日本消化器内視鏡学会甲信越支部

18.細径気管支鏡により内瘻化が可能であった胆管狭窄の一例

新潟大学医歯学総合病院 消化器内科
熊木 大輔、塩路 和彦、上村 顕也、小林 雄司、阿部 寛幸、高橋 祥史、水野 研一、竹内 学、青柳 豊
新潟県厚生連佐渡総合病院 消化器内科
大崎 暁彦、渡辺 順

【はじめに】経皮胆道鏡検査はPTBD後に16~18 Fr程度の瘻孔拡張を必要とし、比較的侵襲の高い検査手技である。頻回の検査が困難な症例に対し、細径気管支鏡を用いることで瘻孔拡張を行わず、治療が可能であった症例を経験したので報告する。【症例】40歳代女性。高度精神遅滞で施設入所中。脊椎側弯症にて手術既往あり。2013年1月16日 黄疸が出現し前医CTで胆管拡張を認めた。ERCPが試みられたが、脊椎側弯症術後のためか十二指腸の変形が強く、乳頭を認識出来ずに終了した。1月21日 ERCP目的で当院紹介入院。乳頭が確認できたため造影すると乳頭部が嚢腫状に拡張、さらに造影すると膵管が造影された。嚢腫状に拡張した部分は乳頭部胆管と考えられ、膵胆管合流異常と先天性胆道拡張症(choledochocele)と診断した。しかし肝側胆管は造影されず、ドレナージは不成功に終わった。ERCP後膵炎および重症MRSA肺炎を発症したが、保存的治療で軽快。黄疸も自然軽快したため前医へ転院となった。4月22日 黄疸が再燃し、胆管炎も発症。経乳頭的処置は危険と判断し、高度精神遅滞のため鎮静下にPTBDが施行された。その後施設への入所を目指し内瘻化が試みられたが、わずかに十二指腸側が造影されるもののガイドワイヤーが通過しなかった。7月5日 内瘻化目的で再度当院転院。胆道鏡下での内瘻化を行う方針となったが、頻回の瘻孔拡張は困難と判断。7月10日 細径気管支鏡(BF-XP260F)を使用し、経皮胆道鏡下に内瘻化を行った。胆道鏡観察では、下部胆管は瘢痕様で腫瘍を疑う所見は認めなかった。胆管内腔と思われるpin holeを認め、同部からガイドワイヤーを十二指腸まで進める事が可能であり、内瘻化に成功した。【まとめ】BF-XP260Fは外径 2.8 mm, 1.2 mmの鉗子口径を有する気管支鏡で、10 Frシースを通して使用した。頻回の検査が困難な症例に対し、瘻孔拡張を行わずに短期間で経皮胆道鏡下に内瘻化を行う事が可能であった。