Jacobs(Wakawhio) river
ジャコブスワカヒオ)リバー


 
   
          
山岳渓流といった流れのジャコブス


ジャコブスリバーとウナギのたたり

West Costにいい川はないかと、ガイドブックを読んでいると、
Jacobs Riverが良さそうだった。
特に詳しいことは書いてないけど、「excellent」や「釣りのできる区間が長い」、
「キャンプで上流を釣る」などという単語から、行くことにした。
02年2月2日SH6の道が Jacobs Riverを渡る。橋の下流はすぐ海。
上流への道は砂利道があるけど、入り口に鍵がかかったゲートがある。
その横に地主と思われる、農家があったので、そこでこの川を釣る許可をもらった。
ゲートの前の空き地に駐車して、歩いて上流を目指した。
2泊3日の山ごもりだ。
砂利道を川に沿ってだらだらと歩いていると、澄んだ水の中に大きな魚を見つけた。
70cm近くある、いいサイズのいいブラウンだった。
これはチャンスと竿を出した。
1投目でさっさと逃げていってしまった。
フライに反応するどころか、投げ込んだフライに驚いて逃げてしまった。
さらに上流へ歩く。
砂利道を1時間ほど歩くと、瀬、淵がだらだらと続く流れが、
谷が狭まり、大きな石の中を流れる山岳渓流に変わる。
牧場も終わりようやくいい雰囲気になる。
河原を30分ほど歩いて、Kini Creekという支流との合流点まで来た所で、
テントを張ることにした。
シダとコケの森でバナナの腐ったような香りが森の中を漂い、
どこか茂みの中から、ヤリを持った原住民が現れそうな雰囲気だった。
立ち枯れた木をコケが覆い、寄生したランは白い小さな花をつけていた。
可憐な美しさとは異なって、ゲジゲジのような嫌な香りがした。

    

ウナギのたたり

グリーンに澄んだ水、歩きやすい河原。そして魚が多い。
文句なしの川に広兄が珍しくたてつづけに2尾のブラウンをセミフライでキャッチ。
ウキウキ気分で次の魚を探していた。
大きく蛇行して、ゆったりと流れる川で、広兄が大きな魚を見つけた。
黒く長く、クネクネと体をくねらせて泳いでいる。
巨大なブラウンだと思った魚は、ニュージーランド名物巨大ウナギだった。
目が悪く、警戒心の無いウナギは上流から下ってきて、広兄の足元をうろうろしていた。
匂いの無いフライには何の見向きも無く、反応しない。
広兄はセミフライでウナギを引っ掛け始めた。
俺は対岸で見ているだけ。
広兄の竿が大きく曲がり、グイグイと竿が根元から曲がっている。
うまく引っかかったようだ。
体をくねらせバックしたり、グルグルと体をねじって、ラインを体に巻きつけたり、
そのグロテスクな姿に、かなり興奮気味の広兄。
岸に引きずり上げ、ヌルヌルした体を左足で押さえ針を外して、
流れに戻してやると、ゆっくりと石の下に潜っていった。
初めてのウナギにかなり満足そうな広兄だった。
そしてウナギのたたりは、そのすぐ後の事だった。
次の魚を探して河原を歩いていると、石が崩れる音がした。
振り返ると、広兄が河原でこけていた。
思ったとおり、広兄はなんでもなく、手にしていた竿の先が折れていた。
訳を聞くと、左足が滑って転んだという。
その左足は、さっきウナギを押さえつけた足で、靴底にウナギのヌルヌルが残っていた。
ウナギにやられた広兄は、ウナギに謝るどころか、さらに敵対心を燃やしていた。
折れてしまった竿はどうにもならず、
それでも折れた竿でうまいことフライをキャストして、
いいサイズのブラウンをキャッチしていた。
このへんに広兄のプライドがあるらしい。
よくわからないけど、Jacobs Riverは面白かった。

    
              
竿が折れてもフライは飛ぶ

   
            
どこに魚がいるかわかりますか?

Jacobs Riverの流れは上流へ行くと石が大きくなり荒い流れになる。
それでもちょとしたポケットウォーターに魚がいて、ピンポイントで面白い釣りができる。
Jumbo Creekの合流より上下も、いい流れが続いていた。
グリーンがかった水の中にたくさんのブラウンを見つけることができた。
川底の石が滑りやすいので注意。

   
       
石の上に定位したり、ゆっくりとクルージングしていた  

P.S.テントを張ったところで夜グローワーム(ツチボタル)が見れた。
蛍のような青い光で、茂みの中で怪しげに光っていた。
朝起きたら野生のヤギが4,5頭テントの様子をうかがいに来ていた。

02年2月5日 Moeraki(Blue) Riverより

   
       
釣りに満足したら休む、釣りに疲れても休む



      
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