離度が大きい。(弱酸か強酸かは暗記で覚える必要あり)

[H⁺]はD>B [OH⁻]はB>D

PHはD<B

 

Aの水酸化物イオン濃度[OH⁻]は塩基の価数×塩基のモル濃度×電離度

Aは塩基の価数1 塩基のモル濃度0.1mol/L 電離度?

Cは塩基の価数1 塩基のモル濃度0.1mol/L 電離度?

Aは強塩基Cは弱塩基なので電離度はAの方が大きい

[OH⁻]がAの方が大きいので、[H⁺]はAの方が小さい

(基本的に[H⁺]×[OH⁻]=1.0×10⁻¹⁴mol²/L²である つまり、[OH⁻]と[H⁺]の積は一定なので、[OH⁻]の濃度が濃くなると[H⁺]が薄くなる)

理由はH⁺とOH⁻は結合して水になるので、互いの濃度は常に一定。(但し温度が一定なら)

[OH⁻]はC<A [H⁺]はA<C

PHはC<A    よって、D<B<E<C<A