日高山脈の実力
〜言葉では表現できない世界へ〜


日高山脈南部、この湖は流れ込みも流れ出しもない、山の上に浮かぶ不思議な湖。

湖畔にはナキウサギが棲み、湖周りの湿地にはシナノキやカツラの巨木が生え、山すそにはトドマツ、エゾマツの針葉樹の森が広がる。ちいさな湖は山を映し、濃いブルーへと美しく色を変える。遠くで「ケーン・ケーン」とクマゲラの声が響き、「アーオ、オアーオ」と不思議に森から聞こえるのはアオバトのさえずりである。

海岸からひたすら車を走らせ山道を登り、車を止めて200メートほど歩くとこの神秘の湖に着く。ここには太古のままの森が残り、下界とは隔離された生き物の姿があった。目の前にこの湖が広がったとき、いままで気がつかなかった自分に気づき、そしてこの湖の美しさにただただ立ち尽くし、体全身で受け入れようとするだけだった。

そんな、ロマンチックすぎる湖がここ北海道にはあり、自分の足で踏み入ることができるのである。



この神秘な湖はレッドデータブックに記載され、絶滅が心配されているニホンザリガ生息している。しかも、驚くほどの密度で湖畔の石がごろごろしている周辺では簡単に見つけることができる。ニホンザリガニは日本在来のザリガニで、大きさは7センチほどと小さいが、その体つきはがっちりとたくましく、外国産のザリガニにはかなわない美しさをもつ。

こんな場所でやらなければいけないこと、それはザリガニ釣りなのである!

もちろんエサは、「アタリメ」さきイカです。適当の長さの木の枝の先に、糸を結びその先に「アタリメ」を結ぶ。そして、ザリガニがいそうな岩の隙間にアタリメを沈める。すぐにザリガニが出てきて、みごとニホンザリガニを釣り上げることができるのである。小さいけどしっかりとしたザリガニの手ごたえ、ザリガニとのやりとり、魚にはないスリリングさがまたたまらない。

雄大な神秘な森に囲まれ、ひとりちじこまって小さくなり、いじけたようにニホンザリガニを釣る。これぞ、北の釣り。北海道だからこそできる釣りなのである。もちろん釣ったニホンザリガニは速やかに湖に逃がしてあげよう。







日高南部の森、なんとなく穏やかさを感じる森だった。山深く、もちろん熊がいる森。

十勝の大雪山系と違って気候が穏やかなのか雪が少ないのか、森の様子が違い、森の空気も違う、どことなく明るい森で、さらっとした空気だった。

そんな森を歩くとなぜか穏やかなゆったりとした気持ちになった。肌にあたる風がどことなく海風で、森の中なの不思議な感じだった。

そんな森の道なき道をふらふらとどこを目指すわけでもなく歩く。今回はチャド(愛犬3歳)も同行。犬も野生に戻るのか、いつもよりりりしく頼もしく見えたチャドだった。


日高山脈の特徴は、海から山が近く、そして清流として有名な川がたくさんあるところです。過去に清流日本一になった歴舟川や札内川もここ日高山脈を水源としています。世界自然遺産になった知床も同じように海から山が近く、そのため生物の種類が多く多様性が豊かなことで有名ですが、この日高山脈も同じように山が近く、さらに山が深いため、山に降った水が地下水となり、伏流水となって澄んだ川を作るのです。川の水がきれいならそれだけ、川をのぼるサケの姿も観察しやすいということです。



もちろん、この魚を捕まえていくら丼を・・・と考えたら、警察行きですが、水はキンキンに冷たいですが、このサケの群れのなかに裸になって飛び込もうという行為は自主責任でできるのが北海道とここ日高の魅力ですね。

この澄んだ水の中で水中眼鏡でサケと一緒に泳いだら、一生忘れられない思い出になることでしょう・・・。そういえば、「流氷ダイビング」というのは知床でやっていますが、ここなら「シロザケダイビング」ができるかもしれませんね。


2007年9月8日

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