ふれあい館に到着したのは7時15分。まだ約束の時間より早いので、ふれあい館の下手の道を歩いて川を見に行く事にする。一か所だけ凍結した所があったが転ばぬ様に慎重に歩く。川に着くとたくさんの釣り人が竿を出していた。まだ暗いうちから待っていたのだろうか、ビクを覗かせてもらうと20匹ほどの綺麗なヤマメが入っていた。どの釣り人も話しかけるのも躊躇してしまうほど目印に神経を集中させている。何もかも忘れて、そして童心に戻り、素晴らしい時間を堪能している様だった。
午前8時前に全員集合、ふれあい館の中にある漁協で年券を購入し、さっそく住居附沢合流付近から下流域にあるキャッチ&リリース区域へと向かう。乙父トンネルを抜けて次のトンネルに入る手前を右折、クネクネと曲がった県道を進むと住居附沢が右岸より流れ込む。その少し上流から下流の役場までの距離はかなり長く感じる。私達は一番上流域になる駐車場に車を停めた。広々とした駐車場だがまだ整備途中なのだろうか、凸凹が多くてバーストが心配だった。車を降りて見るとさすがに寒い・・・思わず身体を硬くしてしまった。対岸の斜面にはまだ雪が残っており渓英さんが水温を計るとなんと4℃・・・まだ毛ばりに魚が反応する時間帯ではなさそうである。

2013年 武蔵野テンカラ会 釣行記 NO1

下流に向かうには一旦、乙母地区を通る旧道に出たらすぐに右手に架かる橋を渡る。橋を渡ったら左折して河原に降りる。駐車場の上は役場消防署がありトイレも借りられるとの事だった。駐車場は満杯状態で車を停めるのに困ったが、どうやら全員が空いている所を見つけた。釣り場にはたくさんのフライマンがしきりにロッドを振っていた。ここの釣り場は我々がいた上流域とは大違い・・・深いが連続し造られており、何処にでも見受けられる完全な管理釣り場。漁協の放流もこのあたりを中心に行われたらしく、水底には黒い塊の様に魚の群れが見える。これでは無理をして自然渓流に近い上流へ行く必要もない筈である。フライマン達の釣りを少し眺めていたが、なかなか順調のようだ。しかし、後方を歩いているとピュっと毛ばりの付いたラインが頭上に飛んで来る。危ない!危ない!夢中になると後方を歩く釣り人のことを忘れてしまう様だ。我々も注意をしなければなりません!無理に割り込む訳にもいかないので浅瀬が続く下流に行く事にした。此処は上流の自然渓流に近いが、両岸には枯れ葦が倒れていて全体には浅い流れとなっている。その浅い流れをよく見ると数匹のヤマメの姿がある。渓英さんは対岸に渡り、やはり魚影を発見した様だ。毛ばりを流すと面白い様に反応をする。渓英さんと2人で午前中のうっぷんを充分にはらす事が出来た。

周りを見渡しても釣り人は少ない。やはりこれも平日の為だろか。午後から下流域に移ってその原因が判明したのだが、その時点では知る由もなかった。まだ寒い釣り人も少ない・・・慌てて支度をすることもないだろう。バックドアーを開けてのんびり身支度をしていると、笑渓さんはもう竿を出している。私も急いで渓流シューズを履く事にした。
まだこの水温では魚が毛ばりに喰いつく筈はない・・・と思っていた矢先に笑渓さんの竿がいきなり曲がったのだ。私はデジブック用のカメラをまだ用意していない。しかしカメラを取り出す間もなく彼は釣ったヤマメを流れに戻していた。釣れましたよ。と何事もなかった様に笑う。やはりこの人はただ者ではない、本当に良い人が会に入ってくれたものだ・・・私はカメラを構えながらひとり頷いていた。
今年の神流川は水量も例年並みというところだろう。夏にはも放流されるというが、対岸寄りに強い流れがあり、中央付近には大小の石が点在して程よいポイントをつくり、自然渓流そのままの河川である。昨年渓英さんが爆釣をした箇所の水中を見ると魚影が見えた。昨年ほどの数ではなさそうだが、笑渓さんはドライで次々と良型ヤマメを掛けている。渓英さん、渓川さんが其々にポイントを見つけて竿を振りだしたのを見届けて、私は住居附沢合流地点まで行ってみる事にした。河原には枯れ葦が倒れていてその間を歩くのだが、ウエーダーをはいての歩行はじつに疲れる。50Mも進まないうちに汗が出て来た。

群馬県神流川解禁日

〜上野村キャッチ&リリース区間〜

3月1日

渓忠 渓英 渓川 笑渓

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その後、参加者全員で記念撮影をして楽しかった一日の終わりとした。此処のキャッチ&リリース区間は下流の役場下付近から上流は乙母橋までと範囲は広い、役場下の淵は魚影こそ多いが渓流志向には物足りないかも知れない。仲間同士で釣りを楽しむなら下流域、単独でのんびり釣るならば上流域が良い様に思われる。また数多く釣りたいならば俗に言う金玉毛ばりを使う方が面白いだろうが、浮かせる毛ばりに拘るならば、笑渓さんの様にその日の当たり毛ばりを早く見つける事が大切だと考えます。

少し時間を過ごしていると、大淵の前で釣っていたフライマンが休憩に入った様で姿が見えなくなった。さっそく、我々メンバーが入れ替わりに釣る事となった。フライマンに攻められ続けられた魚だが、我々の毛ばりに良く反応をする。ドライの渓英さん、笑渓さん、そして私の逆さ毛ばりにも次々と飛びついて来た。特に笑渓さんの当たり毛ばりは威力を発揮している。やはりこの様な管理釣り場では毛ばり選びが釣果を左右する様だ。午後3時を回った後、午前中に釣った最上流域へ再度向かう事にした。狙う場所は朝、私が完敗した住居附沢の合流付近の淵と浅瀬である。現場にはフライマンが一人と餌釣り師(此処は餌釣り禁止区でしたが)がいたが、渓川さんはすぐにそのフライマンと仲良しになった。聞くところによるとそのフライマンは100匹近くの釣果があったとの事である。世の中にはまだまだ優れ名人がいるものだ。大淵にはたくさんのヤマメがいたが、底にへばりついており毛ばりに反応をしない・・・此処は沈めて狙うのが良さそうだが生憎と沈める毛ばりの持ち合わせがなかった。浅瀬を狙う笑渓さんはここでも好調で、見ている前で両型ヤマメを掛けていた。渓川さんはと見るとこちらも余裕綽々!釣ったヤマメをの溜まりに泳がせている。その数はおよそ10匹位だろうか、両手でやさしく掬っては流れに帰していた。

昨年、合流付近のにはたくさんの魚が泳いでいた。今年はどうだろうか・・・と覗いて見たかったが淵には一人のフライマンがしきりにロッドを振っている。邪魔をしない様に遠回りして上流へと向かう事にした。合流地点から100Mほど上流にロープが張ってあり、それから上は一般釣り場となっている、私はそのロープまでの間をくまなく毛ばりを流してみた。この辺りは大きな淵はなく、浅瀬が続いている。水が澄んでいて底石もはっきり見えるが、どうやら魚影はない様子。
私が諦めて下り始めた時に、下手からひとりのテンカラ師が釣り上がって来た。どうせ釣れていないだろう。勝手に想像をしながら聞いて見ると、そこの浅瀬で釣りましたよ、と撮ったばかりの写真を見せてくれた。そこには見事なヤマメが写っている。その浅瀬は先ほど私が毛ばりを何度となく流した場所だった。驚きを隠せないまま彼の毛ばりを見せてもらうと、ヘッドに金色のビーズを付けた毛ばりを使っている、老眼本舗の倉上さんが考案したと言われているこの毛ばりは多くのテンカラ師に使用されている様だ。気を取り直して渓英さん、笑渓さんがいる下流方面に向かう事にしたが、渓英さんも私同様に苦戦している様子。私達を尻目に笑渓さん、渓川さんの竿はしなりっ放し、どうやらこの状況は毛ばりというより腕の差と言える様である。渓川さんにこの岩の裏側にたくさんいますよ、と教えてもらい挑戦したがさっぱり釣れない・・・朝、あんなに冷たかった風も午前11時になると心地よい暖かさと変わった。対面の岸にあった雪もみるみる溶けている。首を傾げながら竿を振り続ける渓英さんと私にようやく当たりが出始めたところで、めでたく午前の釣りが終了となった。各々持参の昼食を終えて、午後からは下流域に向かう事となった。下流域は現在の場所からは見えない。大きく曲折をしている為だ。

午前5時、まだ周囲は薄暗い・・・近所に気を使いながらシャッターを開けた。本年初めての釣りはやはり神流川である。寒さも少し和らいでいる様だ。上着を脱ぎながら車に乗り込だ。集合時間はふれあい館に午前8時、高速道路もまだ車が少ない。時間も充分あるので左車線をゆっくりと走った。関越道から上信越道に入り一路下仁田インターをめざす、しらじらと明けて行く空を見ながらも心はすでに神流川の流れへと飛んでいる。湯の沢トンネルに差し掛かる頃には空もすっかり明るくなりハンドルも軽い。トンネルを抜けても道路には残雪はほとんど無く、凍結している場所も見受けない。しかし、ドアーを開けてみると冷たい空気が一気に押し込んで来る。周囲の山々を見上げるとまだ白い衣をまとっていた。3月に入ったと言っても上野村の春はまだ先の様だった。