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 時計は午後3時40分 釣り始めが11時だったので昼食時間も含めて4時間40分だった。渓相は以前と変わらなかったが、あまりに魚影がない・・・渓川さんに是非とも野生のヤマメを釣り上げて貰いたかったがそれも水泡に帰してしまった様だ。申し訳なく思っていると、ニコニコ笑いながら近づいて来てとても良い渓ですね、それだけで満足です・・・と言ってくれた。私の心のなかを察しての言葉だと思われるが、その一言で救われた瞬間だった・・・
 橋
の下からは登り道がある。疲れた脚にはちょっときついのでゆっくりと足を運ぶ。橋上に出るとすがすがしい風が身体をすり抜ける。もう日中の暑さはおさまった様だ。ここから徒歩で駐車した所まで20分ほどで着く。周りの山々を眺めながら下っているとすれ違う車の人に声を掛けられた。どうだね、釣れたかね、いえ全然ダメでした・・・まだテンカラは早過ぎるよ、と地元らしいその人は笑いながら去って行った

                                             渓忠記

 その橋上に車を停めてをながめる事にした。車から降りると生温かい風が身体を包む・・・今日はやはり予想通りの天候の様だ、。木々の間から見えるH沢は昨日の雨の為であろう。すこし増水ぎみだがあくまで透明であった、
 私達は二つ目のまで行って駐車することにした。
の周囲にはかなりのスペースがあり、余裕で停められた・・・ゆっくりと身支度をしながら周囲の山々を見渡すと、じつにがまぶしい。所々に赤く見えるのは山ツツジだろう・・・さわやかな瀬音とともに小鳥の声も聞こえて来る。これだけで充分にストレス解消だ。この第二橋から次のまでは右岸を流れる、私達はそれを眺めながら歩く事にした・・・このは思った以上に谷が深くてなかなか降り道がない。コンクリートの護岸が城壁の様になっているのだ。5分ほど歩いてに到達したが、平日なのに釣り人のものらしい車が2台停まっている。中をのぞくと1台は釣り人で他の一台は山仕事の様だった、車の横をすり抜けるとへと続く道がある、慣れない足取りで降り切ると先ほどの生温かい風と違って、ひんやりとした感覚である・・・水量はすこし多い様で、手を入れて見ると水温は10度位だろう。この辺りは浅いが良淵が続く。時計を見ると既に午前11時を回っていた・・・先行者がいたとしても3時間は経っているだろう、私達は交互に釣り上がる事にした・・・

 2011年 武蔵野テンカラ会 No4

 連休中は何処にも行けなかった・・・息子の野球試合の応援もあったが4月11日の転倒事故の後遺症がまだ残っていて、右大腿部の腫れがひかないからである。しかしながら私の心にある釣りへの願望は日ごとに膨らむばかり・・・連休後の5月10日、とうとう渓川さんに電話をしてしまった。目的のはあのスレやまめがいるH沢だ。幸いにして渓川さんからはOKの返事、こうなると足の腫れの不安など何処かへ消えてしまった。
 
集合は道の駅に10時30分、我が家を午前8時に出発、関越道から信越道にはいり、下仁田インターを降りて県道45号をひた走り約束の道の駅に着いたのは10時15分、既に渓川さんは到着していた。渓川さんとお会いするのは3月11日の蒲田川以来だが、いつものあの健康そうな笑顔で迎えてくれた。H沢はこの道の駅から神流町方面に下り、村営ホテルを右に見ながら進むとすぐ左手に見えて来る。左折するとしばらく急な登りが続くが、左手に工場らしい建物が現れるあたりから穏やかな舗装道路となる。少し進むとが現れる、10年前に訪れた時に車を停めてをのぞくと、清楚な流れのなかに良型のヤマメが数匹泳いでいたのを記憶している。その光景が私の脳裏に焼きつき、あこがれののひとつになっていた。その後、そのヤマメを求めて数回釣行しているが、大勢の釣り人のハリを逃れて生き延びているスレヤマメには、私の腕では到底歯が立たずに完敗続きであった・・・
 しかしながら、数日降り続いていた雨も久しぶりにやんで今日は晴天気温も23度ほどになるとの事で絶好のテンカラ日和だ、今日こそ渓川さんと大釣りをするだろう・・・・久しぶりのを前に私の心は小学生に戻っていた

神流川H沢釣行

二人で首を傾げながら更に釣り上がると、前方に堰堤があらわれた。堂々たる堰堤だが水量も少なく落ち込みも浅い、まず、渓川さんが右側から攻める事となったが、目の前の落ち込みで岩魚が飛び跳ねているのを発見、低い姿勢で毛ばりを落とした・・・渓川さんがその岩魚を釣り上げる瞬間をカメラに収めようと後方の私は身構える・・・その時、奥利根の魚止での出来事を思い出した。40cmを超える大岩魚がその滝を乗り越えようと必死に挑戦をしていた。そんな時の岩魚は決して毛ばりを咥えようとはしなかった。ただ、ひたすらに滝を越えようとするだけだった。ここの岩魚もひょっとして堰堤を越えようとしているのでは・・・その後にもう一度飛び跳ねるのを確認したが、やはり毛ばりを咥える事はなかった・・・堰堤は右岸に上り口があり簡単に上がれる、堰堤上もおだやかな流れが続き、良いポイントが現れる。降りた辺りは浅い流れで魚の気配はなかったが、すぐ前方には良い淵が見える。いつも良型ヤマメが遊泳していた記憶が蘇った・・・

 私の一投目は前方の浅い淵だ。頭上の枝葉の隙間から陽が射し込み底の白砂がキラキラ光っている。毛ばりはゆったりと波間を漂いながら、私が身を潜めている岩場まで辿り着いた・・・しかし、ヤマメが毛ばりを追ってくる気配はない。数回流したが結果は同じ・・・・ふと嫌な予感が頭の中をよぎった、渓川さんは・・・と振りかえると先ほどから同じに毛ばりを流している。きっと反応があるのだろう・・・と近づいてみると、数回、ツンツンと手ごたえがあったとの事だった。いずれにしてもヤマメの存在だけは確認出来た・・・
 渓川さんを促して先へと進む事にする
。こののヤマメ達は浅い瀬尻にいる事が多い、油断をするとすぐに気取られてあっという間に深場に逃げ込んでしまう。そうなるとどんな手段を使っても釣る事は不可能だ。渓川さんが釣っている淵を遠巻きにして前に出ると、大岩の前方の浅瀬でライズがあるではないか、ライズを見たのは今日釣りはじめて初めての光景だった。幸いに岩は砂地で囲まれており、音を立てずに岩まで辿りつく事が出来た。はやる気持ちをおさえて仕掛けを確認し、竿影を水面に落とさない様にそっと毛ばりを・・・

連休も終わり静けさの戻った渓・・・

新緑の映えるあのH沢へのあこがれ・・・

 予想通りに、予想した場所でバシャと来たのは小型ながら綺麗なヤマメだ、大槌町の若生さんから戴いたタモが役にたった、写真を撮り終えてそっと流れに戻すと、私の手に触れる事のなかったヤマメは何事も無かった様にゆっくりと泳いでいった・・・渓川さんに釣れた事を話すと、まるで自分の事の様に喜んでくれた。
 その後はまた反応がない状態がつづいた・・・スレて手強かったがあの良型ヤマメ達は一体どこに消えてしまったのだろう。毎回恒例になっている勝手にゴミ拾い用のゴミ袋にも、古いペットボトルが4個入っているのみ・・・周囲を見渡しても釣り人が捨てるゴミが見受けられない、釣り人のモラルが上がったのか・・・それともこの状態が続き釣り人の足が遠のいたのだろうか・・・

5月13日(金)

渓忠  渓川

 抜き足差し足忍び足・・・釣りをやらない人が見たら滑稽極まりない姿だが、私は必死の形相で近づいた。
 小型ながら、やはりヤマメは居た・・・タモの中で盛んにあばれる、大丈夫だよすぐ解放してあげるからね。ヤマメちゃんにやさしく話し掛けながらすばやくシャッターを切った。それからは良ポイントの連続だったが、反応はない・・・渓川さんも釣り始めのツンツン以外は魚の感触を味わっていないらしい・・・小さいヤマメは見えるが毛ばりに反応がない・・・と首を傾げていた。30分ほど釣り上がると見慣れたが見えてきた、今日の釣りはあのまでと決めていたので、釣果はなかったが何故かほっとする、橋下で小さなヤマメを一匹釣って今日の釣りは終わった。