糠平湖のモンスターブラウン84cm





2004年9月22日
小雨が降る中、タウシュベツ川横に車を止め、ボートを出す。
少し沖にでると、水面を10センチほどの魚の群れが見える。ワカサギだろうか、小魚を追う大きな魚が近くにいても良さそうだ。竿を振る手に力が入った。

そう思ってもそう簡単に釣れるわけもなく、やる気はいつの間に消えうせて、広い湖をボートでさまよった。湖畔のヤマブドウは赤く色づき始め、ひんやりとした風が冬のおとづれを感じさせる。流れ込み周辺に見える大きな魚の影は、よく太った鯉の群れで、フライを投げてもまったく反応しない。しばらくして竿に伝わった手ごたえは、丸々と太ったウグイ。そして、15センチほどのニジマスだった。

のんびりと風に流されながら、竿を振り続けると、「ガツン」と竿が曲がった。一瞬根がかりかと思った。「グワッ」引き込まれた。根がかりじゃない、魚だ。しかも大きそうだ。

その瞬間、ギラッと水中でもがく魚の姿が見えた。
体の芯に、衝撃が走った。足がガクガクと震え、ボートの周りに波紋が広がった。

こんな震えは久しぶりだった。かつてみたことがないくらい、大きな魚体に自分の目を何度も疑った。80センチを越す巨体は、まな板のように太く、茶色い体にちりばめられた黒点は、まさしくブラウントラウトの巨体だった。

20分ほど経過し、その巨体を手にすることができた。
それまで張り詰めていた空気は、一気に脱力感に変わった。

シワのよた大きな尾びれ、分厚くしゃくれた口先はまるでイルカのようだ。幅広の体高、文句なしのコンディションのブラウンだった。感動の魚だった。


データ
フライフィッシング ライン:シンキングタイプV
ティペット3x  フライ ビーズヘッドウーリーバガ−(オリーブ)


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