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◇◆◇ 離婚判例集 ◇◆◇

【最高裁判所】

●精神病を原因とする離婚請求(最判昭和33年7月25日)

 精神分裂病で入院し、治癒の見込みのない配偶者に対する離婚請求
  ⇒民法770条1項4号を原因とする離婚の場合、単に夫婦の一方が不治の精神
    病にかかったという一事をもって、直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと
    解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の
    今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度にお
    いて、前途に、その方途の見込みのついた上でなければ、ただちに婚姻関係
    を廃絶することは不相当である。

●別居後の配偶者以外との同棲(最判昭和46年5月21日)

 別居後の同棲が婚姻関係を破綻させる原因となるか
  ⇒婚姻関係が完全に破綻した後において、配偶者以外の者と同棲し、夫婦同様
    に生活を送っていることは、婚姻関係を破綻させる原因となるものではない。

●有責配偶者の離婚請求(最判昭和62年9月2日)

 離婚原因を作った側からの離婚請求の認否
  ⇒有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦の別居が両当事者の年齢及
    び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が
    存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極
    めて苛酷な状態におかれる等、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反
    するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者
    からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない。

●過去の婚姻費用分担請求(最判昭和53年11月14日)

 離婚訴訟における過去の婚姻費用分担請求の可否
  ⇒離婚訴訟において裁判所が財産分与の額及び方法を定めるについては、当事
    者双方の一切の事情を考慮すべきものであり、婚姻継続中における過去の婚
    姻費用の分担の態様は、この事情のひとつにほかならないから、当事者の一
    方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額
    及び方法を定めることができる。

●婚姻費用分担請求額(最決平成18年4月26日)

 住宅ローンを負担している場合の婚姻費用分担請求額の算定
  ⇒住宅ローンは、ローン負担者の負債の返済であり、またローン負担者の資産
    の維持のための出費であるから、ローン負担額を特別経費として控除する
    ことなく、算定表より婚姻費用分担額を算定するのが相当である。

●子から不倫相手への慰謝料請求(最判昭和54年3月30日)

 不倫相手はその相手の未成年の子に対して不法行為責任を負うか
  ⇒未成年の子が日常生活において不倫した親から愛情を注がれ、その監護、教
    育を受けることができなくなったとしても、不倫相手が害意をもって監護等を
    積極的に阻止するなど特段の事情のない限り、不倫相手の行為はその相手の
    未成年の子に対して不法行為を構成するものではない。

●別居夫婦の子の引渡請求(最判平成5年10月19日)

 別居している一方の配偶者に対する子の引渡請求の判断
  ⇒夫婦の一方が他方に対し、人身保護法に基づき、共同親権に服する子の引渡
    しを請求した場合には、夫婦のいずれに監護させるのが子の福祉に適するか
    を主眼として子に対する拘束状態の当不当を定め、その請求の許否を決すべ
    きである。拘束者による子の監護が権限なしにされていることが顕著であると
    いうには、子が拘束者の監護下に置かれるよりも、現在の監護者に監護される
    ことが子の幸福に適することが明白であること、言い換えれば、拘束者が子を
    監護することが子の福祉に反することが明白であることを要する。
    夫婦がその間の子に対して共同親権を行使している場合には、夫婦の一方に
    よる子の監護は、親権に基づくものとして、特段の事情がない限り適法である
    から、監護・拘束に顕著な違法性があるというためには、監護が子の幸福に反
    することが明白であることを要する。

●破産した場合の財産分与請求権(最判平成2年9月27日)

 財産分与義務者が破産した場合に権利者は財産を取得できるか
  ⇒離婚における財産分与として金銭の支払いを命ずる裁判が確定し、その後に
    分与者が破産した場合において、財産分与金の支払いを目的とする債権は
    破産債権であって、分与の相手方は、債権の履行を取戻権の行使として破産
    管財人に請求することはできない。

●冷凍保存精子による子からの認知(最判平成18年9月4日)

 死亡した者の冷凍保存精子により出生した子からの死後認知の可否
  ⇒死後懐胎子については、その父は懐胎前に死亡しているため、親権に関して
    は、父が死後懐胎子の親権者になり得る余地はなく、相続に関しても、死後懐
    胎子は父の相続人になり得ないものである。また父との関係で代襲相続人にも
    なり得ない。本件は、立法によって解決されるべき問題であって、死後懐胎子と
    死亡した父との間の法律上の親子関係の形成は認められない。

●代理母が出産した子の親子関係(最判平成19年3月23日)

 精子と卵子を提供して代理母が出産した子の親子関係の判断
  ⇒現時点で本件に該当する法律は存在しないため、たとえ精子と卵子を提供した
    者が他にいたとしても、代理母が、出生した子の母と解さざるを得ない。
   line
【高等裁判所】

●婚姻費用分担請求額(東京高決定平成15年12月26日)

 無収入の妻についての基礎収入の推定
  ⇒妻は現時点では働いていないものの、働く能力は十分にあると認められるか
    ら、同年齢のパート収入程度の年収(年間約128万円)が得られるものと推定
    した上で、算定表にあてはめて算定するのが相当である。

●将来の退職金の財産分与(東京高決定平成10年3月13日)

 7年後に支払われる退職金を財産分与する義務はあるか
  ⇒将来支給を受ける退職金であっても、その支給を受ける高度の蓋然性が認め
    られるときには、これを財産分与の対象とすることができ、退職金の支給時に
    支払うべきものとする。ただし、退職金について財産分与権利者の寄与率を
    4割とするのが相当である。

●将来の退職金の財産分与(名古屋高判平成12年12月20日)

 8年後に支払われる退職金を財産分与する義務はあるか
  ⇒将来定年により受給する退職手当額は、今後8年余り勤務することを前提とし
    て初めて受給できるものである上、退職手当を受給できない場合もあり、また、
    退職手当を受給できる場合でも、退職の事由のいかんによって受給できる退
    職手当の額に相当大きな差異があるため、現在の時点において、その存否及
    び内容が確定しているものとは到底言い難いのであるから、このような将来の
    勤務を前提にし、しかも、その存否及び内容も不確定な定年時の退職手当受
    給額を、現存する積極財産として、財産分与算定の基礎財産とすることはでき
    ない。
    よって、現在自己都合により退職したときに受給できる退職手当額のうち、婚
    姻期間に対応する額をもって、財産分与額とするのが相当である。なお、退職
    手当金の財産分与は、退職手当金の支給時に支払うべきものとする。

●配偶者のうつ病による離婚(名古屋高判平成20年4月8日)

 配偶者のうつ病と別居3年での離婚の成否
  ⇒配偶者のうつ病が治癒し、またはうつ病についての理解が深まれば、婚姻関係
    は改善することが期待でき、現時点では、いまだ婚姻関係が破綻しているとま
    では言えない。

●婚姻費用における負債の取扱(東京高決平成8年12月20日)

 婚姻費用の算定において負債は特別経費となるか
  ⇒カードローンやサラ金の返済金が、婚姻費用に先んじて支払うべきことが相当
    な負債であると認めるに足りず、これを特別経費とすることはできない。よっ
    て、負債の返済を理由に婚姻費用の分担義務を免れることはできない。
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