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 武蔵野テンカラ会 2009年 釣行記 No2

 入川釣行

 大淵に消えたジャンボ山女魚

 たった一度のチャンス・・・しかしながら・・・・

 2009年3月12日  渓 忠

                                      文責 渓 忠

旧トロッコ道は消えて、軽ワゴン車が駐車・・・・・・

旧トロッコ道へは崩れそうな岩場をよじ登ってあがったが、あの錆びたレールは取り外されており狭かった歩道は綺麗に整備されていた・・・・・この奥地に行けばまだ昔のままかも知れないが目の当たりにした風景には昔の面影はない、少し歩いて下ると道端に白い軽ワゴン車が停まっていた、中を覗いて見たら林業関係の様だった15分ほど歩くと林道に出たが、十文字峠-入川と書かれた標識がたっている・・・・・・・今日、釣り上がった渓を右手に眺めながら坂道を少し下ると、矢竹沢に架けられた橋まで戻る・・・・・

あの大山女魚が最初にして最後の当たりだった・・・・・

気を取り直して再び釣りを開始、その後は何の当たりも無いまま矢竹沢合流地点に到達した、時計を見るとちょうど正午・・・・・軽い昼食とする。周囲は相変わらずに瀬音しか聞こえないが、暖かい日差しを浴びながらの食事は軽い疲れと共に心地よい・・・・・・・15分ほどの休憩後に再び上流へと向かう・・・・・・・・此処からは林道も大きく右折して渓から離れるが旧トロッコ道が左岸沿いに続き、どこからでも渓から上がる事が出来る、瀬あり、淵あり・・・と渓相は相変わらず快適だが、大淵になると両岸が岩場となり滑りやすい、この辺からはウエーダーよりも渓流靴にスパッツの方が良さそうだ、また、私の脚では流木を脚立代わりにしないと難儀する箇所もあり、ようやくよじ登った岩では積もった落ち葉で足許が見えない・・・・・・・・・先ほどの夢よもう一度・・・・・・と期待しながら釣り上がるも魚影すら確認出来ない、この入川はまだ時期的にも早過ぎるのだろう・・・・・1時間30分ほど釣り上がった所で通らずに遭遇、予定した時間に近づいた事もあり、納竿することにした。この渓は今回の釣行では釣れなかったが、何故か釣り人を引きつける魅力がある、それは綺麗な水の流れと渓相にあるのだろう・・・・・・・・・

朝霞台駅まで娘を送って7時4分、所沢インターへと向かう・・・・・7時30分無事に関越道に入り、あとは圏央道鶴ヶ島インター、国道407号を経て299号をのんびり走り、入川渓谷入り口の看板に辿り着いたのが9時30分・・・・・・左手に入川を見ながら曲がりくねった林道を1キロほど走るとキャンプ場に到着した、このキャンプ場の真向かいの山膚に、前田夕暮(歌人)が戦時中に疎開をしていたとされている廃屋がある・・・・・・・・このキャンプ場あたりには民家があって、彼はもらい湯の為に坂道を降りていたが湯ぶねに浸かるのが待ち遠しくて、坂道の途中から帯を解き始めていた・・・と書物を読んだ事がある、車を停めてその坂道を登って見ると、確かに帯解坂と書かれた古い立て札があった、その先には通行止めのクサリが・・・・・・管理釣り場はすぐ先にあり駐車場も見えるが、お客以外は停められない為、手前の僅かな空き地に駐車する事にした。     

 30年ぶりに矢竹沢を探索する・・・・・・・

時計はまだ2時を過ぎたばかり・・・・30代に釣り上がった事のある矢竹沢を探索する事にした、当時はまだ餌釣りだったが単独で釣り上がり、細い山道を経てこの林道の上に出た様な記憶がある、橋上から上流を見上げると、かなり落差のある連続滝の様だがその先は全く覚えがない・・・・・・・・・とにかく、あの滝上まで行ってみる事にした、登り始めたが左右とも大岩で連なり、かなりの体力が必要だ・・・・・いかに若かったとはいえよく、こんな岩場をよじ登って釣り上がったものだ・・・・と感心するやら・・・呆れるやら・・・・・やっとの思いで滝上まで到着して、これからは平坦な渓・・・・・と想像していたがこれが見事に大はずれ、前面にはまたも急落差の小滝が連続してせまっている・・・・・・・よし!もう少し上まで行って見よう・・・・と眺めたが、とても直登は無理、左岸側の山膚を登る事にしたが、これがまた一苦労・・・・・急斜面は滑ってなかなか進めない、ようやく登り詰めて上流を見ると、愕然!また、また落差の続いた小滝群・・・・・・・・・・30年前の私はどんな気持ちで此処を釣り上がったのだろうか・・・・・・ただ・・・・恐ろしい、もう戦意喪失、これ以上の探索どころではない・・・・いま登って来たルートをへっぴり腰で引き返す羽目となってしまった・・・・・・・・・・ここから林道を下る事10分、管理釣り場まで来たら釣り人らしき人に声をかけられた、毛ばりですがまったく魚が出ませんでした・・・・・・私はあの大山女魚の事は伏せて答えるとまだ毛ばりじゃ早すぎるよ・・・・出る訳はないよ・・・・と小鼻をふくらませて得意げにビクの中を見せてくれた、なるほど・・・・みごとなヤマメが5〜6匹入っている、でも・・・これって管理釣り場の魚じゃないですか?私はその質問を心の中で呟いていた。帰宅後、矢竹沢の情報を調べたら昨年、37cmの岩魚が釣れているそうである、

突然出てきた大山女魚・・・・・・さてどうしたものか・・・・・・

やがて前方に大きな淵が現れた・・・・・20数年前にもこのあたりで釣ったのだが全く記憶がない、流れ込みは左右からだが、正面の大きな岩の下は深く抉れていて大物の気配・・・・・・こういう大場所を餌釣り師が見逃す筈もない、魚は釣り切られているだろう、流れ出しから慎重に毛ばりを落とすが予想通りに反応はない・・・・・・・流れが岩にぶつかって渦をまいている所に沈めてみたが、ここも当たり無し、そこで落ち込みのすぐ裏側の淀みに向かって一振り・・・・・私にしてはめずらしく完璧な振込みだった、ラインが淀みに入ったと同時に、巨大な物体が浮き上がるのが目に映った、おお!大物だ!私の頭脳は咄嗟に判断したのだが、肝心の竿を掴んだ手が動かない、残念!遅れてしまった・・・・半分諦めながら竿を煽ってみるとガツンと大きな衝撃が走った、ラインがそのまま動かない・・・・だがこれは絶対根掛りでは無い、この先にはさっきの大物がいる!私の胸は高鳴った・・・・・今日のハリスは1号だ、上手にやれば切れる事はない、無理にラインを引っ張らずに竿を立てながら、ラインの先の物体が疲れるのを待つ事にした、やがて竿に掛る抵抗が弱まってきたな、と感じた瞬間、その物体は淀みを出て淵の中央に現れた、キラリと光った横腹に見えたのはパールマーク・・・・間違いなく大山女魚だ!右に左に逃げ回る奴の力は凄い・・・・私は竿を立てながらそれに耐える、ピューピューと鳴るライン、焦るな!焦るな!と自分に言い聞かせながらの10分間、ようやく奴の抵抗が弱くなってきた、今日はタモを持っていない・・・・私は竿を下流に倒しながら足許の砂地に引き上げる事にした、流石の大山女魚も観念した・・・かの様に砂地の浅瀬まで上がって来た、よし!これでゲットだ!と喜んだ途端の出来事だった・・・・今まで張っていたラインがいきなり後方へと飛んだのだ・・・・・・しまったハリが外れてしまったしかし奴はまだ浅瀬で暴れまわっている、すばやく近づけば両手で押さえられるのだ、私は持っていた竿を放り出して奴へと突進した・・・・・突進した・・・と思ったのだが身体が動いてくれなかった、踏み出す一歩で小石につまづき四つんばいになってしまったのだ・・・・・・・・・それでも必死に起き上がり奴に迫ったのだが、一瞬早く奴は水中へ・・・・・・・・・・・・尾ビレすら掴む事が出来なかった。

 釣りはじめは管理釣り場が終ったすぐ上から

第8区の立看板を過ぎてからも暫くは特別区となっており、日釣り券の釣り人は入れない、特別区解除はゲートから800mほど上流になり、今日はそこから午後2時まで釣りを楽しむ予定である、林道から渓までは8m位だが、僅かな踏み跡を見つけて滑る様に降りた・・・・・・・時計を見ると10時を少しまわったところ、これから4時間はゆっくり渓に浸れそうだ、水量は少ない様だが、じつに綺麗な流れだ・・・・・・水温計を忘れてしまったので手を入れてみたが推定で6度程度だろう、水際の小さな流木にはキラリと光る氷も・・・・・・・仕掛けを取り出しながら周囲を見渡してみるが、やはりまだ春は遠い・・・・・辺りの木々も山膚もまるで水墨画の様、瀬音以外には小鳥の囀りすら聞こえない・・・・・しかしながら、この素晴らしい大自然の中で釣り人は我ひとり・・・・・なんと!贅沢な・・・・・・竿を取り出しながら思わずニンマリとした。

管理釣り場はまだ寒々とした風景・・・・・・

管理釣り場の駐車場には3台の車が停まっているが人影は見えない、5月のGW等では満車となるのだが、まだ3月のこの時期では休日でも訪れる客は少ないだろう、ひっそりとした管理小屋は活気もなく、ちょっと淋しい風景だった・・・・・ここからの林道は車止めのゲートがあり、関係者以外は徒歩となる、渓を左手に見ながらの林道は歩きやすく快適である・・・・・途中に第1区〜第8区と立て看板がある、これは釣り場を区切っており、その降り口の案内板の様だ、見ると川が段々畑の様に区分け、河原は広くバーベキュー用に整備されている、これなら家族で訪れても充分に楽しめるだろう、私はまだ管理釣り場が出来る以前には、年に数回はこの渓に足を運んでいた、この管理釣り場が出来る際には、自然破壊だ!などと息巻いていたものだが、これも時代の流れ・・・・・この様に誰もが安心して楽しめる渓流管理釣り場も必要な気がする。

日和良し、渓相よし、しかし反応のほうは・・・・・・

渓は穏やかな流れで瀬、淵と続いて遡行に苦労はない・・・・・・・ただ、頭上に木が覆いかぶさっている箇所もあり、つぼみも目覚めないこの時期ではついついその枝を見落としてしまう、釣り開始早々に左岸に張り出した枝に黒系の逆さ毛ばりを提供してしまった・・・・・・・・時間はたっぷりとある、今日はいつもなら見過ごしてしまう様な浅瀬の中にも丹念に毛ばりを流す、この入川は有名な激戦区、3月1日の解禁以来数えきれないほどの釣り人が竿を出しているだろう、魚が容易に出てこない事はわかっているが、それでも心はウキウキ・・・・竿を出すだけで楽しい、20分ほど釣り上がるも魚の反応は未だ無い、しかしながらゆったりした気分で充分だ、まったく焦る気持ちはない・・・・・・・・・・