早合わせ?こんなにゆっくり出てくるんだ〜

2012年 武蔵野テンカラ会 釣行記 NO10

まもなく後期高齢者ですが・・・

デッケ〜!は超えているぞ!

「こうなったら、ダメもとであそこしかないね!前から行きたいと思っていたんだ!」扇沢を後にしてあの渓へ向かう。「あの車、朝釣りしていた人の車だね。山菜捕りかな?今晩、魚は食べられないようだね・・・」餌釣り師がいたポイントを橋の上からのぞくと!釣りなんてとてもとても出来る状態じゃない!放水したようだ。釣座の石は川の中へ・・・水は川岸いっぱい、ごうごうと流れていた。走っている道がゲートで塞がれこれ以上は進めない。ここからは歩きとなる。時計を見るとちょうど9時、車を止めてゲートを潜る。入渓地点までは15分ほどのようだ。「15分後にはパラダイスが待っているかもよ!」とは言うものの二人ともかなり期待は薄かった。

ゲートの向こうにあった釣り場

地図で眺めたあのへ・・・やっと行く機会に恵まれた。
近々初心者の会員向けにテンカラ講習会を行う計画をしており、適当なポイントを探すため、渓英さんと私(幸渓)でロケハン釣行に向かうことにした。場所は安曇野。ここは渓流釣りの魅力的な河川が多く、本流の開けた河原で悠々とテンカララインを振ることも出来、魚影も濃い。そして釣りで疲れた身体を温泉で癒すことも出来、宿泊施設も多い。講習会を開くにはベストな環境がある。当初土曜日に行き、日曜日は身体を休めようと思っていたが、雨・・・翌日の天気予報は雨に始まり、曇りから晴れになると、全ての天候が予想されていた。梅雨時でもあり、最近の異常気象もあり、山の天気も変わりやすいことだし、とにかく運まかせ神様まかせにすることで安曇野へ向かった。
19時に渓英さんを乗せて出発、東京は小雨になった。八王子インターから中央道で豊科インターを目指す。土曜夜の下り車線であり、天気も悪く車は少ない。また久しぶりのコンビでの釣行であり、二人のは途切れずあっという間のドライブであった。途中コンビニで明日の食糧と寝酒、日釣り券を調達。予定通りの時間に目的地に到着する。渓英さんは車の中で、私は外にテントを張り寝ることにするが、時々雨が激しく振るので車の上からガードレールまで大きなタープを張ることにした。

先に進みたいが、時計を見ると13時過ぎていた。上流の見える範囲はチャラ瀬が続いている。「あの川の中の大石まで急いで釣って、ここから上がろう」と、淵の左岸を見るとピンク色のテープが数か所、に巻かれている。山腹を見ると川から30mほど上にガードレールが見えた。大石までは何の反応もないまま納竿。道までガレ場の木にしがみつきながら登る。かなり急な斜面だった。斜面は終わったが、ガードレールまでかなり高い・・・どこを足掛かりにすればよいか・・・垂直のコンクリート壁に木の根が1本出ている。ここしか足場がない。今立っているところは足幅と同じ程度・・・踏み外せば・・・かなりやばいところだった。勢いをつけて右足を乗せ、直ぐに手を伸ばして道路をとらえ、腕の力で身体を上げ、さらにガードレールのロープを握る・・・・成功!下にいる渓英さんにOKを伝える。藪から出てきた熊のように渓英さんが現れた。「この枝に片足乗せて・・・ロープ出しますからそれ手がかりに・・・」「73歳がやっちゃいけないよ!まもなく後期高齢者ですが・・・」と渓英さん。まだまだ元気だ!

河原から山腹に走る道路が見え隠れしている。ライントラブルにストレスを感じ、お帰りモードになり始めた。チャラ瀬が続くが渓英さんは小さなポイントを探っている。渓英さんもライントラブル。かなり枝が低く広がり始めた。先に進ませてもらう。チャラ瀬が続く中、日が燦々と差し込む小さな淵が前方に見えた。上の枝もそこだけぽっかりと空いている。静かに淵を観察すると・・・大きな魚がいた!流芯の流れは早く、底の深さもある。魚は流芯の際で泳ぎ、右岸の流れが穏やかな浅場に出てくる。「これは一発で仕留めなきゃ〜」魚が水面に出てパクリと口を使い、また水中へ戻る姿を見ていた。場所が一定している。ライズして潜りライズして戻り・・・そのリズムが取れた。頭上と毛鉤を落とす位置、流すレーンを確認。一投で掛けなければ・・・慎重にキャスティング、毛鉤もソフトに水面に落とす・・・

梅雨晴れ間の大釣

これじゃ〜何処もダメだね!

快適な道を進む。気持ちは晴れ晴れ!天気もまだ崩れそうにない。後ろには北アルプスの山が光っていた!大した距離を釣り歩いてないようだ。駐車場まで40分程度で到着出来た。時間は14時ジャスト。そういえば食を食べてない。急に腹が減りだした。そしてこれも本日の計画、先日のダム下釣行の帰りに発見した地元の蕎麦通が通う店へ行くことにした。帰路、橋の上から予定していた川を再度チェックしてみる・・・・「ヒエェ〜!」
「只今準備中」の看板が店先に・・・を開け・・・「すみません!今日は蕎麦切らせたので・・・」残念。講習会時の昼食の予約だけした。それじゃ「キチガイそばですか?」そこから20分ほどかけ、定番の「くるまや」さんへ。暑くもなく寒くもなく汗も然程かいてなかったので温泉はパス。「いつもの渋滞覚悟で帰りましょう!」渓英さんはすやすや〜。水田に映る北アルプスを後に20時過ぎには帰宅出来た。

「下流へ一旦行ってみないか?」ポイントになりそうなところを遠巻きしながら下流へ下る。二人には満面の笑み・・・やっと竿を出せるのだ!しかし・・・ポイントを覗き込んでも、川の中を歩いても魚が見えない・・・15分ほど歩きこれ以上は下れないところから竿を出すことにした。気温がグングン上がっている。ハルセミの鳴く声が賑やかになってきた。青空も広がり、山腹の広葉樹の緑が場しい。遠くには雪を残す北アルプスの峰々が見え、絶景の中を釣りあがる。渓英さんは伝承毛鉤、私は北アルプスの渓で釣る際のお決まりパターン、カディスを付けた。釣り初めのチャラ瀬は頭上が広がり、川幅もある。渓英さんは右岸、私は左岸にあるポイントを探る。川がゆるいカーブを描き、その流芯が深く、ポイントを作っている。ここに来るまで無反応続きだったので、期待しないで何気ないキャスティングをした。毛鉤が1mほど流れたとき、底のほうから黒い影がゆっくり毛鉤を目がけてきたのだが・・・「エェ〜!早合わせ?こんなにゆっくり出てくるんだ〜」20cmに満たないが、頭上の斑点からイワナであることは間違えない。
あれ以来魚の反応が無い・・・橋の袂まで来てしまった。しかし!ここから先を見るといかにもイワナが棲む渓相だ!ひょっとしてここから!川幅が急激に狭くなり、二人同時に釣りあがることは出来なく、交互に釣りあがることにする。河原の木々が頭上にせり出して、キャスティングに難航する。仕掛けを短めにし、キャスティング時も頭上に注意しながら、かなりストレスになる釣りを強いられる。

山の上のほうなので冷たい風が心地よい。天気は上々、晴天になってくれた。予定通り15分で川が道に沿うようになった。流れの音が僅かに聞こえる。初めての場所なので、楽に降りられるところが分からず、二人別れて入渓地点を探す。上流の橋近辺で探しているときに軽トラが寄ってきた。漁協の監視員の車だった。まずは言われる前に釣り券を見せる。「はじめてで、入るところ探しているんですが・・・」「下のほうが入りやすいよ!」「魚はどうですか?」「ここは釣れて2、3尾というところかな・・・でも今日は水量が多くなっているからチャンスだよ!上流の沢に2人釣りが入っているだけだから・・・」監視員が巡回!沢に釣り人!ということは・・・!!
橋の上から川を覗き込と・・・燦々と輝く日差しを反射するいい流れ!濁りはいっさいなく、水量もばっちり!心躍り、一安心、ほっとした。振り向くと渓英さんも監視員と話し込んでいた。
下流へ向かい入渓地点を探す。川の音は聞こえるが、かなり下のほうで道から離れていそうだ。なんとなく動物が通ったような痕跡があったので辿ってみることにした。手がかりになる木々の枝が所々折れているところをみると釣り人が歩いた跡であろう。楽に・・・とはいかないが河原に降りることが出来た。流れの上流には先ほど覗き込んだ橋が見える。橋の先あたりから緑に囲まれた鬱蒼とした流れになっている。下流はチャラ瀬が続いているが所々岸よりにポイントが見られた。

籠川を渡る橋からまだ雪が残っている北アルプスの山々が見えた。「そお〜だ!ダム下行きましょうよ!あそこは関係ないじゃないですか!これから行けば二番目のバス乗れますよ!」と名案を言ったつもりだが・・・渓英さんは気が乗らない様子「ダム下行くなら、一番バス乗らないと気が進まないな〜もう誰か行っているよ!」二人とも次なる名案を思索するが・・・「間もなく道が分かれるけど、どうする?ダム下?それとも・・・」「ダム下行きましょう!」とは道を曲がることなく扇沢へ向かった。「ダム下ならば裏切られることは皆無ですよ!荷物も無いことだし、パッパッパ!と数時間で往復!ヤマモモのソフトクリーム美味かったじゃないですか!帰りにまた食べましょうよ!」渓英さんが苦笑い。もはや断念した様子だった。
扇沢の市営無料駐車場に到着。車もわずか!人が少ない。7時30分の一番バスはすでに出てしまった。次のバスに乗るべく急いで身支度し、バスのチケット売り場に向かう。チケット売り場の一番好みの女の子に「黒部ダムまで往復」「ダムの下で釣りですか〜?今日なんですけど、ダム湖が満水近くなので放水予定もあり、橋を渡って対岸まで行けませんが・・・・」

そお〜だ!ダム下行きましょう

地図で眺めたあの

まずはこの場所から数百メートル上の橋の下。ここは先日の黒部ダム釣行の際に発見したポイント。プールに魚が溜まっていたポイントだ。案の定!餌釣りの人が3人立っていた。止まっていた車は地元ナンバー、絶好のチャンスとばかり早朝から来たようだ。更に上流を見に行く。「放水もないようだし、空も雲が途切れ明るくなっているようだから、数時間後からスタートだね!それまで宿泊先のホテルの場所チェックと他の川も見に行ってみよう」と朝食をすませ、温泉街まで行くことにした。
空も青空が出てきて、気温がぐんぐん上がりだした。今日は蒸し暑い日になりそうだ。温泉街にあるホテルの前まで行き、待ち合わせ場所のチェックをする。ホテル前の土手を上り、鹿島川をチェックする。「これじゃ〜ここもダメだな〜」濁りは入ってないものの、川の流れが荒れ狂っている。更に上流にあるフライマンに人気があるポイントへ車で向かってみるが・・・ここも橋に水がかぶりそうな勢いの水量だった。モヤが流れから出ていることから、雪シロも出てきたようだ。「これじゃ〜どこもダメだね。何処行くか?八方尾根のほうまで行くか?それとも期待は出来ないけど乳川に行くか・・・・」車を走らせながら協議する。「もう一回あのポイントに戻って、ダメなら探索だけか・・・」

渓英さんが左岸にある石の裏を狙う。深みがあり、流れが少ない。毛鉤は白系の伝承毛鉤。フックサイズも小さいようだ。水面直下を流れに任せ毛鉤に注視・・・よく見える。一瞬の合わせ!かなり竿が曲がっている。頭上の枝に注意しながらランディング、手中に収まったのは25cmの丸々と太った岩魚であった。喜びは隠せない!満面の笑みを浮かべている。暗黙の掟、続いて私が先行させてもらう。しかし・・・あせっているのだろう!頭上の注意を怠ってライントラブルが続発する。更にラインを短くし毛鉤も少し大きめのカディスにした。先行していた渓英さんにまた一匹!サイズも上がった。やはりここらに溜まっているようだ。後ろから渓英さんの釣り姿を撮影・・・と!「イノシシか?」前を見ると動物が我々のほうに歩いてくる。「子供のカモシカだね」石の影に我々がいたので、まだ気が付かないようだ。どんどん我々に接近してくる。「オ〜イ!オ〜イ!」と私が叫ぶと、一瞬辺りを見渡し目があった。一目散に森の中に逃げて行った。

携帯電話のアラームを5時40分にセットしたが、アラームが鳴る前に目覚めてしまう。車の中で寝ていた渓英さんも既に起きていた。「寝る場所失敗!大木の下で雨の滴が車の屋根にボトン!ボトン!うるさくて・・・」あまり眠れなかったとのこと、そして私も、テントの下にシートを敷いたものの、下がコンクリートで傾斜もありテント内びしょ濡れ・・・二人ともそうとうな寝不足になった。雨は小雨になり、釣りをしようと思えば出来る範囲内の降雨量だが・・・流れの音が大きい・・・少々下っての状態を見る。濁りが入り、水量も多い。そうとうの上は雨が降った様子であった。「時間をおけば、濁りも取れ、水も引いてくるだろう」とのことで、周辺を探りに行くことにした。

6月17日

口を使うポイントの50cmほど上に着水、流れは穏やかに、少しずつ毛鉤が流れると!上流を向いていた魚が反転し決して派手ではないライズで毛鉤を咥えた!先ほどから早合わせが多いので、今度はゆっくり・・・毛鉤を咥え底に戻る間を取り・・・合わせ!!鋭い合わせでガッツリ針掛かりしたようだ!魚は上流へ行こうとする。ラインの力は下のほうへ・・・しばらく力比べ・・・魚が水中を暴れる姿が見える。腕には強い衝撃・・・重い・・・身を低くし竿を立てながら後へ。渓英さんが気づき「デッケ〜!尺は超えているぞ!」私はタモを持っていないので、渓英さんにお借りした。まだ手元に寄ってこない・・・「どうかハリスが切れないように!」ハリスは0.8号のフロロカーボン、結びコブが数か所付いてしまっているのだ・・・魚も観念したようで、足元のチャラ瀬に運ばれ見事ランディング!私はガッツポーズ!そして「やったぞ〜!」と雄叫び!魚を見ると昨年黒部の沢で釣った32cmを遥かに超えていることが一目瞭然!真ん丸と太り、ずしりと重い。渓英さんが大きさを計ろうとメジャーをあててくれた。「33?いや35cmあるぞ!」記録更新!!魚を手中に・・・腕は驚きからか、魚とのやりとりのためか、ブルブルと震えていた。金色をした大岩魚だ。写真を飽きるまで撮ってリリース。魚も疲れたようで2、3回転して下流へ泳いで行った。

天気はまかせ、神様まかせ

渓英 幸渓

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