日本消化器内視鏡学会甲信越支部

14.肝胃間膜に発生した孤立性Castleman diseaseの一例

信州大学 医学部 第一外科
寺田 志洋、本山 博章、大久保 洋平、野竹 剛、北川 敬之、酒井 宏司、古澤 徳彦、清水 明、横山 隆秀、小林 聡、宮川 眞一

症例は54歳,女性.健康診断時の画像検査にて上腹部腫瘤を指摘された.同腫留はPET-CTにてSUV-max 6.4の異常集積を呈していたため,悪性腫瘍を疑われ加療目的に当科紹介となった.腫瘍は胃小弯肝胃間膜内に存在し,内部石灰化を伴う径24mmの病変として認められた.病変は遅延性濃染像を呈し,MRIではT2WI高信号,及び拡散強調像で高信号として描出された.傍大動脈リンパ節孤立性腫大(直径10mm)を認めたがPET-CTでの集積性は認められなかった.悪性リンパ腫の鑑別として可溶性IL-2 receptor値を測定したが,基準値以下であった.以上の所見より腸管外GISTを疑い,傍大動脈リンパ節サンプリング及び腫瘍摘出術を施行する方針とした.術中迅速診断にて傍大動脈リンパ節には腫瘍性変化を認めず,腫瘍摘出術を施行した.肝胃間膜腫瘍は永久標本での病理組織検査により,孤立性Castleman diseaseと診断された.腹腔内に発生する孤立性Castleman diseaseは稀であり,文献的考察を加え報告する.