ニュージーランドの酪農家
こんな雄牛をよく見かける 絵:拓志
ニュージーランドの酪農家は日本やアメリカとはちょっと違う。
日本の酪農家は1日2回の乳搾りが、一年中休みなく続けられる。
だからどうしても休みの取れない仕事になってしまう。
ミルクを出す牛は、一年中ミルクを出すわけではなく、
子牛を産むとミルクを出す。
だから1年に1度は必ず子牛を産む。
子牛を産む前の3ヶ月はミルクをストップし、その間牛は乳搾りを忘れて草を食む。
これを計算して1年中ミルクを生産できるように、数十頭牛をやりくりする。
これが日本やアメリカの酪農だ。
さらに牛の体をできるだけ大きく改良し、牛舎の中に鎖で繋ぎ高カロリーの餌をたっぷり与える。
餌やり糞の始末、種付け、子牛の世話、搾乳・・・と毎日が大変な仕事だ。
これがニュージーランドだと大きく違う。
ニュージーの牛は広い牧場に放牧され、自分で草を食み一日を外で過ごす。
搾乳の時間になると乳が張るので自分から牛舎に戻ってくる。
毎日同じ時間に搾られるので、牛も学習する。
搾乳が終わると再び草を求めて牧場にでてゆく。
広い土地と一年中生える牧草のおかげで、餌やりの手間は減り、糞を始末する必要はない。
さらに自由に歩き回っているせいで、肥料は自然にまき散らされ、
ストレスはなく病気に掛かりにくいと言う。
牧場を歩き回るため、足と畑に負担が掛からない用に、
牛は小さくてたくさんミルクを出すように改良されている。
さらに面白いのが、ニュージーのミルク工場は、
毎年3ヶ月間ストップしてしまうのである。
だからそれに合わせて酪農家は種付けをする。
つまり一度にすべての牛の種付けをし、一度に子供が産まれミルクを出し、止める。
休みのない酪農家なのに、ニュージーの酪農家には3ヶ月の休みがある。
「それじゃあその3ヶ月間ニュージーのミルクが無くなってしまうの?」ということになるけど、
その辺はうまく地域によって時期が違っていたり、日本のような酪農地帯があるらしい。
気候風土や土地柄からそんな酪農形式になったんだと思うけど、
牛にとっても酪農家にとってものんびりとした生活をしていた。
そう考えると、あんなにチーズが美味しいわけもうなずける。
01年12月13日オテマタタより
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