あと数日滞在し、俗世間に戻ったら・・・現実社会の忙しさに付いていけなくなるだろうな・・・10時10分に小屋を出発した。
食料、酒がなくなり帰りの足取りは軽かった。心配していた道迷いは、昨日我々が歩いた跡が薄く残っており、それを頼りに進んだので全く迷うことなくゴール出来た。入川観光釣り場に14:50に到着。帰りは4時間40分で戻ることが出来た.
帰宅途中に大滝温泉で汗を流し、小腹が減ったので秩父のラーメン屋「いとう」に立ち寄る。自宅へは19時に到着する事が出来た。自宅からも2時間半程度でアクセスしやすく、現実逃避するには最高の場所である。家出にもいいかも!来シーズンはもうすこし小屋でゆっくりして、千丈ノ滝の上流へ行ってみたいものだ!

2012年 武蔵野テンカラ会 釣行記 NO14

翌日は山道が不明瞭であるという心配もあり、10時には小屋を出発することにしていた。朝食後、すべての物をザックに仕舞い込み、釣りから帰ってきたら直ぐに出発できるようにした。二日目の釣り場は小屋の下流から真ノ沢に入り時間いっぱいまで釣ることにした。登山道を使って下流へ向かい、道が川から離れ登りにかかるところより入渓した。小屋から僅かな距離だが、本流らしい渓相であり流れが太い。小屋まえから細流となるようだ。流れが幾筋に分かれているので交互に釣り上がる必要はない。互いに両岸に分かれて釣り上って行く。まだ渓に日が差しこまず、水がとても冷たい。魚の反応も悪く、毛鉤に興味深々の小魚が釣れてくるだけで二股まで来てしまった。真ノ沢へ足を向け、昨日良型を上げたポイントを探るがこちらも二番手の魚は出てくれない。上流を釣っていた渓粹さんが納得サイズをようやく上げたが8寸程の魚であった。時間はそろそろ10時、そろそろ竿を収める時間だ。渓粹さんに釣ってもらうことにして、私は先に竿を納めた。渓に日が差しこみ、周りの木々に生命観を感じる。どの木にも緑の葉が生い茂り、葉を通し渓に差し込む日が柔らかく感じられた。小屋まで20分ほどの地点で渓粹さんも竿を納める。合流地点まで川通しで下り、橋に上って登山道で小屋へ戻った。

小屋周辺に薪が少なかったので、焚き火用の薪を拾いながら小屋まで戻ることにした。
1時間程で小屋に到着。大小の薪木をロープに巻きつけ、背負ってきたので足がフラフラ〜
小屋に入る前に冷たいビールでまずは乾杯することにした。灯りが全くなく、全てのことは日が出ているうちに済ませようと早めの準備にとりかかる。小屋に一旦戻り、着替えを済ませたら直ぐに焚火を起こす。薪は十分!教科書通りにすればすぐに着火出来た。疲れた身体にアルコールは早く浸透し、足の疲れも手伝って酔うまではすぐだった。夕食のメインである豚シャブの準備はコンロで湯を沸かし、野菜を切り刻むだけ。あとは冷凍してきた豚肉をシャブシャブするだけだ!そして釣果の岩魚を骨酒用、塩焼き用に焚火に翳した。6時くらいになると山は急激に暗くなり、同時に気温もぐっと冷え込んでくる。周りを囲む稜線の木々が夕日でオレンジ色に輝き、小屋周辺は徐々に暗くなってきた。今まで見えなかった焚火の火がはっきりみえるようになってきた。渓粹さんが小屋へ戻り、竿を片手に持ってきた。小屋前の淵で夕マズメをやってみるようだ。二日酔い覚めてまた二日酔いかな?サンダル履きで淵に立ち込むが・・・簡単にはいかない!かなり水が冷たいようで焚火に足をあてていると、トビゲラが焚火周辺に集まってくる。「生餌でやってみますよ」と再度淵に立ちこんだ・・・・と!「来ましたよ!デケ〜!尺もの!上がらないですよ〜!」と大声が聞こえる。「酔っぱらっているから、根がかりと勘違いしているんじゃないの〜」と見てみると、確かに穂先がブルブルとしなっている。「お〜!慎重に!後ろに下がって・・・」と思いきや・・・プツン!穂先の躍動がなくなった・・・残念!焚火に翳した岩魚の塩焼きを頬張りながら悔しがっていた。
日もすっかりと落ち、焚き火が頼りになる。気温も低くダウンジャケットを着こむほどになった。「そろそろ小屋に入って二次会!骨酒にしよう!」焚き火の安全を確認し、食事の片付けをし、ヘッドランプに先導されて小屋へ戻った。ランタンを灯し、熱々の骨酒は大変風情があっていいものだ。このまま時間が停まってくれてもいい・・・聞こえる音は我々の話声と、ランタンのガスの音だけ。何もかも忘れて男の話で盛り上がり、骨酒を飲み干して・・・最高の宴会だった。

【真ノ沢】

20分程で二股まで戻り真ノ沢を釣り上がる。時間的に短い遡行しか出来ないので、いいポイントだけ探って行くことにする。狭いと思ったが、先ほど私が良型を釣り上げた落ち込みの上から意外に沢は広がった。股ノ沢の1.5倍ほどの規模があり、頭上も開けて遡行しやすい。真ノ沢が合流するすぐ上には登山道の橋が架かっている。その橋を潜り抜けたところすぐに、いかにも〜という絶好のポイントがあった。渓粹さんは仕掛けを変えているようなので、そこを釣らせてもらう。毛鉤は12番、胴はグリーン、ハックルは白のパラシュート。速い流れをそのまま落とす小さな落ち込みが上にある。流れは一気に水中に沈みこみ、真ん中あたりから吹き上がっていた。落ち込みの両脇は吹き上がりから発生する泡で白いが流れが緩くなっている。毛鉤を落ち込みの右に落とすとゆっくりと水流に載って行く・・・毛鉤が一瞬の内に水中に消され、すかさず手首を返す!よし!竿先がずんずんと引かれていく!かなりデカいぞ!渓粹さんもそれに気が付き、魚との駆け引きを写真に撮ってくれている。魚は針から逃れようと、水中に潜り込んでいくことがよくわかる。久しぶりの感触だ!竿を立て一杯に後ろにかざし、ラインをたぐる・・・ハリスを変えていないためかなり劣化してきていると思う。慎重に、慎重に魚を引き寄せ手中にした。引きからして尺はあるだろう・・・と思っていたが・・・泣き尺だった。胴体は黒ずんでいるが濃いオレンジ色の斑点が小さく散らばっている、秩父イワナであった。
この釣果でもう今日は満足だ!時間的にも釣り時間は1時間程度、あとは渓粹さんを先行させ、小さなポイントを拾っていくことにした。やはりこの沢も魚がいるポイントが決まっているのか、直ぐに渓粹さんも良型を釣り上げた。真ノ沢は落差も然程なく遡行しやすい。頭上の木々は遥か上に覆いかぶさっているのでテンカラ向きの渓だと思う。頭上の緑が太陽の光を通し渓が明るい。飽きない程度の引きを味わうことが出来、予定の3時半にになった。前方にある倒木の下がよいポイントになっているので、そこまで釣り上がり竿を収めることにした。渓は益々よくなって行くばかり・・・このまま千丈ノ滝まで行けるようだ。来年は是非この先まで・・・そして滝の上にも・・・

 ここからは段差は無くなり、程度にポイントが構成されているフラットな流れになった。渓粹さんの乳首毛鉤がプカプカと流れに乗って行くのが良く見える。小さなポイントだったが、対岸のチャラ瀬の中にあった石裏を狙っとき、渓粹さんの竿が大きくしなった。「でかいですよ!」小刻みに揺れる竿先からしても良型は間違いない。竿を立て、ゆっくりと魚を寄せてくる。手中に収まった魚は25cm程の岩魚らしい顔つきをした良型だった。これから型が上がって行くのか・・・期待が膨らむ!フラットな流れなので、魚に我々の姿が見えやすいようで、あちらこちらから小型の魚が逃げていく。この後は二人、適当な間隔を開けながら、抜きつつ抜かれつつ、ポイントを探っていく。慎重に探れば必ず22〜23cmの魚が至る所で反応してくれたが、納得サイズがなかなか出てくれない。目の前には、真ノ沢と股ノ沢を分ける二股が現れた。水は本流筋だけあって真ノ沢が多い。水質が違うのか?股ノ沢の石は茶色っぽく見える。どちらに行くか?股ノ沢の行けるところまで行ってみようということになった。二股の真ノ沢の小さな落ち込みが美味しそうなポイントだったので、足を向ける前にカディスを浮かべてみた!水深があり吹き上がりの水流で白っぽいのだが、その中から飛びついてきてくれた!今までとは違った引き一気に抜くことは出来なかった。手元に来たのは真ん丸と太り、オレンジ色をした源流イワナだった。
 時計を見ると12時近い、二股にあった日当たりがよい岩場に腰かけて昼食にした。昼食は軽量化を図りフランスパンとクリームチーズだけ。昼食用にというよりも行動食、腹が空いたら釣りながら頬張ればいい。釣りのガイド本をコピーしてきたので、股ノ沢の遡行図を見てみたが、通らずが多く大きく高巻きを強いられるところがあるようだ。ここさえ通過できれば適度な滝とゴーロの繰り返しで、イワナ場が続いているらしい。食べ物を胃に入れると、血流がよくなり眠気を誘ってしまいそうだ!遡行をスタートさせた。

【本流】

私はカディスにしてみた。サイズは14番、ボディーはこの時期反応がよいピーコック、ハックルはブラウン、ウィングはナチュラル。竿は小渓であるので3.3m。仕掛けは、ラインとハリスで竿と同じ長さ、短めの仕掛けにした。大きな淵で全てを探るのに時間がかかりそうなので、直ぐ上から始まる落ち込みの連続を狙うことにし、先へ回った。頭上にボサが多いので慎重にキャスティングする。小さなポイントに毛鉤を入れるが流れが速すぎるようだ。毛鉤を3回流し、相手にしてくれなければ次のポイントへ向かう。ポイントは至る所にあるので渓粹さんが追いつくまで、丹念に探った。「ダメですね〜」「そんなに早くから釣れたら飽きちゃうよ!」渓粹さんに、先にある大場所を狙ってもらう。私は後方から見物だ。
「あぁ〜魚走っちゃいました!」浅瀬にいた魚に気付かれたようだ。浅瀬が広く、最後に落ち込みがあるポイントだった。ここから流れが90度左へ向く。渓粹さんが最後に落ち込みの際を狙っているので、遠巻きに次のポイントに向かった。渓粹さんが狙う落ち込みの上の流れ。流れは細いが、流速、水深などちょうどよいポイントがあった。頭上に木々が無いかを確かめ、岩陰から狙ってみる。3投目くらいか!水流が落ちる寸前の対岸の石ギリギリの流れから、素早い反応が!手首でガッツリ合わせを食らわせた。心地よい振動が竿に伝わってくる。手元に来たのは24cm、腹が見事なオレンジ色をした秩父イワナであった。釣り上げたことを知った渓粹さんが近寄ってきて、写真をパチリと撮ってもらってリリースした。今回は夕食のメニューに塩焼きと骨酒が入っているので4尾キープする予定である。でもまだまだこれから!渓粹さんに先を譲る。

 「お邪魔しま〜す!」「ガラガラ〜」木の扉を開く。一段高くなっている板の間に重い荷を置き、一呼吸。見回す広さでないので誰もいないことが一目瞭然だ。もしかしたら、今日は貸し切り状態になる?シューズのひもを解いて板の間に上がり込み、早速荷解き。大きめの銀マットが置き去りにされていたので、この後誰が来ても大丈夫なように、銀マットをひき寝るスペースだけ確保した。小屋の中を見回すと、手ぶらで食料と酒だけ持ってくれば事足りるくらいの生活用品がある。ツルハシ、スコップなどもあることから山を管理する方々のものであろう。寝床の用意、釣りから帰ってきて直ぐに食事が出来るようセッティングも完了した。渓粹さんが、早く釣りへ行きたくてウズウズしているようだ!二日酔いも治ったようで臭いもない!
時間的にも、体力的にも目標の千丈ノ滝上流へ向かうには無謀・・・と判断し、小屋前の本流と真ノ沢、股ノ沢の行けるところまで、15時30分くらいまで釣ろう、と話し合った。
担いできた水分(ビール、焼酎、日本酒)を玉ねぎ袋に入れ、小屋前の流れに浸す。水が冷たく心地よい。目の前に良淵が広がっているので、仕掛けをセットしここより釣り上がることにした。渓粹さんは準備良く、既に仕掛けを竿に巻いてきているようだ。毛鉤は2週間前の野呂川で爆裂した「乳首毛鉤」。パラシュートのポストが乳首大で、艶やかなピンク色・・・水面に綺麗に突起!することからのネーミング。フックサイズは14番、ボディー、ハックルもホワイトで視認性がとてもよい。フロータントをよく塗り込み、入川での釣りが始まった。

ここからは、遥か下に流れる入川の小さな流れの音を聞きながら、入川を形成する幾筋もの尾根を越えて小屋まで進む。広場の案内図には途中に二か所の崩落場所があるとのことだが・・・
植生も変わり松林が多くなり、大きな松の実が道に落ちている。標高が高く、渓筋ということもあり心地よい風が流れる。休憩し目を閉じていると眠りに落ちてしまいそうだ。尾根超えの道も大変細く、緊張を強いられるところも所々あり、小さなアップダウンを繰り返して行く。出発から何時間かかっているのか?もう気にならなくなっている。柳小屋に早く到着してゆっくりと腰を落ち着けたいだけだ。二日酔いの渓粹さんもようやく調子を戻したようだが、脱水のため持ってきた水を全て飲んでしまい、干してしまった。小さな沢の流れを発見しペットボトルに入れても濁りがある。水!水!と意識しながら歩くと大きめの流れの音が聞こえる。近くまで来て判明したが第一崩落現場だった。
大水が出たのであろう、大小のガレ石が散在し、登山道が無くなっている。沢の向こう斜面中腹にある道までは泥斜面をよじ登るしかないが、トラロープが危険個所に付けられている。水を補給して顔を洗いさっぱりしてから崩落現場に取りついた。
ここを後にしてもまだ一か所・・・そして柳小屋はいつになったら現れるのか?道が若干下ってくると、「おっ!もう近いか!」と思わせるが、それは尾根を下っているところばかり・・・そしてまた登り・・・不安になってくる。第一崩落現場から大した距離もなく次なる崩落個所が現れた。ここは先ほどでもなく、手がかりも多いので無難に乗り越えた。入川の流れの音もかなり大きくなってきた。道が下ったのか、川が急流なのかわからない。植生も変わり始め広葉樹が目立ち始め、道が一気に下りにかかった。
入川の流れもはっきりみえる。頭上が開け、明るくテンカラに向いた渓だ。そして川がすぐ横に沿うようになり魚の姿も確認。前方の木々の間から人工物が僅かに見えた!やっとの思いで柳小屋に到着できた。4時出発、11時到着。7時間も要してしまった。

時間計算をするとロスタイムは恐らく90分程度か・・・広場に戻って道を決断し、また迷うようならば今回は断念しよう!と決めて一気に広場まで戻る。渓粹さんは足をひきずりながらゆっくり降りて来た。二万五千分の一、広場の案内図、登山用のおおまかな地図、釣りガイドのコピーを見ながらコースを検討。橋脚跡はある!でもその先に道らしきものはない!標識通り十文字峠方面へ進んだ!標識がいたずらされたか?吊り橋は渡った!結果、先ほどの道で正解だ。とんでもないアルバイトをしてしまった!
時間は十分にある。また過酷な急登だ。落胆のため幾分気力が落ちたか・・・足が重い。先程Uターンした場所まで無言で進む。先にしばらく進むと標識があった!片方は十文字峠方面、片方は山道と書いてある。標識が少なすぎる。あと何キロとかあと何分とかの情報が欲しいものだ。お互いホッとした瞬間だ。そして山道も入川方面に巻き始めた。ここまでは苔むした石がゴロゴロ続く道であったが、一気に枯れた落ち葉に敷かれた山道となる。雑草が生えてなく、一面落ち葉であるため、不明瞭な踏み跡をたどりながらになった。進んでいる道も登山道というより杣道程度であり、獣道がいたるところにあるためここも大変迷いやすい。所々の枝にピンクのテープが巻かれそれがたよりだ。若干九十九折りの登りになってはいるが、先程の急登往復で太ももが悲鳴を上げ始めている。山林を抜けると標識もある平場があった。どうやら登りは終わったようだ。

行きたかった渓へようやくたどり着けた。
春先になると西武鉄道がこぞってPRするところ、荒川起点の入川だ。ただそのPRは記念碑がある支流の赤沢までの森林軌道のハイキングコースが主で、荒川の源はまだまだ奥に深い。その奥には柳小屋(柳避難小屋)という無人小屋が開放されていて、登山、沢登り、釣りをする者の拠点となっている。今回はこの柳小屋にお世話になり、一泊二日で真ノ沢にある千丈ノ滝上流を目指そうという計画だ。
9月7日(金)22:30、秩父への入り口、道の駅「あしかくぼ」で今回同行してくれる渓粹さんと待ち合わせ。渓粹さんは今シーズン入会した新人で、今回の釣行が重たいザックを背負っての源流デビューとなる。私が到着すると、渓粹さんがお出迎えしてくれた。お互いに定時まできちんと仕事をこなしてきたので、少々お疲れの顔。しかし2人の胸の中は、初の柳小屋行と源流デビューの緊張で高ぶっている。ここにて食料を除いた装備の点検と共同装備の分配をする。日の出前に出発予定であり、現地までまだ距離があるので先を急ぐ。
24:00、入川観光釣り場の駐車場にデポさせてもらう。事前に確認を取り、下山後に1日¥500、日数分後払いでよいとのことだった。駐車場には2台釣り人と思われる車が駐車してある。仮眠中か、出発しているのか?我々と同じ柳小屋なのか?真っ暗闇で判別がつけ難い。身体が本日分のアルコールを欲しがっているので、早々に乾杯する。04;00出発のため、起床を03:30としてお互いの車に早めに潜り込んだ。
目を閉じていただけの短い時間だった。3時には車内が暑く外に出る。まだまだ星が輝き、真っ暗のままだ。アラームが鳴るまで30分、もう起きるしかない。ゆっくりと準備を始める。隣の渓粹さんも予定通りの時間に起きてきた。爆睡したようだが、飲みすぎたようで酒が残っているとのこと。

荒川源流入川釣行

9月8日〜9日

砂利道を走る車が近づき1人が近寄ってきた。ルアーで観光釣り場の先から入渓するとのことで、ライバル?にならなかった。04:00予定通りの時間に入川観光釣り場先にあるゲートを潜る。暗闇のため、ヘッドランプと懐中電灯がたよりだ。この辺りの森林はクマの目撃情報もあるとのことで、いつもより多めに熊除け鈴をつけてきた。予定ではゲートを潜り赤沢の吊り橋まで平坦な森林軌道跡を2時間、赤沢吊り橋より柳小屋まで尾根伝いのアップダウンを繰り返し3時間、計5時間と考えている。
矢竹沢を過ぎ分岐点を左に進む。ここから道が狭くなり凹凸が多い山道になってくる。そう、森林軌道のレールが一部残っている場所だ。流石に鉄道が入っていた場所だけあり平坦で歩きやすい。気力がみなぎりペースも順調、口からも軽快な会話出て先を急ぐ。途中、駐車場で会話した釣り人が入渓したらしくヘッドランプの灯りが右往左往している姿が見えたが、まだ暗く釣りはしてないようだった。五時くらいになると頭上が明るくなってきたが、木々に覆われているので道はまだ真っ暗、ヘッドランプは消せない。05:30予定通り赤沢出合の広場に到着。一気に頭上が開け朝を迎えた。しかし・・・この後大変な目に合うことになる。

柳小屋は遠かった!〜

【股ノ沢】

股ノ沢は合流地点からしばらく狭い流れで、渓粹さんに先行してもらう。両岸の岩盤もかなり高い。早々に良ポイントが続き、渓粹さんの釣りをじっくり見物させてもらう。岩が黒っぽいので「乳首毛鉤」のピンクのポストが良く見える。細い流れとは言え、水深は膝下くらいまである。両岸から枝が覆いかぶさりキャスティングし難い。姿勢を低くし釣っている渓粹さんの竿が立った!「いい型来ましたよ!」穂先が大きくブルンブルンと曲がっている。水面に半身を出した岩魚を引きずり上げた。これも立派な9寸サイズだった。釣れるところと釣れないところがはっきりわかれている渓で、最初に釣り上げた魚が最大のサイズ。交互に釣り上がって行くと大石が目立ちはじめ、やがて通ラズの入り口まで来てしまった。最初の2段は左岸を低めに巻き、上流のゴーロに降り立つことが出来た。ここから本命か!と思い丹念に探っていくが・・・そしていよいよ大きく高巻く必要のある通ラズに来てしまった。大きな釜を持つ2段の滝、右岸は垂直に岩盤がそそり立つ。左岸は岩盤に傾斜があり、壁と壁の間に溜まっている枯葉をよじりのぼれば、ロープなしでもどうにかなりそう・・・なのだが。高さにして30m程直登となりそうだ。渓粹さんとしばらく考えたが、釣果もまばらでこの先へ行っても望めそうもないということで、二股まで戻り真ノ沢をやろうとのことにした。股ノ沢を後にする前、渓粹さんに深い釜を探ってみてもらうが・・・・
お留守のよう・・・

ここにて大休憩、早めの食事とするが、渓粹さんの顔色が悪い。食も進まない様子。相当の二日酔いらしく、「釣行前の大酒は止めます・・・鉄則ですね・・・」と言っていた。広場前から入川の流れが良く見える。源流域ではあるが、まだ水は太い。赤沢も険しい渓の大石を縫いながら流れ落ち入川へ合流している。なかなかいい眺めだ。広場の案内図では、ここから小屋までは3時間だが・・・すぐ先の尾根の急登が一番の正念場のようだ。15分後出発、表示の十文字峠方向を上って行く。すぐに赤沢吊り橋があり、沢を覗き込む。なかなかの渓相!イワナの臭いがプンプンしているぞ!ダブルストックと二本の足でホールドし、一歩一歩重い足を次のステップにずりあげる。「牛歩戦術だからね〜急がないでいいよ!大丈夫!まだ時間たっぷりあるからね〜」先を進む渓粹さんの歩調が乱れている。かなり酒が廻っているようだ。汗もぐっしょりで帽子のツバ先からもポタポタと・・・そして酔っぱらいのあの匂いがプンプンと香ってくる。かなり急な登りで直登に近い。何度も小休止を繰り返す。赤沢の流れの音が遠くなったな〜と思ったころ、急登の上に到着、30分程度の登りだった。道は赤沢の上流方向に上りながら付いている。ここにも森林軌道があったらしく、所々にレールが散在していた。道は長く赤沢に沿って登って行き、どんどん入川から離れていく。標識もない。「道間違ったかもね?」二万五千分の一の地図を見ると、赤沢吊り橋を渡って柳小屋まで川沿いをストーレートにみえる。確かに広場から昔は橋がかかっていただろうコンクリートの橋脚跡が見えた。もしかしてあれを渡ってからか?とりあえずもう少し進んで入川方面に巻き道がなければ戻ろう・・・という結果にした。

幸 渓  渓 粹

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