2014年 武蔵野テンカラ会 釣行記 

渓英さん追悼釣行会 秩父大滝温泉

4月26日〜27日

16時少し前、道の駅大滝温泉に到着。休日の割には車が少ない。メンバーの車も数台見えるが姿がない。どうやら温泉に行っているようだ。私と遊魚ちゃんは腹ごしらえのために食堂でそばを食べて皆を待つことにした。時間になるとどんどんご帰還して来たが、どこも貧果に終わったとのことだった。また雪渓が川を覆い、目的河川では釣りも出来ないところもあったようだ。
少々メンバーの顔が疲れてみえたが・・・
「釣れても釣れなくてもどうでもいいじゃないか〜、大勢が集まって竿が振れるだけで充分だ!」恐らく渓英さんならばそう言ったと思う!
そして渓英さんのカメラで撮られた集合写真で最後を締めたと思うが・・・今回はない。

ここまで来るとまだまだ大雪の残骸があちらこちらに見られた。川に沿った登山道を歩いていると、雪崩の爪痕だろうか大木があちこちに倒れている。大雪は150cmくらい積もったとキャンプ場の管理人が言っていた。まだまだ雪解けには時間がかかりそうだ。
入渓地点まで30分程歩く。本流に良型がかなりの数見られた。もしや今日は・・・ウヒヒ〜。私も遊魚ちゃんも口には出さないが、人間の卑しい気持ちが湧いてきたのは確かだった。日当たりがよい斜面なので川には残雪はない。急な斜面を流れる沢で登りが心配だが・・・遊魚ちゃんは若い!大丈夫だろう!
川幅も狭く、まずは遊魚ちゃんにどんどん釣ってもらうことにした。落ち込みばかりの川で、狙い易いポイントは随所にある。遊魚ちゃんとペアで入渓するのは初めてなので、暫く彼女のお手並み拝見させてもらった。昨年のシーズンオフに入会した遊魚ちゃん、入会前から単独で管理釣り場に通い釣果はあったものの、技術は亜流。基本的なことを覚えてもらうため、ムサテンの技術指導員!渓潮さんに師匠をお願いし、釣行時には積極的に助言してもらうようにしていた。その甲斐あって、木化け石化けの低姿勢キャスティングなど渓潮さんソックリだった。しかしこのような狭くて枯れ枝が頭上を覆うような細流は初めてで、ライントラブルに大方の時間を取られていた。

めそめそするのはやめよう!いつもの賑やかなムサテンの宴会で送り出そう!メンバー誰もが思っていた。
酒がまわり、いつもらしいムサテンの雰囲気だ。あちらこちらで釣りの話が聞こえ始めた。そしてこの二人、渓隆さんと渓太が酔えば、喧嘩か?と思うほどの勢いで漫才が始まった。渓隆さん、渓太、幸渓は渓英さんと同じ会社の後輩だった。二人は渓英さんの紹介で入会当初から一緒に釣りをしてきた。思い出話も釣行時もあれば現役時の会社でのこともある。渓英さんの遺影を片手に、面白いエピソードに花が咲く。笛ピ〜ピ〜、神流川滑落、双六岳高山病、スピード狂・・・川を見ると子供のような目をしていた渓英さんだけあって、色々なエピソードを残してくれた。

渓相もいいし、ポイントも多く申し分ないのだが、進めども魚信どころか魚影が見えない。あれだけ本流で見かけ、期待していたのに・・・卑しい気持ちを悟られたのか・・・遊魚ちゃんがライントラブル中に竿を出してみた。本流では魚が表層に浮き、ライズもみられたのでフックサイズ16番のブラックパラシュートを選ぶ。ラインは竿の長さより短め、ハリスは0.6号を長めにとった。落ち込みでは流れ出しが短くそして速い、パラシュート向きの流れには見えなかった。流れ出しの距離が長く、水深がありそうなポイントだけに的を絞った。蜘蛛の巣がかかったエグレを発見、うす暗い空洞を作っている。まずは空振りして蜘蛛の巣を払う。暫くは誰も攻めてないようだ。毛鉤に絡みついた蜘蛛の巣を払い、ひと呼吸。頭上とバックを確認し、一筋に絞ったレーン上に毛鉤を落とし流す・・・
一発では出てこない・・・微妙に筋をずらしてみる・・・!!
「やった!やった!」ライントラブルが終わり、後ろから見学していた渓魚ちゃんも毛鉤に向かってくる魚が見えたようだ。心地よい振動が手元に伝わってくる。手元に寄せたのは20cm程の黒々した秩父岩魚だった。お腹がオレンジ色のヒレピン、ネイティブの魚のようだ。
私はこの一匹で満足。竿をたたみ、後は遊魚ちゃんに釣らせることを目的にした。
全てがポイントといっても過言ではないほどの渓相だが、細流でもあり頭上の枝も川に倒れている木々も多く、毛鉤で狙えるポイントは限られる。入渓して3時間ほど・・・そろそろ決断の時だ。
右岸斜面に薄らと踏み跡があり、斜面のかなり上の方は開けている。軽く地図を見てきたので右岸に登山道があることは確か。遊魚ちゃんは熱心に竿を降っているが、これから先は更に流れが細くなり、地形的にも急な流れになってくると思われた。登山道まで這い上がり、本流まで歩き戻ることした。

翌日はチャッチャ!と朝食を済ませ撤収。山の斜面にあるキャンプ場、その一番下のロッジなので駐車場まで朝から山登り・・・荷物は軽トラで運んでくれた。
16時に「道の駅大滝温泉」に集合ということで、各チームが予定河川に向かった。
私(幸渓)はムサテン最年少しかも女性の遊魚ちゃんと入川へ向かった。遊魚ちゃんはシーズンオフ中に管理釣り場に通いつめ、めきめきと腕を上げている。キャンプ場から入川へは20分程、観光釣り場の有料駐車場に車をデポする。

26日、12時間ぶりにメンバー再集結。お浄めで少々飲みすぎたメンバーが多かったような?今回の場所は秩父大滝温泉つちうちキャンプ場のロッジを借りた。新緑の林に囲まれた綺麗なキャンプ場だ。昼くらいから徐々にメンバーが集まりだし、予め決めていた分担に早速とりかかる。
男性は初日は釣行なし、17時半開始予定の追悼宴会の準備に精を出す。女子部3人は渓潮さんのテンカラ教室を受けてもらうため、キャンプ場下の荒川本流で竿を振る。

15名分の宴会料理の仕込みはけっこう大変。豚汁作りはクッキングパパ渓粋さん。今回はキッチンドリンカーでなく、まじめに美味しい豚汁作り。他メンバーはBBQの具材作り。マイ包丁持ち込みの純渓さん、包丁捌きは流石だ。BBQコンロは4台、宴会開始までに炭を落ち着かせるため早めの着火。これはいつも渓英さんと渓隆さんの仕事だったが・・・渓隆さんがひとりで寂しそう・・・そこで豚汁作りが終わった渓粋さんが弟子入りすることになった。

毎年恒例になっている、GWキャンプ釣行。
渓英さんが荼毘される日の計画であり、複雑な気持ち、当然中止など意見もあったが、「渓英さんも元気であれば心待ちにしていた釣行会だし、告別式でお別れをするよりも釣りの会らしいやり方で、渓英さんを送ろう」とメンバーの理解を得て決行することにした。
前日25日は吉祥寺でお通夜に参列。人望が厚かった人物だけあり、退職してから十数年経過していたが大勢が参列していた。中には日本を代表するアニメーター宮○駿○氏の姿もあった。若い時代一緒に仕事をしていた仲だと聞いていた。
お浄めの場所も徐々に人がいなくなり、ムサテンメンバーと親族だけとなった。奥様にお願いし、棺の中の安らかに眠る渓英さんのお顔を拝見。目が熱くなった。そして亡くなってしまったことを現実として受け止めた。そして明日はムサテンメンバーだけでお別れ会をすることをご家族に報告。「遠慮なく皆さんで送ってください。それが一番喜びます。」というお言葉もいただいた。

本流まで登山道を30分程歩く。登山道が九十九折になっているくらい急斜面の川だったということだ。これだけ体力を使わせて、貧果になってしまい少々遊魚ちゃんには申し訳ないことをしてしまったような・・・でもこれも釣りなのです!そして今回のような流れが、今釣行の主人公渓英さんが好んで行ったところ、山釣りなのです!
本流は竿が振りやすい。遊魚ちゃんも伸び伸びとキャスティングしている。しかし魚影が・・・あれだけ行きに見えていたのに全く見かけなくなった。大場所も随所にあるのに・・・しかし所々には大きな雪渓があり、かなり水温も低いようだ。今年はあの大雪のせいで時期がひと月程遅れているようだ。
時計を見ると14時を少し回っている。駐車場までの帰り時間、着替えなどを考えてそろそろ納竿だ。遊魚ちゃんにあの左岸の沢で登山道に帰ることを伝えた。

周りからもプンプンいい匂いが漂い始める。女子部と師匠もご帰還!釣果は3匹師匠が上げてくれた。
ロッジ前の専用BBQ場に全員集結、酔わぬ前に明日の沢割を始める。沢割は秩父周辺に詳しい渓川さんにお願いした。予め入渓場所を決めておいてもらい、クジ引きで同行者と入渓河川を決めた。
辺りもうす暗くなりランタンに火を灯す。渓英さんとのお別れ会を始めることにした。
年が近く兄貴分として渓英さんを慕い、一番悲しみにくれた渓忠さん。献杯をお願いした。

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