釣り場までの情報




ニュージーランドには北から南まで大小さまざまな川がある。
そのほとんどの川にニジマスまたはブラウントラウトがいる。
魚の数が多い川があれば、少ない川もある。マスがいない川もある。
魚の平均サイズが大きい川があれば、小さな魚ばかりの川もある。
川の色もさまざまで、濁った川、澄んだ川、
澄んだ川にも、青、黄、緑、茶と川によって違う。
水の色が異なれば、魚の色も違う。
「そんな数ある川を全て釣り歩いてみよう」なんて考えたら、何年かかるかわからない。
いい釣り場だけを釣ることができたら、どんなに楽しいだろうか・・・
いい川というのは言わずと知れた知名度があり、
日本の雑誌やインターネット上で見つけることができる。
それ以外にもすばらしい川があるのがニュージーランドの大自然で、
フライフィッシャーにとってまさにパラダイス。


そこでどうやっていい川を見つけることができるか、
そしてその釣行を成功させるか、
経験をもとにそのヒントを書き表してみる。

まず、ニュージーランドを自由気ままに釣り歩くときになくてはならないのが、
John Kentが書いた「South island Trout Fishing Guide」という本。(もちろん英語)
これは南島の270の川と95の湖を紹介している。
フライに適した釣り場を中心に書いている。
車を走らせていて偶然見つけた良さそうな川や、
地図上で見つけた川はたいてい紹介されている。
この本は私がニュージーランドを釣り歩く強力な情報源でありバイブルでもある。
これ無しでは、ニュージーランドは釣り歩けないと言っていいほど、
ありがたい一冊であり、夢の一冊である。


      

       この一冊がニュージーランドのすべてと言える


さらにDepartment of Survey and Land information(日本でいう国土地理院)が発行している、
地域ごとの5万分の1の地図を手に入れる。


     日本でいう国土地理院の地図  これは一冊の本になっているのもがある


  
 最近はCDで販売されている GPSにも対応している


Jhon Kentの本と、地図を照らし合わせればほとんどの情報を入手できる。
あとは、ひたすら歩く体力と気合。
川に沿って道路があったり、日帰りで釣りができればそんな気合も必要なく、
お気楽で釣りができる。
問題は人里はなれた山奥の釣り場である。


大きなリュックに2泊3日かそれ以上の食料を詰め込み、
テント、寝袋、ナベといったキャンプ道具に、釣具とカメラでリュックは頭より高くなる。
そこまでして山奥の釣り場を目指すのだから、それだけの情報を集め、計画を立てる。
@〜Gのチェックポイントを挙げる。
@いい川というけどどの区間が良いのか?
  いろいろな川がある中で、なにをいい川というのは難しいけど、
 渡ることができる程度の水量の川だと、釣り歩くにも苦労せず、
 魚を見つけるのに十分澄んだ水が流れている。魚を掛けたときにも優位に立てる。
 もちろん巨大に流れるいい川もある。釣りやすそうな区間がどこか、
 本を読み地図をにらみ見当を立てる。

A釣り場周辺にHut(無人の山小屋)があるか?
  Hutがあるかは5万分の1地図で見つけることができる。
 もしあれば地元のインフォメーションセンターでそれが利用できるかを聞く。
 利用できる場合には使用料を払う。(一泊300円〜500円)
 Hutがあれば、雨でも快適なキャンプ生活ができリュックが相当軽くなる。
 Hutにはたいてい暖炉、薪、ベット、水、があるが、
 インフォメーションセンターで確認するべき。
 また、地図上で名前のないHutがあるが、
 それはプライベートHutの可能性があるので注意する。

B釣り場までにゴルジェがあるか?
  ゴルジェとは谷が狭まり、流れが粗くなる渓谷のこと。
 重い荷物をかついで歩いても、ゴルジェに道を阻まれ行き止まりにならないように、
 5万分の1地図で等高線をよく読む。あくまでも予測なので、
 ゴルジェがひどいときもあれば、たいしたことないときもある。
 ゴルジェの上にいい流れがあることもある。地図から推測する。

C釣り場まで目印のついたトレッキングコースがあるか?
  トレッキングコースも地図で見つけることができる。
 あれば目印にしたがってひたすら歩く。ないときは、自分でルートを見つける。
 たいてい獣道程度に道っぽいのがついていることが多い。でも覚悟が必要。

D車をどこに止め、どこから歩き始めるか?
  現地で決めることが多いが、田舎道といっても車上狙いに注意すること。
 特に北島のムルパラ、ロトルア周辺は気よつける。(経験済み)

E鍵の掛かったゲートがあるか?
  これがけっこう厄介。目的の川を目指し車を走らせていると、
 道をふさぐように突然ゲートが現れ鍵が掛かっていて川にたどり着けない。
 なんてことがある。牧場の中の砂利道に多く、
 鍵の掛かったゲートまでは地図に載っていないので、
 地元のインフォメーションセンターで聞くか、近くに住む民家に聞くしかない。
 けっこうめんどくさいので、行く前に必ずチェックする。

F地主の許可を取る必要があるか?
  地元のインフォメーションセンターで目的の川を釣るのに許可がいるかを聞く。
 必要な場合には、電話番号と住所をきいてあらかじめ断っておく。
 歩いて釣りに入る場合いはたいてい問題はないが、
 場所によっては断られるところや、お金を取るところもあるので注意したい。

G天気予報はどうか?
  3〜4日先の天気はどうか?
 地元のインフォメーションセンターに行けば張り出してある。
 または、スタンドなどで新聞を購入してチェックできる。
 山に入ったら自分の身は自分で守るしかない。洪水、崖崩れ、テント浸水、風、
 常に予測しないと恐ろしい。テントをはる場所は特に注意する。
 快適な山ごもりのために、天気予報は必ずチェックする。

おまけ
ヘリコプターでしか行けない釣り場でも、
5万分の1地図をみると、トレッキングコースがあったり、Hutがったり、
以外に近かったりする。
かの有名なラフリバーもルートさえわかれば、
3時間歩けばすばらしい区間に入ることができる。
問題はそこまでする体力と時間があるかということになる。
ひたすら歩くといっても、ニュージーランドはトラッキングでも有名のように、
歩く楽しさもあり、変化に富んだ自然を見ることができる。
自分で川を見つけ、地図や本を読んでイメージを膨らませ、
釣り場までリュックを担いで歩き、自分の目で魚を見つけ、
自分の巻いたフライに大きなマスの口を開かせる。
そして苦労して運んだ食料とワインで、焚き火と星の屋根に囲まれて、
日本から遠くはなれた山奥の森で静かに乾杯する。
最高の満足感と、究極のおもしろさがある。
あーNZ最高。

02年2月10日Fox Glacierより


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