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 2011年 武蔵野テンカラ会 No8

合流地点を過ぎても渓相は変わらず浅瀬が続いている。しかし、岩魚は次々と毛ばりに掛かる。渓英さんも正渓さんもまさに絶好調・・・カメラを向ける余裕がないほどだ。ただ、残念なのは25cm前後の岩魚が多い事だ。オクサビ沢を過ぎてから良型が掛かる様になり、正渓さんが釣り上げた28cmは惚れ惚れする様なヒレピンの岩魚だった。手にとって眺めると淡い紫色に輝いて見えた・・・山の天気と女心は変わりやすい・・・の例え通り、急に雨が降って来たり、いきなり強い日差しがあったりと、不安定だが豪雨になる心配はなさそうだ。両崖がせばまり通常では右岸を高巻く箇所も川中をすいすい歩ける為、体力の消耗はかなり防げる。
オクサビ沢から少しずつだが渓相が変わってきた。小さい淵が続く様になったのだ。豪雨前とは比べものにならないが、とにかく、浅いながら淵らしきものが現れる。それに伴って魚も型が良くなり、正渓さんはカディスに替えて次々と良型をかける。後方から眺める私にもカディスに飛びつく岩魚がはっきりと見えた・・・

奥利根小穂口釣行

両壁が少し狭まってくると流木が行く手をふさぐ。ほとんどの流木は巨大で跨ぐ事も出来ず、端を回って通るどの流木もすっかり皮をむかれた状態でいかにも痛々しい。そんな荒々しい状態を抜けるとまた静かな浅瀬が続く・・・正渓さんの前に現れたのは左岸寄りの岩に流れが当たる浅い淵だ。ぶつかった流れはゆったりと瀬尻へ向かう・・・正渓さんのカディスはその流れの中をユラユラと浮かんで行く。そしてその瞬間だった、私の目にもそれは明確に見えた、大きな物体がぬうっと出てカディスを咥えたのだ!

ゴルジュ帯の手前から竿を出す事にした。まずは渓英さんが浅瀬の中に毛ばりを流す・・・予想に反していきなり竿がしなる!あがって来たのは綺麗な岩魚だった。お!いるではないか・・・一匹の岩魚は我々に希望の灯をともしてくれた様だ。続いて正渓さんに良型のヤマメが掛かる・・・深い淵は無くなったが、浅瀬の僅かな淀みに魚達は元気に生存していたのだった。ゴルジュ帯もすっかり小砂利に埋まっており深場は無い。そこを難なく過ぎると右岸から長倉沢が流れ込む。前回来た時はその長倉沢で竿を出して納竿したのだが、どの様に変貌をしたのか滝をのぞいて見る事にする。入り口辺りは全く変わっていない様だ。正渓さんを先頭に歩くと足もとに小魚が走る、どうやら魚は健在のようだ、ほっと一息ついて滝に向かう。滝はすぐに現れたが驚きである、あの穏やかな岩肌が崩れて中央に大岩が落ち、滝はかなりの急角度で変貌している。これではかなりの増水時でも魚は乗り越えられないだろう・・・完全な魚止となっていた・・・

小穂口は驚きの変貌ぶりだった・・・

あまりの変わり様に唖然・・・果たして渓魚の行方は

左岸より流れ込むブナ沢を見ながら進むと渓相は少し良くなる

巧みなやりとりが続き、上がって来たのは確かな遡上岩魚だメジャーで計ると39cm、40に1cm足りなかったが丸々太った立派な岩魚だった。淡い紫色にかがやく魚体をしばし眺めてそっと流れに戻すとゆらゆらと下流へ泳いで行った。

それは流れが岩にぶつかる浅い淵からいきなり出た

前回来た時に竿を出した筈のがことごとく消滅している。とにかく、目の前が真っ平らなのだ・・・果たしてこの様な状態で魚達は生存しているのだろうか。不安をかかえたままで私達はしばらくこの砂場を歩く事にした。いままで左岸、右岸を乗り越えたあの大淵がない。小砂利に埋まったはとても歩きやすく、長年見慣れた今までの渓相なら場所も費やした時間も把握出来た。しかし、今日は初めてのに入った様な気分だ。

8月11日

朝、ボートの順番は2番目だった。昨晩からの泊まりは静かだったが夜半からの雨は激しく、果たして明日の渓はどうなるのだろうか・・・一抹の不安を抱えて一夜を過ごす事になった。朝、5時に目覚めてその心配は払拭される、外は晴天だった。630分ボートのエンジンは快調な音を響かせて湖面を進む、風も涼しく、湖は穏やかだったが流木は多い。慎重に走らせて30分、ようやく小穂口に到着した・・・湖はほぼ満水状態でボートの係留は前回とは大違い、流れ込み近くまで行き、左岸の立木にしっかりと結んだ。

奥利根の情報は矢木沢仙人さんから充分にお聞きしていた


渓忠 渓英 正渓

相変わらず淵は浅いがそれでも下流域よりはよい。もう一匹ジャンボを・・・と釣り上がるが釣れるのは25cm前後、時計を見ると12時を回ったところ、もう少しで魚止近くまで行けるのだが、私の脚を考慮して戴き(坐骨神経痛)納竿。昨年までならボートまで3時間近くかかる距離だったが今回は僅か2時間弱で到達出来た。変貌をした小穂口を掛け抜ける様な釣行だったが、私の心の中にはあの豊かな大淵が連なる小穂口がまだしっかりと刻み込まれている。そして数年後になるだろうがあの渓の再現を切望している・・・

それは一瞬の間、時間が止まった様に思えた・・・

しかし、その惨状を目の前にしてあらためて驚愕した・・・