日本消化器内視鏡学会甲信越支部

16.乳頭部胆管の壁肥厚を内視鏡的に確認し得たOddi括約筋機能不全(SOD)の1例

佐久総合病院 肝胆膵内科
清水 雄大、比佐 岳史、宜保 憲明、若槻 俊之、桃井 環、古武 昌幸、高松 正人

【症例】患者は80歳代、女性。主訴は発熱、上腹部痛。初診9か月前、近医で肝胆道系酵素上昇を指摘されたが、経過観察で正常化した。初診2日前、発熱、上腹部痛を認め、近医を受診した。肝胆道系酵素上昇および、腹部造影CTで肝内・肝外胆管および主膵管の拡張を認め、精査加療目的に当科紹介となった。CTでは胆管・主膵管の末端部に壁肥厚が疑われた。EUSでは乳頭部領域の胆管壁に全周性肥厚を認めたが、明らかな腫瘤や結石はなかった。以上より、乳頭炎あるいはOddi括約筋機能不全(SOD) と診断した。ERCPを施行したが、胆管挿管が困難であった。主膵管内にガイドワイヤを留置し、Transpancreatic sphincterotomyを施行した。竹輪の縦切り状となった肥厚した乳頭部胆管が露出し、胆管挿管が可能となった。胆管IDUSでは胆管末端部に全周性の壁肥厚を認めた。腫瘍除外目的に擦過細胞診を施行したが、Class IIIであった。3ヶ月後、胆管擦過細胞診を再検し、Class IIであった。術後1年が経過した現在、腹痛や肝胆道系酵素の上昇はなく、画像上胆管および主膵管径は縮小し気腫を認めている。

【考察】本例はCT、EUS、胆管IDUSで乳頭部胆管の壁肥厚像を認め、内視鏡的に確認しえた。