アボガ丼
ニュージーランドで知って、重宝した料理といえば、アボガ丼がある。
アボガ丼とはアボガドのドンブリ(丼)のこと。
アボガドは「マグロのトロの味だ」とか、
「ワサビ醤油で食べる」とか、話には聞いていたけど、
私の家では食卓に上らなかった。
「所詮は外国産の果物だ」ともみくびっていた。
これがニュージーランドで、大ブレイクした。
限られた調理道具(焚き火とガス、フライパンかナベ)で、
マンネリ化してきた料理に、何かないかと考えてるときに、
友人がアボガドを教えてくれた。
初めのうちは、「果物に醤油?」と偏見を持っていたけど、
言われるままに試してみたら、びっくりした。
このびっくりは、ニュージーランドだったからなおさらだったのかもしれない。
というのは、日本の味に飢えていて、米はあるものの、
米にあった和風の味がなく、アボガドに醤油はまさに日本の味だった。
日本産でもないのに、とても日本が恋しくなった。
そして、アボガ丼と広兄が命名した。
その作り方は、とても簡単。
まずアボガドの表面が黒くなって、触った感じが柔らかいアボガドを選ぶ。
(緑のアボガドは時間がたつと、柔らかくなり表面が黒色に変わる)。
手で皮をむき、大きな種を取り除き、グチャグチャと潰し、醤油と混ぜる。
熱いご飯に海苔をちらし、アボガドをのせて出来上がり。
料理とは言えない料理だけど、このアボガ丼には何度も日本を思い出させてもらった。
ちなみにニュージーランドでアボガドは一個50円から100円。海苔も醤油も売っている。
日本でも安く売っていることを、日本に戻ってから知り、
友人にアボガドの感動を話してみても、すでに皆知っていた。
あの大ブレイクは、広兄と私のあいだだけだった。
そして、日本の生活に戻った今は、当たり前の日本の味に、
アボガ丼は過去のものとなってしまった。
02年5月27日川崎より
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