1.舞妓さんの始まり
  

舞妓さんの始まりは、今から遡ること、約三百年前、当時水茶屋で働いていた「茶汲女」や「茶点女」が始まりだと言われております。
最初は参詣人にお茶をふるまう程度だった水茶屋も、やがてお茶がお酒になり茶汲女や茶点女が歌を聞かせ舞を見せるようになり永い年月を経て現在の舞妓、芸妓になったと言われております。
基本的に、舞妓は、芸の修練期間が浅いため「立方(たちがた)」を担当し、芸妓は、「地方(じがた)」を担当します。「立方」とは、舞を舞う方を指し、「地方」は歌を歌ったり三味線を弾いたりする方を指します。また、修練期間の浅い妓を関西では舞妓と呼んでいますが、関東では、半玉(はんぎょく)と呼ばれています。

現在、京都には、上七軒、祇園東、先斗町、祇園甲部、宮川町、嶋原の六つの花街がありますが、舞妓さんがいる花街は最初の五花街で、嶋原の花街には、太夫(たゆう)さんがおります。


2.舞妓さん・芸妓さん
  
舞妓さんは、旅行のパンフレットや絵葉書などで知っている方は多いのですが、「舞妓さんと芸妓さんの違いは?」と聞かれると考えてしまう人も、多いのではないでしょか。
基本的に芸妓さんになる前の修練期間(5〜6年)を一般的に「舞妓さん」と呼び、この期間に、一通りの舞や三味線、おはやしなどを勉強します。よって、いきなり芸妓さんになることは出来ません。また、舞妓になる前の半年〜1年間を「仕込みさん」と呼び、この期間に芸事の稽古、京言葉や行儀作法などの基本的な事を学びます。

現在、京都には約300人の舞妓さん、芸妓さんがいると言われていますがこの数は年々減っているそうです。
3.芸妓さんになるまで

芸妓さんになる為には、前章で説明した通りの期間がありますがここでもう少し勉強しましょう。

まず、舞妓さんになる為には、それぞれの置屋さんに入り「仕込みさん」という期間を過ごします。この期間は、前章の通り半年〜1年程度、舞妓になるための基本的な事柄をしっかり学びます。(芸事の稽古、京言葉や行儀作法など)ある程度、芸事や作法が身に付くと、今後引いてくれる(指導してくれる)お姉さんが決まり、「見習いさん」としてお姉さんと一緒にお座敷に出られるようになります。この時期にお座敷での作法や、お客さんの接待の仕方などを学ぶ訳です。その後「店出し」と言うお披露目をして正式に「舞妓さん」としてデビューします。(見習いさんの間は、帯は「半だら」にして髪は、若い舞妓の「割れしのぶ」に結い、見習い用のかんざしをつけます。)店出しをすると帯は「半だら」から「だらり」の帯に変わりますが髪形は、最初の数年は、「割れしのぶ」で、紅も下唇しかぬりません。また半衿も赤い衿をします。

晴れて舞妓さんになると、今度は他の舞妓さんと一緒に舞や三味線、おはやしなどのお勉強をします。この時期の舞妓さんの一日はというと花街によって多少違いはありますが、午前はお稽古事を行い午後は少し休みを頂いて夕方からお座敷に出る支度を行い各々のお座敷へ向かいます。

舞妓さんも2〜3年を過ぎると「髷(わげ)かえ」といって髪形が「割れしのぶ」から「ふく髷(おふく)」に変わります。また半衿も華やかな赤い衿から白の半衿へと変わりかんざしなども芸妓さんぽくなってきます。この儀式も昔は、ある特定の旦那が付いた時に行っていたそうですが最近では、適当な年齢を向かえた時に行っているそうです。

長い修練期間も終わりに近づくと髪形も「ふく髷」から「先笄」に変わりそれから数日後、襟替えのお披露目をし、晴れて芸妓さんとなるのです。(舞妓さんは、自分の髪で結い上げますが、芸妓さんは、かつらをかぶります)

この「先笄」という髪形は、舞妓から芸妓にかわる数日間(1週間〜10日)の間しか結うことがなく、また自分の髪で結い上げる舞妓時代最後の髪形なので舞妓さんにとっては思い出深い髪形ともいえるでしょう。
4.舞妓さんの様装

「だらりの帯」
舞妓さんと聞いて連想する物の一つに、小唄にも歌われている「だらりの帯」があります。この帯は普通の帯より少し長く、舞妓さん特有の帯とも言えまが、この帯を絞めるには大変な力を必要とする為、昔から男衆といわれる男性が着付けを担当します。ちなみにだらりの帯は丸帯の一種で普通の帯より長さや幅が広く、舞妓さんの帯には各々、所属の置屋さんの印が織り込まれています。

「舞妓さんの髷」
髪形は、舞妓の場合、自分の髪で結い上げますが、種類もたくさんあり、普段よく見かける髷には、「割れしのぶ」や「ふく髷(おふく)」がありますが、これ以外にも祇園祭の時に結う「勝山」や、正月や八朔の時に結う「奴島田」、年長の舞妓が最後に結う「先笄」があります。

「かんざし」
かんざしは、月によってさまざまで、二月は「梅」、四月は「桜」、十月は「菊」といった感じに四季おりおりの花をあしらっています。ちなみに、めずらしいかんざしとして「稲穂」のかんざしがありますが、これは、年初めや「花街の始業式」などにつけます。

5.お茶屋さん

「お茶屋と料理屋」
祇園と言えば「舞妓さん」、でもちょっと通な方なら「お茶屋さん」という言葉が思い浮かぶのではないでしょうか。
でも「お茶屋さん」とは、いったいどんな所なのでしょう?
古風な感じの「料亭」?それとも「料理屋」?実はどちらでもないのです。
普通、「料亭」や「料理屋」は、調理場で料理してお客さんに出すのに対し、お茶屋は、決してその場で料理したり裁いたりはしません。お茶屋さんで出てくる料理は、全て仕出しや出前なのです。簡単に言ったら「お座敷を貸してくれるお店」と言った所でしょうか。


「一見さんおことわり」
現在、祇園には約100軒近くのお茶屋さんがありますが、どこのお茶屋さんも「一見さんお断り!」、いくら偉くてお金があっても紹介してくれる人がいない限り、決して中へ入ることはできません。ほとんどの場合、いくらお客さんの少ない時でも「一見さんは、おことわりしてます」とか「あいにく、お座敷は、空いておりません」と断わられます。端から見ると愛想がないなと思うかも知れませんが、それが常連さんを大事におもてなしすると言う祇園の伝統としきたりなのです。
では、どうしたらお茶屋さんに上がれるのでしょう?
一見さんでお茶屋に上がるには、常連さんに連れていってもらうか紹介をしてもらえば良いのですが、実際の所、そういう機会は、なかなか無いものです。

6.さて、どこに行けば舞妓さんに会えるのでしょう?

舞妓さんの一日は、午前はお稽古、午後はお休みをいただいて、夕方から各々のお座敷へ向かうのですが、もし見かけるとしたらお座敷が始まる夕方から夜にかけての時間帯でしょうね。
たまに色々な所で京舞を上演したりしているのですが、これも毎日やっているとは限らないしどこで上演しているのかわからないので事前に旅行案内などで調べる必要があります。また、一見さんでも、舞妓さんを呼んでお座敷遊びが出来るお店も有りますがそれなりにお金もかかります。
お手ごろな値段で舞妓さんの舞を鑑賞したいのであれば「都をどり」「祇園をどり」「京をどり」「北野をどり」「鴨川をどり」などががお進めではないでしょうか。前記のをどりは毎年時期や場所が決まっているので、観光の予定などが立てやすいと思います。また、祇園の歌舞練場のとなりにあるギオンコーナーでも12月と1月を除いた毎晩、古典芸能の上演を行っています。

とりあえず今回はここまで..

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