アベレージ1m・・・。
本当に釣り雑誌は大げさである。
しかし、わかっていてもいつもそれに釣られてしまう。
最近また面白くなってきた淡水の釣りの最大のターゲット、バラマンディ。
釣っている写真をみるとどれもデカイ。でも残念なことに、どの写真も夜釣りが多い。
ブリスベンから650km圏内にデカイバラが釣れる湖が3つある。
雑誌、DVD、web上、釣具屋いろんなところでバラの話が出てくる。
あのサイズ、いったいどんな引きをするのだろう。想像するだけで、わくわくしてくる。
最近暑い日が続いて、水温も26度はいっているはず。バラの季節だ。
そう思うと同時に、職場に2日間の休みを取る電話をし、4日間の遠征に出かけた。
時間を少しでも延ばすため、仕事後一直線に湖に向かう。家から550kmさすがに遠い。
仕事の疲れもあったが、気合とレッドブルで何とか7時間で目的地に着いた。
しかしデカイ湖である。自分のゴムボート+エレキでは無謀であることは一目瞭然である。
釣具屋で聞いた、1週間4人で16匹。
そのほとんどがメーター級だったという話をきいたせいもあり、
自分の装備でも何とかなるだろうと思っていた。
翌朝、早速情報収集を始める。それにしても人が多い。
ボートは大体一日で30〜50は来ていると思う。
多い時には200以上のボートが来るらしい。
その光景まさに日本。NSWからも相当な人数が来ている。
興奮気味に釣りから帰ってきた人に釣果を聞く。
答えはNO FISH。皆さんそろってNO FISHである。
しかも、みんな高そうなボートを持っている。
そして、最後に聞いた人からとどめの一言。「一週間NO FISH」である。
想像とだいぶ違うが、なぜだか自分は釣れるというおかしな自信だけはあった。
ゴムボートで挑戦する。
周りから涼しい視線を浴びつつも、エレキでゆっくりとポイントを目指す。
釣り始めてすぐにアタリがある。そら来た。と思いきや、ナマズ。
その後もナマズばかりが釣れる。
夜釣りも、挑戦してみる。湖上に10個以上ボートの明かりが見える。
夜はボイルなど魚の気配はあるもののまったく釣れなかった。
ルアーを変え、水深を変え、ポイントを変えるがまったく変化なし。
そして、1日目終了。NO FISH。2日目もNO FISH。
あっという間に自信は消えうせ、でっかい湖に小さい自分が出来上がった。
3日目、逃げるように違う湖に移動する。
この湖はかなり小さく自分のゴムボートでも何とかなりそうな感じ。
しかも、雑誌などでは魚影は濃くデカイバラもよく釣れると好評だった。
ボートランプから湖を眺めていると、いくつかのボイルを発見。
魚はいる、あとは釣るだけだ。
急いでボートにエアーを入れる。エレキ装着完了、出発・・・シューーー・・。
音が聞こえる、何かが漏れている。ボートがみるみるヨボヨボになる。
岸の近くだったため、何とか助かった。原因はボート内部の破損である。
1cm位の亀裂がボート内部の角にできている。
500ドルもしたボートなのに10回程度の釣行で、すでにこれである。
なんというチープクオリティ。
ここまできて・・魚は目の前なのに・・・。
あまりの怒りと悲しみで、泣きたい気分になった。
しかし、怒ってもしょうがないので、
アクアシールと付属の修復キットを駆使して直してみる。
数時間後ダメもとでエアーをもう一度入れる。
エアー漏れの音はほとんどしないが、わずかに漏れている。
破損部分が大きかったのと場所が悪いため直すのは不可能。
しかも相棒は、ボートに乗るのを恐れている。
確かに、これが昨日の夜釣りの時に起こっていたら、大変なことになっていた。
不幸中の幸いなのか。
ボート損失はかなりのショックだったが、
こうなったらショアからデカバラを釣ってやると逆に気合が入ってきた。
アクセスできる場所を発見し、準備をしていると辺りは真っ暗になり凄い風と雷が鳴り始めた。まさに泣きっ面に蜂。結局1投もせずに、湖を去る。3日目もNO FISH。
キャラバンパーク内のカンガルー。
二ールとジェーンとの出会い。
キャラバンパークでのネイバーがニックとジェーン。
彼らはすでにリタイアし釣りの毎日である。
自分も将来あんな風になれたらいいなぁと思えるほど、二人は仲がよく、
Mad Keen Anglersである。
彼らには2日目の夕方に彼らが釣ったバラを見せてもらった。
64cmの小型ではあったが食べるにはいいサイズ。
しかも、初めて見るバラに興奮してついつい話し込んでしまった。
この湖にも通っているようで結構くわしい。
この湖はアベレージがメーターなんでしょ?と聞くと、
「そんなわけない」と即答された。雑誌め、やはり大げさ。
メーターオーバーはある種の目安(トラウトなら10lb等の)で,
それを釣るとバラメータークラブに入れると教えてくれた。
ニックは109cmですでにクラブ会員だ。ジェーンは90cmでもうちょい。
自分はただ一匹バラを釣りたいだけだった。
3日目の夜、ニックに会う。
彼も自分が行った湖に行ってて、しっかりと90cmのバラを釣っていた。
いいなぁと心底思った。ボートさえ壊れなければ、と思うとため息ばかり出た。
4日目。ついに最終日。
結局バラとの接触は何も無く、ボートも壊れ、むなしい気持ちで朝を迎える。
この日は、湖にあるボートをハイヤーして挑戦するつもりで、
テントをたたみ出発するときニールに会う。
今日はボートをハイヤーして釣ることを伝えると、
一緒に釣ろうと誘ってくれた。
今は朝7時、自分は一分でも早く釣りを始めたいが、
二ールは9時から行こうと言う。
まぁ、いまさら焦ってもしょうがないし、のんびりオージースタイルでTeaTimeにする。
二ールのボートで釣りを始める。
4.5mのボート、40HPは安定性、スピードどれも素晴らしかった。
彼は主にトローリングで釣るため今回もトローリングをするという。
自分はトローリングは釣りよりも漁という感じがしてあまり好きではないが、
せっかくの誘いは断れなかった。トローリングを始める。
みんなボートのロッドホルダーに竿を収めるが、自分だけは手で持って、
こまめにトゥウィッチングをいれる。
船上で、過去の釣り話に花が咲く。
「こうして5日間もトローリングしても釣れない時もあるんだよ」と,
ガッカリする釣り話もきく。
5日間もトローリングして飽きないのかなぁ・・と思いつつも、
一人でトゥウィッチングいれる。
突然、竿とリールに凄い負荷がかかり、リールが逆転する。
まさか!!ラインの先に生命反応がある、魚だ。
ナマズにしては相当重い。期待感が高まる。
ポンピングしてリールを巻く。
時折、ものすごい突っ込みをする、
あまりの突っ込みの凄さにリール内のラインがトラブルを起こした。
これにはさすがに焦る。
運良く、魚が自分側に泳いできたのと
ニールとジェーンがが一緒にトラブルを直してくれて何とか安心。
それにしても重い。
ニールが「バラだよ、64cmよりはデカイよと冷やかす。」
5分後やっと水面に魚が顔を出した。
その瞬間、度肝を抜かれた。
何じゃこりゃ!!デカイ、デカ過ぎる。
おそらく船上にいた全員が息を呑んだ。
足と手が震えだす。
これは逃すまいとジェーンとニールが必死にランディングを手伝ってくれる。
ボートサイドで、最後の凄い突っ込みをする。
スピード、引きの鋭さはほとんど無いが、この突っ込みが凄い。
例えるならスモーレスラー。
スモーレスラーの最後のぶちかましを何とかかわしやっとネットイン。
体の力が抜ける。
デカイ。震える手でサイズを測る。
112cm、20・5kg
自分のファーストバラである。
あまりのデカサに夢ではないかと思えるほどだった。
二ールから「何人もの釣り人が一生かけても釣れないかも知れないサイズだよ」と,
祝福を受ける。「まさにPURE LUCk だな」とも言われた。
自分は釣りで運がいいねと言われるのが大嫌いだが、この時ばかりは、
「That's True」と言わざるをえなかった。
この日は大会もあり、多くのボートが寄って来て祝福してくれた。
リリースしようと思ったが、ボガグリップでリフトしてしまった為、
内部損傷の恐れがあると言われ、キープする。
キープするとき以外はボガグリップは使わないほうがいいようである。
ファーストバラにしてバラメータークラブに入会してしまった。
しかし、自分一人では到底釣ることがかなわなかった事は明らかであった。
ただひたすらニールとジェーンに感謝である。
その後、ニールにジェラシーと言われ、船から落とされそうになるが、
本当は飛び込みたいくらい嬉しかった。
釣った興奮もだいぶ収まり、またトローリングを始める。
もう釣れないだろうと思いつつも、トゥイッチングする手に力が入る。
ニールとジェーンもかなり熱くなっているのがわかる。
ジェーンが魚探を食い入るように見ている。
釣ってから30分後くらい、ジ、ジーーーとドラグが出る。
なんと、今度は相棒が選んだルアーにヒット。
魚がボートに向かって泳いでくるため、ぜんぜん引かない。
ニールもナマズだよ。と余裕顔。相棒も余裕でリールを巻いている。
水面まで上がってきた、シルバーボディーがギラリと光る。
デカイナマズ、、じゃない。
バラだ。全員急いでランディング体勢に入る。
船縁で少し暴れたもののすぐにランディング。
84cm、 8kg。きれいなバラだ。相棒のファーストバラ。
こんな短時間に2匹。こりゃ凄い。
しかも、午前11時、真昼間。
いつも午前3時から釣りを始めていた自分には信じられないことだった。
その後も粘るが結局午後1時で釣り終了。
自分と相棒だけが釣るという運の良さ。2人には本当に感謝。
2匹ともキープしたので、さっそくフィレットにする。
112cmのバラはさすがにサバキがいがあった。
フィレットは半分ずつに分け、Teatimeをみんなで楽しむ。
今日の釣りの話題で持ちきりだ。
ニールが政府から発行されるバラのサーティフィケート
(今もやってるかは定かではないらしい)なるものを申請してくれるそうだ。
今回の釣りは本当に色んなことがあったけど、何とか一匹釣れて安心した。
本当は友人からもらったフライ&自分で巻いたフライで挑戦してみたかったが,
今回はそれどころではなかった。
しかし、ポイントやCREEK BEDの位置を今回の釣りで結構把握したので
今度はフライで挑戦してみたい。