1階のリビング奥の和室を洋室にリフォームすることにしました。以前より床の間や書院造りの棚などが邪魔でスペース効率が悪いなぁと思っていました。更に繁忙期は奥の和室も使って食事をお出しするのですが、洋室の板の間と和室の畳との段差も気になっていたのです。今回工事に踏み切ったのは、薪ストーブの排気に使っていた集合煙突が老朽化によりひびが入ってきて、そこからタールが染み出してきました。屋根裏などであまりひびが大きくなってくると、煙突内火災(煙突内に固着したタールが煙突内の排気温度が高くなりすぎた時に火が点いて煙突内で炎が燃える)が起きた場合、そのひびから炎が出てきて屋根裏から燃え広がり火事になると言う事があるのです(某宿はこれで全焼したそうです)まだそこまでのひびではないのですが、タールが染み出てくるのも困るし思い切って煙突を造りかえることにしたのです。今までは薪ストーブから集合煙突までの間に横引きの部分があったので煙突に煤がたまりやすかったので、今回はストーブから真上に煙突を立ち上げる事にしました。設置場所をどこにするかにあたり、以前から冬場に奥の和室が寒かったので(暖かい空気が階段を伝わって2階へと上がってしまい、なかなか奥の和室まで熱気が行かない)今回は奥の和室の書院造のある場所あたりに設置する事にしました。こうすることで1階奥の方が暖まってから階段を伝わり暖かい空気が2階へと上がるので家全体を暖めやすくなると思ったのです。煙突を新たに設置するなら天井や屋根に穴を開けないといけないし、書院造の棚や床の間も撤去しないといけません。それならストーブ移動に伴う煙突設置工事、和室→洋室のリフォームをこの際いっぺんにやってしまおうと言う事になったのです。さらに煙突を出す場所が新たに製作中の間のデッキ屋根と本館屋根の接合部あたりになるので、途中からはストーブ設置場所の採寸も含めて別項でご紹介しているデッキ屋根製作3と同時進行となったのです。
 まずは1階リビングの洋室部分と和室部分とを仮の壁で仕切ります。部分写真左側に見える石膏ボードで塞いだ壁のこちら側で作業する事になります。   洋室部分は生活スペースや宿の食堂兼談話室として普段どおり使用しながらの作業となります。写真正面の白っぽい壁が仮の仕切り壁です。その向こう側で改築工事をする事になります。 まずは解体作業です。畳を剥して、書院造の棚や仕切り壁を撤去します。床の間の部分が一段高くなっているのでその部分の床を剥します。
  写真右上に見えるのが別項(デッキ屋根3)で紹介している煙突囲いです。これは小屋裏の梁に固定しているのですが、結構な重さがあるので補強の為に梁の下に柱を追加します。まず写真中央の壁を切り取った部分に入っていた間柱を撤去します。  間柱と入れ替える形で三寸五部の柱を入れます。  床の間だった部分を床が他の場所と同じ高さになるように垂木を入れます。ここは薪ストーブを置く場所なので、レンガを敷き詰める為に周りより低くなっています。
 薪ストーブとその下に引くレンガとをあわせると150キロを超える重さになるので、この部分の床下は頑丈に造ります。大引きと土台に渡すように半柱(105X52.5)を三本固定します。ここは床下部分に面するので防虫防腐剤を塗っておきます。  他の床部分と同じく大引きの間にスタイロフォームを25mm入れ、その上にグラスウールを100mm入れるので、その支えのために角材を渡します。ここはたいした荷重はかからないので細い角材で十分です。  畳を剥した下は、大引きの上に垂木がのせてあり、その上に床板が引いてあるのですが、大引きの高さと同じ高さに断熱材が収まっているので、垂木の高さの分だけ空間があります。その部分にグラスウールを入れるために床板を剥します。
 写真だとピンボケでわかり辛いのですが、垂木を大引きに固定している釘が浮いてしまっています。これは乾燥により垂木がやせた為と。上を歩く振動などで釘が緩んできたためと思われます。  そのままでは床のきしみ音の原因となりかねないので、釘を打ち込んで、さらにコーススレッドを締めこんでいきます。同じような箇所が何箇所かあったので、全て補修しておきました。  この様に床垂木の間に50mmのグラスウールを入れていきます。
 床板を張り終えたら、その上に垂木を固定します。これはもともと畳が敷いてあったのですが、その畳を撤去して床板を張り、その上にパンチカーペットを敷く予定なので床の高さを畳の時とおなじ高さにする為です。写真手前の垂木が横に走っている部分は洋室にするので、和室部分(45mm)より垂木の高さを低くします(30mm)。  そして垂木の間にスタイロフォームを入れていきます。これでもともとスタイロフォーム25mm+グラスウール100mmだったところに、グラスウール50mmとスタイロフォーム45mmの断熱材がプラスされることで断熱効果をより高める事が出来ます。  その上からすきま風防止のビニールを張ります。どういうわけか今まではこのビニールが張られていなくて、畳と畳の隙間から冷気が入ってきて暖房効率を低下させてしまっていました。
 ビニールを張り終えると、その上から構造用合板を張っていきます。今回はウレタンコートコンパネを使用しました。これは今回はこの上からパンチカーペットなどを張る予定なので、表面が滑らか方が両面テープの付がいいと思ったからです。  床を張り終えると天井を解体していきます。これは基本は床、壁、天井と張っていくのですが、今回は和室の芯壁は剥さずに、その上に断熱材と壁を張るからです。別項(お手洗い、洗面所増築)参照下さい。これがリフォームでいちばん嫌な作業です。ホコリやねずみの糞が落っこちてくるし、何よりグラスウールの細かいガラス繊維が舞い上がり襟元や袖口がちくちくします。  天井板を剥し終えると屋根の梁など構造体がよくわかります。
 壁は芯壁の上からスタイロフォームを入れて防湿ビニールを張ります。この辺の施工は別項(お手洗い、洗面所増築)参照下さい。 その上に石膏ボードを張ります。  和室の書院造横の仏壇部分の柱は表面がでこぼこの飾り柱でしたこのでこぼこが仕切り壁を張るのに邪魔なので切り取る事にしました。
 柱を抜き取ってから切り取るわけにも行かず。そのまま立てた状態で丸鋸で105mm角に切り落とします。  そして壁との間に間柱を立ててドウブチを付けていきます。  その上から石膏ボードを張ります。この部分は室内の仕切り壁なので、断熱材やビニールは張りません。写真の仕切り壁の左側に薪ストーブが。右側に備え付けのタンスがきます。
 天井を剥しているうちに奥の和室の電灯の位置を変えます。これは6畳+押入れだった和室の一部を、お手洗いと洗面所にしたので(別項、「お手洗い、洗面所増築」参照)もともと部屋の真ん中にあった電灯が部屋が小さくなったことによって中心からずれてしまっていました。  写真右の天井垂木に穴を開けてコードを通している部分が新しく電灯を移動させる場所です。垂木に電灯の荷重がかかる為、垂木を梁から吊るように補強しました。  ご覧の様に電灯が部屋の真ん中に来ました。
 屋根裏に上って驚いたのですが。写真右に見える小屋柄から左に、まだ小屋梁が900mmほど出ているにもかかわらず、その間に柄がないのです。  こちら側も同じです。どうもこの家を建てた大工はいい加減です。はっきりいって見えないところだからと手抜き工事をしているのが見え見えです。後に柄を追加して補強しておきました。  壁を張り終えたら、天井の下地を作っていきます。まず、壁に小垂木(45X30)を水平気などを使いつつ、水平に同じ高さになるように固定します。
 壁のない隣の和室との境界はこの様に梁から垂木で吊下げます。  四辺に小垂木を張り巡らせたら、その小垂木を結ぶように垂木を格子状に組んでいきます。写真は煙突が抜ける分なので、煙突囲いの筒と内寸が同じになるように垂木を組んで行きます。  端から端までは3.6m近くあるので、垂木を両端で固定しただけでは強度不足でたわんでしまいます。そこで数箇所梁から吊下げるようにして固定します。
 構造をどうするかで凄く悩んだのがここです。奥の和室の天井との?ぎ目をどうするかです。和室の天井が台輪を壁に固定してから、その上に天井板を貼り付ける構造になっているので台輪を外す事が出来ません。天井の高さはほぼ同じなの、そのままだと台輪だけが出っ張ってしまいます。  そこでこのような構造にしました。台輪の厚みに合わせて両天井の繫ぎ目部分を下に出っ張らせました。梁が出っ張っている様な感じにしたのです。  写真右側の垂木に天井を張ることになります。天井よりも少し出っ張る感じですね。
 こんな感じに垂木を碁盤の目状に固定します。手前側の開口部が他より大きいのはこの部分からグラスウールを入れるためです。グラスウールを入れてから最後に開口部の真ん中に垂木を渡します。  グラスウールを入れる前に配線工事もやってしまいます。これは薪ストーブの上に付けるサーキュレーターの電源です。  こちらは将来的に薪ストーブ横の壁に間接照明を付けたいと思っているのでそのための電源です。丁度うまいぐあいに床の間の証明の配線とそのスイッチがあったので利用しました。
 リビング奥の和室部分の天井裏に、もともとあったグラスウールの上からリビング和室部分の天井を解体したときに出たグラスウールを入れます。これで通常グラスウールが100mmのところ、200mmになって断熱効果が上がります。  新しく作り直したリビングの天井には新しいグラスウールを入れます。グラスウールは圧縮した状態で丸まられているので、封を解くと押し込められていたのが膨らもうとする力でゴロゴロ転がってまっすぐに伸びてしまいます。いっぺんに全部伸びてしまったら凄い長さになって作業が恐ろしくやりづらいので、写真のように転がらないようにして、切り取る長さだけ伸ばす様にします。  こちらもご覧の様に100mmのグラスウールを二枚重ねにします。
 グラスウールを全部入れ終えたら、すきま風防止のビニールを張ります。天井に下側からビニールを張るのはなかなか大変です。  煙突の開口部やコンセントの穴を開けてから石膏ボードを張ります。  壁と天井の石膏ボードにはペンキを塗りました。この方法がいちばん安上がりでなおかつそれなりに綺麗な白壁に仕上がるのです。
 床面から900mmの高さまでは腰壁を張ります。今回は落葉松の板を張りました。落葉松はちょっと赤みがかった色で暖かい感じがします。  ストーブを置く周りは腰壁は張りません。薪ストーブの周りは凄く高温になるので、近くに木材があると低温火災を引き起こしてしまうのです。難燃素材である石膏ボードを張っていても、その裏側にある木材が熱で炭化して火災になる事があります。そこで通気層を作る為石膏ボードの上に心材としてスチール軽天バーを取り付けます。  その上から耐熱塗料で塗装し対価ボードを張ります。対価ボードと石膏ボードの間は軽天バーの厚み分(30mm)通気層ができるので、石膏ボードの裏の木材までは熱は届かないのです。床面には耐熱煉瓦を敷き詰めます。
 腰壁を張り終えるとそれらしくなってきました。 こちらは奥の和室部分です。  和室→洋室の工事が完了したので、間の仮の仕切り壁を外し、垂壁を撤去します。
 垂壁がなくなるとすっきりとして部屋が明るくなります。  和室部分にはパンチカーペットをカーペット用の両面テープで貼り付けます。  洋室となったリビングにはタイルカーペット(600mm角の裏面がゴムになっているカーペット)を隙間無く敷き詰めます。タイルカーペットは焦がしてしまったり、汚してしまってもその部分だけ取り替えられるという利点があります。
 薪ストーブ屋さんに煙突工事をしてもらい、ストーブを移動させるとなかなかいい感じではないですか!まるで新築の様♪  ストーブ横のかつて仏壇スペースだったところに備え付けの収納引き出しを造ります。まずは引き出しの側板等を各大きさに切りそろえ、引き出しの底板の為の溝をきっていきます。  専用の機械があればあられ組み(接合する板同士を交互に欠きとり組み合わせる)にするのですが、手作業でノミで加工するととんでもなく時間がかかるので、今回は木工ボンドを付けて、コーススレッドで固定しました。
 この様に引き出しを組んでいきます。この引き出しにはシーツなどを重ねてたくさん入れるので結構な重量になります。そこで側板等は強度のある松の集製材を底板は5.5mのシナベニヤを使いました。  引き出しを設置する部分の間仕切りやレールを固定する柱などを組んでいきます。  引き出しの仕込み(上下左右の隙間等の調整)はなかなか大変です。まずはレールを仮止めします。
 今回は3段スライドレールのボールベアリング仕様を使いました。これはなかなに値が張るのですが、通常のレールだと引き出しの長さ全部を引き出すことは出来ません(全部引き出すとレールが抜けてしまいますよね)レールが3段になっているのでレール長さの100%近く引き出すことが出来るのです。またボールベアリング仕様のレールは高加重対応で、重い引き出しもスムーズに引き出せます。  レールを仮止めしたら、した面からレール中心までの高さを測り、その高さプラス引き出し下の隙間の位置に引き出し側のレールを付けます。最初から全部ビス留めするのではなく、2箇所だけ仮止めして、実際に引き出しを差し込んでスライドさせてみてこすったりしないか確認してから全部のビスを締めて固定します。  3段スライドレールはこの様に引き出しの長さほとんど全部を引き出すことが出来、引き出しの奥の物の出し入れも非常にやりやすくなります。引き出しの前板は腰壁と同じ唐松の板を使いました。
今回の改築費用です。
和室→洋室に使った材料代が、木材、施工ボード、断熱材、落葉松の板等等で約15万円。
引き出し収納の材料が、集製材、ベニヤ板、スライドレール等で約6万円弱。
(スライドレールが1組2400円×8組で2万円近くかかってしまうのです)
薪ストーブ屋さんに支払った代金が約29万円(二重断熱煙突1m一本が3万円もするのです)で、
合計50万円もかかってしまいました。やっぱり煙突工事は高くつきます。でも今回は煙突にちょっとへこみや傷のあるB品を使ったので(屋根裏や屋根の上なので気にならないですよね)これでもだいぶ安く出来たのです。通常なら煙突工事だけで40万円以上かかってもおかしくないのです。