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雪の下(油彩)
(クリックで大きいファイルになります。)
〜〜 三回忌の冊子から 〜〜
妙子が逝って2年になろうとしています。
時の流れは、悲しみを癒してくれましたが、妙子の存在は、むしろより鮮明に強く私たち家族の心の中に刻まれました。
何をするにも、どこへ行くにも、「妙ちゃんと一緒」という思いは、残された私たちへの妙子からの最大のプレゼントのような気がしています。
妙子は大分前から、自分の短い人生を予感していたようです。書き残した文章や日記には、そんな妙子の秘められた思いを感じることができます。
死の三年前に描いた自画像「雪の下」は、右手に刃に似たほおずきの枝を持った自分を描いています。背景には、血を思わせる赤、黒い服をまとった自分の顔を薄いブルーで塗りつぶしてあります。自分である黒と、赤、ブルーが、キャンバスの右に描かれている雪景色の彼方へ沈んでいます。サインもこの絵に限って二つ記されています。左下のサインは描く自分、右下のサインは天国からの妙子のメッセージのような気がしています。
奇しくも妙子の死の翌日には初雪が舞い降り、そこには妙子の旅立ちにふさわしい清らかな白い風景がありました。地上の汚れをかき消すように広がる雪景色が涙で霞んだことが昨日のことのように思い出されます。
画家と言えるほどの妙子ではありませんでしたが、自分の死の風景を完璧なまでに描いた画家、妙子はすごいと思うのです。そんな妙ちゃんへの思いを込めてこの小冊子を作ってみました。
妙子のこと折にふれ思い出してくだされば、幸いです。
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