2012年 武蔵野テンカラ会 釣行記 NO15

上流域は左右とも岸壁が迫り幽の沢の核心部へと向かう。以前存在していた大淵には倒木、流木が折り重なる様に有り、流れて来た砂によって深場が埋まった状態だ。その僅かな隙間を狙って毛ばりを落としたがやはり魚の反応は無かった。I氏と首を傾げながら更に釣り上がると、前方の景色に見覚えがある。私の記憶では魚止の滝はもうすぐの筈だ。竿をたたんで先を急いだが、目的の魚止の滝が見当たらない・・・不思議に思いながらふと左岸の岸壁を見ると確かに見覚えがあった。あの魚止の岸壁に間違いがない。しかし目の前の淵は何事もなかった様に穏やかな水をたたえている普通の淵である。昨年来た時にI氏がよじ登ったあの魚止の滝は消滅をしていたのだ、更に滝上には平坦な砂地があった筈だったが、そこには逞しい淵が連続して出現をしていた。

ゴミ沢合流地点に来て愕然とした。
 あのに包まれていた小沢が崩れて来た大岩群につぶされて跡かたもなくなっている。あらためて自然の脅威を思い知らされた瞬間だった。しかし、そのすぐ上流にある細長い淵は以前のままである。なんと懐かしく、愛おしい事だろうか・・・思わずカメラを構えていた。その淵は左岸寄りの岩場をヘツって越える。その上流から再び竿を出しだが、今度はどうした事かまったく魚の姿が見えない。しかも倒木が行く手を塞いでいる箇所が次々と現れて私達を困惑させる。下流域の状況から更なる上流ではたくさんの魚達に会える事を期待していたが、まったく予想外の展開であった。

奥利根 幽の沢釣行

渓忠記

現れた良淵に毛ばりを落とすとすかさず岩魚が飛び出して来た。どうやらこの先には魚が棲息している様子である。I氏にも良型の岩魚が掛かり、久しぶりに顔をほころばせている。渓は右左にと小さく屈折を繰り返し、良淵が続いてやがて前方に新しい魚止らしき滝が現れた。左手から流れ落ちる水は激しく滝壺にぶつかり、これではよほどの大水がでない限り、流石の岩魚達も上流へは登れそうもない。滝壺も大きくはないがかなりの深さである。そして迂闊にも2人でその淵をのぞきこんだ時であった。大きな黒い物体がさっと岩陰に走ったのである!しかもそれは一つではなく複数、まぎれもなく大岩魚達だった。

両岸には木々の枝が風になびき、日中でも涼しく感じるあのは消えてしまったが、逆に広々とした河原はテンカラには最適な環境となっている。まず、私が第一投目の毛ばりを投入したのは前方の浅く小さな淀み、予想に反してすぐ反応があった。勢い良く毛ばりに飛びついて来たのは22cmの綺麗な岩魚だった。そのすぐ前方の流れを狙った井ノ山氏の竿も同時にしなっていた。どうやらこの辺りの魚影はかなり濃い様子だ。私達はそれを確認して先を急ぐ事にした。以前の様な大石が無くなったので遡行は楽になったが、浮 石が多くなり足元には注意が必要だ。しばらく進むと左岸寄りに今までに記憶のない岩場が現れた。すぐ下には新しい淵が出来ており、試しに毛ばりを流すと小さな岩魚がすっと近寄って来る。更に進むと今度は右岸に素晴らしい光景が目に飛び込んで来た。岩場に縦に墨で描いた様な線がいくつも描かれているのだ。この光景はプロカメラマンが撮ったならかなりの反響を呼ぶ事だろうと思った、一応私もカメラをむける

管理事務所で記帳をしてボートを発進させたのは午前6時30分、空は青く、風もない・・・今日の晴天が約束された様だ。昨年来の幽の沢はどの様に変わっているだろうか、不安と期待が入り混じって複雑な心境である。湖には流木が所々に浮かんでおり、慎重に舵取りをしながら進む事20分、幽の沢のインレットに到達した。そして驚いたのはその変貌ぶりであった。以前のボート係留場所は左岸寄りの砂場のすぐ下にあったが、その砂場が完全に消滅していて、平坦な広々とした河原が目の前に存在しているのだった。ボートは正面の岸に係留して河原を歩き始めたが、あの両岸が狭まり、窮屈そうだった幽の沢入り口付近の渓相は何処に消えてしまったのだろう・・・カワゴ沢の合流地点まで来ると以前の渓相の面影が残る淵が所々に現れる様になって来た。私達はその先の右岸から流れ込む小沢の出会いから釣り上がる事にした。

昨年の集注豪雨で変貌をした幽の沢へ

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昨年の集中豪雨の後、小穂口奈良沢コツナギ沢へは訪れているが幽の沢だけは入っていなかった。
あの魚止は・・・あの岩魚達は・・・いったいどの様に変貌をしているのだろうか・・・
7月25日釣友のI氏を誘っての釣行となった。24日午後10時にゲートに到着、ゲートが開く午前6時まで車中にて仮眠をする事にする。午前5時にI氏に起こされて車外に出ると、私のボートの後には3台ほどの車が停まっていた。話をさせて戴くと沢に入る釣り人はいない様で一安心した。

7月25日

渓忠  I氏

あの魚止は・・・あの岩魚達は・・・

I氏がその岩魚達と対峙している間に、私は左岸の岩場をのぼり滝上に出た。滝上は穏やかな流れとなり30mほど先に1mほどの深さの淵があった。その淵の上流は滑滝となって涼しいしぶきが霧状になって落ちてくる。には魚の存在は確認できなかったが、新しく出現をした魚止滝を見つけただけで充分であった。そして木陰を見つけてしばしの休息後、満たされた気持ちで下山の準備にとりかかった