釣りをしない休日

今日は町に下りた。
食べ尽くした食料補充と大量の洗濯物を洗うためだった。
グレイマウスのインフォメーションセンターでキャンプ場の場所を聞き、
早速そこへ向かった。
キャンプ場の受付で手続きをとる。
「えっーと、シャワーと洗濯機を使いたいんだけど...」、
久しぶりの他人との会話。
「シャワーと洗濯だけでは使えません。10ドル払ってチェックインしてください。
二人なので20ドルです。」
と言われてしまった。
20ドル(日本円で千円)は高い。
一つ目のキャンプ場はお断りして、次のキャンプ場へ向かった。
二つ目のキャンプ場は町から少し南へ下った海沿いにあった。
一人3ドルでOKとなった。
波の音が聞こえるこじんまりとしたキャンプ場だった。

さっそくたまった洗濯物を、NZサイズの大きな洗濯機にほうり込んだ。
2ドルコインをカチャンと入れると、洗濯機が動きはじめた。
その間にシャワーを浴びる。
考えてみるとシャワーを浴びたのは1週間ぶりになる。
洗濯機を使って洗濯したのは、なんと一ヶ月ぶりだった。
その間ずっと川で済ませていたんだ...と
我ながら驚きだった。

久々の温水で頭のてっぺんから、足の指の間までしっかりと洗い、
「ふぇー、すっきりした。」と、
車に戻ると、広兄が先にシャワーを終わらせていて、
洗濯物が干されていた。
キャンプ場の柵にそれらは干されていて、
ずらーっと並んだ洗濯物の量に、
これまたびっくりした。
干された洗濯物でニュージーランドの気候と必要な服がわかるほど、
持っていた服のほとんどを洗ってしまった。

突き抜ける青空に、強い日差し。
風にゆれる洗濯物も気持ちよさそう。
乾くまでの1時間と少々、
毎日毎日魚のことを考えて、川を歩き、竿を振り、フライを巻く。
釣りのために一日を組み立てる。
ひさびさの釣りをしない穏やかな昼下がりだった。
のんびりとカモメが舞い、休日の時間がそこにはあった。

洗濯物がカラカラになったところで、
冷たいシャワーを頭からかぶり、
キャンプ場から山へ向かった。

02年3月10日Greymouthより

2時間もすれば、洗濯物はパリパリに乾き、それ以上干すと色あせる




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