Dancing With Monsters 
オーストラリア 巨大バラマンディはトップで釣る


人によって異なるが自分が考える「釣り」は、ポイント探しから始まって、釣り方、タックル、テクニック、ランディングなどの魚を「釣るまでの過程」をいかに悩み、苦しみ、楽しむかによって満足感が違ってくると思う。オーストラリアを代表する魚の一匹、バラマンディ(Barra)。前回(12月)の遠征で辛くも、112cm・20.5kgの素晴らしい魚体を手にしたが、その釣り方や人に手伝って「釣らせてもらった」感がどうしても拭えず、満足できずにいた。あの想定の範囲を超える凄まじい突っ込み、メタリックで馬鹿デカク美しいシルバークイーンを満足いく釣り方で手にした想像しただけで、もう居ても立っても居られなくなり巨大な彼女の棲む湖に向かった。

今回は残念ながら同行者はおらず、単独釣行。それは同時にリミッターが存在しない、エンドレスフィッシングの始まりを意味した。夜に家をでて徹夜ウトウト運転でやっと湖に着いたのは朝4時。辺りはまだ暗く、風が少しあったが後一日で満月になるデッカイお月様が湖面に美しく映り、それに誘われるようにゴムボートを走らせた。2回目となる今回の遠征だが季節ごとにポイントが変わってくるため、初日はいろんな場所に移動し様子見に徹することに決めた。明るくなり始めるとボートが次々に出てくる、湖の釣り人口は急増加し彼らが起こす引き波に揺られながら、釣れそうな場所を数投ごとに移動。ティンバーへディープダイバーを投げた時、グーンとまるで根がかりのような重い引き。引きからして大きなバラではなさそうだが早速の魚信に興奮しながらリールを巻く。ゆっくり、ボッテリ上がってきたのは予想外のゴールデンパーチ。
53cm・4kgなかなかのサイズ、食べても美味しい魚なのでキープした。湖をよく眺めるとほとんどの釣り人がトローリングで釣っている、もはやバラ漁といった感じ。おそらく1割の人がキャスティングによる釣りをしている感じであった。
釣れる場所をチェックするため他の釣り人の動向を探ると、たまに遠くで何人か釣れている釣り人を発見。水面が見事に爆発しているのですぐわかる、そして場所を覚える。10時頃から風が強くなりゴムボートでは危険なほど波が立つのでバッテリーの充電も兼ね切り上げる。キャラバンパークでテントを立てやっと一休み、さすがに少し疲れた。バッテリーと自分のエネルギー充電が完了し午後4時からまた向かう。いつも通りボートランプで、いいボートを持っているたくさんの釣り人から涼しい視線を浴びつつゴムボートを膨らます。今朝他の釣り人が釣れていた場所周辺を探ってみるが、反応なし。こうなってくるとどこに行ってよいのか迷う。岩場の急深になっている場所で粘るも魚信なし・・・自信と期待は次第に薄れ、焦りが出てくる。午後10時風、バッテリーの限界を感じ撤収。不安を抱え明日に挑む。


Welcome to Barra Territory!!

朝一番から釣り始める、ティンバーエリアに移動しディープダイバー及びソフトプラスティック、フライ(ヤケクソ)で攻めるが反応なし。リバーベッド周辺に移動し底を探ってみるが音沙汰なし、となるとお手上げ状態である。とその時「ゴボッ!!」と言う音が聞こえた。少し離れた所でトローリングをしていたボートがバラを釣っていた。いいなぁ・・どれどれと興味津々で近づくとデカイバラがドッカーン!と水面を割ってでた。

相変わらず凄いファイトだ。こいつはデカイ、おそらく110cmは超えていそうだ。それを知ってか、釣っている親父やたら慎重に時間をかけて釣っている。自分が観戦し始めてから10分は経とうか・・・長すぎる。そしてバラが船縁に寄った3度目、案の定エラ洗いによりフックオフ。あ〜あ、勿体無いチンタラ釣ってるからだよ、と日本語で野次を飛ばしておいた。そして、自分はあたりすらなく午前9時半に風&波によりTKO。マズイ、ヤバイ、すでに遠征釣行の折り返し地点に差し掛かっている・・・。どーするかなぁ・・・トローリングは釣れてたなぁ・・・ボーズはやだなぁ・・・プライドはいらないかなぁ・・・。
午後4時から釣り始める、今夜は満月なので期待できると自分を励まし出発。ボートをリバーベッドに沿わせユックリと走らせ、竿をグンッ・グンッと動かす。さぁ、トローリングの時間だ!気分は漁師。しかし・・釣れると思っていた最終手段も2時間音沙汰なく湖を徘徊する。辺りが暗くなってきたプライムタイム、機械的に動かしていたロッドがゴツ、ゴッツーン!!のアタリでひん曲がり、かなりキツメに閉めていたカルカッタ200Bが悲鳴をあげる。ドッパーン!!水面を割っていいサイズのバラが見えた。デカイそして、下に走るバラにヤバイ!と思ったのも束の間、ドラグを限界まで閉めるが時すでに遅し、すでにヤツは沈み木へ・・・。引っかかったルアーを願うような気持ちで回収するも、バラはすでに逃げた後だった。敗因は、シルバークイーンのパワーを甘く見ていたこと、ドラグは最初から限界まで閉めておくべきだったのと、やはりゴムボートは踏ん張りが利かずバラに引きずられてしまう事だ。正直かなりヘコムもアタリがあったことに手ごたえを感じた(もう完全に漁師化)。またトローリングを始める。アタリがあった周辺を攻めると、ガツンッ!!とキタッ。今度は準備万端、1cmたりともヤツをティンバーや沈み木に近づけさせないために、まるで素人が初めて魚を掛けたかのごとく猛スピードでゴリ巻き&ポンピングで一気に寄せに入るが驚いたことに限界まで閉めたドラグから突っ込みごとにラインが出て行く。さすがはクイーン!負けじと逆回転するスプールを親指でロックしポンピングで応戦。やっと浮き上がってきた・・・しかし、ここで問題が!!(予想していたが・・)持ってきたネットが小さすぎる。魚体半分しか入らない、しかも単独釣行なのでセルフランディングをこのゴムボート上で行うのは至難の業である。バラはすでにボート脇、今朝見た釣り人がバラシタ状況に似ている・・・ボート脇で突っ込みやエラ洗いを繰り返すバラ相手に迷っている時間は皆無、一か八か魚体半分を入れたあと、ロッドを置いて両手でネットを持ち上げ強引にボート内にランディング。ゴムボートにルアーが刺さるアクシデントがあったが、貫通は免れた。とりあえずのボーズ脱出に一安心。サイズも100cm・13.5kgの良型だ。釣り士のプライドなどない漁師アングラーYOSHIの誕生!・・・か?

トローリングは線の釣り、キャスティングは点の釣り。どっちが釣れるかは一概に言い切れないが、深場に潜むバラを釣るには広範囲探れるトローリングに分がある。
やっと一匹釣ってボーズを脱出し一息つく。バラはいる、活性は高い、トローリングは釣れる。線と点の釣り・・・活性は高い・・・もしかしたら、リバーベッド周辺のベイトが沢山いるティンバーやシャロー(2〜3m)にも出てきているかもと予想してみた。ポイントを決め、1投ごとにボートを少し動かしキャストを繰り返し、そのポイントを徹底的に点と点で結び線とする。その方法で釣り始めて2時間が経過しようとしていた。ダメか・・・と諦めかけたときシャローからの落ち込み付近でグ・グンッ!ゴッパーン!!水面が割れる。オッシャ!!底に何があるかわからないので、ヤツを浮き上がらすことに専念する。ポンピング・ポンピング!!限界締めドラグ+親指ドラグでもラインが持っていかれる、こいつはなかなかのサイズだ。バラは下へ下へ行こうとするおそらく何かがあるのだろう。綱引き勝負は望むところだ。強引にポンピングすること数回、太っちょバラのファイトは長続きしない。船縁で暴れたものの、前回と同じ方法でランディング。嬉しさからかファイトからかわからないが心臓がバクバクと音を立ているのが聞こえた。ファイトに夢中だったがアドレナリンが多量に分泌されたことは言うまでもなかった。105cm・14.5kgメータープラスだ。今回は釣り方も満足、予想もあながち外れていた訳で無く嬉しい限り。その後、違うポイントに移りキャストを繰り返したが湖は静まり返っていた。午後11時納竿。

メーターバラを2匹釣り、気持ちにかなり余裕ができた。これであのメソッドで釣りができる。実は初日にあることに気がついてこの方法を試してみたかったがどうしても踏み切れないでいた。明日はコレしかない!!


Dancing With Monsters 

コレだ!!朝一、静まり返った湖に「ポコッ、ポコッ・・・ポコッ!」静寂を破る音。そうポッパーである。この二日でだいぶ魚の位置も把握したつもりだ。加えて初日のプライムタイムで2度程恐ろしいまでの水面破裂音を聞いた時、これもしかしてトップで釣れるんじゃ・・?とずっと思っていた。朝日が出て来た、プライムタイムだ。ポイントへポッパーを打ち込む。出るかわからないが視覚での釣りのため、とりあえず興奮だけはする。信じるしかない・・・ポコッ・・「バシャン!」。ウオォォォーーーーーッ!!!!でた〜〜〜!ゴリ巻きゴリ巻き・・ん、バラにしては貧弱な引き。しかもなんかクネクネしてる。なにこれ・・・全く予想していなかった魚、ロングトム。何気にいいサイズではある。がっかりついでにルアーとリーダーがボロボロにされた。
場所を少し移動し、よさそうなティンバーを発見。ティンバー周りでポコポコ・・・ドッパッ〜〜〜ン!!水面が破裂しデカイシルバーボディーと尾鰭が見えた。想定の範囲を遥かに超える水面爆発に一瞬時が止まって、パニックになってしまった。???ポッパーはどこだ?ラインにテンションが無いことから釣れてないことは確かだが・・・ポッパー発見、1m程弾き飛ばされていた。これは凄い、釣れてもいないのにポッパーに出たことに興奮、体が熱くなる。その後ポッパーをいろんな場所に投げ倒したが、反応は無く午前10時終了。
バッテリー充電が終わった午後4時いつもとは違う気合の入りようで出航。頭の中からあの爆発が離れない。さっそく例のポイントへ行く、ポコポコ繰り返すが辺りが薄暗くなるまで全く魚信なし。日が沈み始め、ティンバー脇をポッパーが通った時ゴ、ボゴッ!!デタッ、バラだ。しかし、またノラズ。少しずつ場所を移動しその周辺を攻める。ガッボーン!!また出た・・・が今回はよく見えた、食ってない。明らかにやる気はあるのだが食うのが異常に下手だ。リーリング速度は皆無に等しい、ポップ後のステイ時に出るにもかかわらず食ってくれないとなると・・・。ちょうどその時GT用のデカポッパーがあることに気がついた。大きめポッパーは着水音もドボンと鳴る。ポッパーが大きくなったことで食い易くはなったはず。あとは、出るか?ゴボッ、ゴボッ凄いポップ音が鳴り響く。辺りがだいぶ暗くなり真ん丸お月様が見える。ゴボッ・・・シュッゴブ!!少し吸い込むような音と水面破裂が起こった瞬間、水の中に引きずり込まれそうなほどのパワーでボートが動く。バッシャーーン!とジャンプ一閃後、ヤツはものすごい勢いでティンバーに向かう。限界ドラグ+親指でも止められず、親指が熱い。必死のポンピング、ゴリ巻きの甲斐も虚しくティンバー裏に回られてしまった。とにかくテンションは思い切り張り、エンジン全開で自分もすぐに裏に回る。頼む、まだいてくれとロッドを必死に立てる。嬉しい事にロッドから恐ろしいまでの生命反応を感じた。ヤツはまだまだヤル気だ。とにかくティンバーと沈み木から一刻も早く引き離すことが重要だ。エンジンをリバースにいれ、ヤツの急な方向転換に気を付けつつゆっくりと移動する。やっと障害物のなさそうな場所に出てランディングに成功。96cm・13.5kg、獲った!獲ったぞ!一人きりの歓喜が湖にこだました。  

結局、熱い夜の宴はあの一匹のみで幕を閉じた。しかし、プライムタイムには何度かポッパーにデカバラが出てきた。どうしたらノセラれるか?答えを見いだせないまま朝のプライムタイムを迎える。昨夜の反応がよかったポイントへデカポッパーを打ち込む。あの恐ろしいまでの爆発がいつ起こるか、緊張と気の高ぶりを感じつつポップする。数投目、ボグン!!少しのスプラッシュとモヤが発生、水面は炸裂しなかったが、デカバラのシルバーボディーが見えた。しかも、また食ってない。どうしたらいいのか整理がつかぬままキャストを繰り返す。プライムタイムは短い、迷っている時間は無い。そうこうしているうちに、またドカン!・・・食ってない。?マークでいっぱいのままプライムタイム終了。苦し紛れに、ディープダイバーを投げるが反応なし。悔しさを噛み締めつつ今回の遠征釣行が終了した。今回の遠征は、実に充実していた。バラがトップにあれほどの反応を見せるとは思いもよらなかった。残念なことに獲ったのはたったの一匹。トップに出るのに食わない、または食わせられない。課題が残る釣りとなったことも確かだ。次回の遠征までに解決法を考えてもっと凄い釣りにしたい。
銀色の女王様はなかなか気難しいが、いったんこっちのプレゼントを受け取ったら、女王様リードの凄まじく激しいロック
ロールが始まることは間違いない。Let’s Dance!!
End


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ゴールデンパーチ53cm 4kg
バラマンディ 100cm 13.5kg
バラマンディ 105cm 14.5kg
ロングトム 
フックが曲がったホッパー
トップにでたバラマンディ 96m 13.5cm