蚊地獄
昨日の夜はひどかった。
何がひどいかって、
蚊。
オクルーリバー(Okuru River)からの帰り、
明日釣りするハースト(Haast)の近くの 、
トーマスリバー(Thomas River)の入り口に車を止めた。
夕方暗くなるまではサンドフライ(ブヨ)の襲撃。
これはいつものことで、まあまあ。
それでも暑苦しい夜に、車内生活はドアを開けることができず、
エアコンを入れても壊れていて効かず、
どうにもならず何とか夕食を食べ終えた。
暗くなってサンドフライの活動時間も終わり、
やっとドアを開けられると思うと、
今度は蚊の猛攻。
これがまたすごい食欲。
大群になって押寄せてくる。
それでも何とか寝る支度を終える。
寝るまでの間本を読んでいると、どこからか蚊が入ってくる。
寝る前にすべての蚊をつぶし、
寝袋にもぐる。
それでもたまに耳元で[プーン」という羽音が気になる。
それでも歩き疲れた体は、吸い込まれるように眠りについた。
そして事件は夜中に起こった。
浅い眠りでうとうとしていると、自分の寝ている車の中が、
「ゴーッ」というすごい音が渦巻いている。
寝ぼけ頭で「この音はなんだ?」と考えると、
まぎれもない、蚊の大群が飛ぶ音だった。
1匹なら「プーン」だけど、それが大群になると「ゴーッ」になるわけだ。
20や30匹という量ではない。
こうなってしまっては、すべての蚊と戦う気力はなく、
早く朝になってくれることだけを祈って、寝袋に潜り込むしかない。
だけどこんな夜に限って、蒸し暑く寝袋は暑い。
何とか眠りについたと思うと、
汗だくになって目が覚め、
外はまだ暗い。
まさに地獄。
それでも朝はやってきて、
明るくなった車の天井を見ると、
「なんじゃこりゃ!!!」
とばかりに蚊がビッチリとまっている。
その数は
ざっと数えても100を超えている。
恐るべし。
あの「ゴーッ」という音も、この蚊の量からは想像できる。
ほとんどの蚊は腹ペコのままだったけど、中には赤く膨れた蚊もいた。
どこを刺されたのかわからず、とにかく無事でいることに安心した。
まさに悪夢から覚めた朝だった。
蚊はおとなしくなったものの、
サンドフライのお食事時間でもちろん食欲旺盛。
車の天井にとまった蚊蚊蚊・・・
これが南島ウエストコースで、シダやコケの美しい森には、
必ずといっていいほどお腹を空かせたサンドフライがいて、
湿地の多い場所では、蚊がサンドフライとバトンタッチでやってくる。
それでも美しい森があり、澄んだ川があり、
大きな魚がいるウエストコーストは魅力的に私を引き付ける。
でもあの悪夢はもういらない。
02年1月23日Wanakaより
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