本館と別館の間のウッドデッキに屋根を付けることにしました。ご覧の様に左右で屋根の高さが違うので、まず本館屋根の高さと傾斜にあわせた屋根を別館の屋根に数十センチ被るように作り、本館屋根とデッキ屋根の上に新たに屋根をかぶせる事にしました。つまり三段重ねの屋根になるわけです。これはデッキ別館側の基礎が本館の基礎とは独立しているので、厳冬期に凍上等した場合(別館側だけ持ち上がったりする可能性がある)に接合部などで壊れるのを防ぐ為です。  まずは柱を立てる場所のデッキの2X4材を剥します。別館側は別館軒の横に柱を立てるので、別館の壁からは軒の幅+α開けた所の板を剥します。もともとその位置に柱を立てるつもりで柄石や土台の場所を決めていたので、土台の上に柱が来るようになります。  本館側は別館よりも軒の幅が広くて、軒の横に柱を立てたのでは柱が壁から700mmほど離れた位置に来るので邪魔になります。そこで本館側は柱を壁に貼り付け強度を持たせると共に、別館軒下の高さでいったん屋根梁を渡して、その上に小屋裏を作る事にしました。
 まずはこのように大引きの上に柱を載せてコーススレッド(木ねじ、以下コース)で固定し、壁のモルタルに穴を開けて壁の中の柱とコースで結合します。  その上からもう一枚の2X4材をコースで張り合わせます。このように施工する事で本館の壁側の構造体に力を分散する事でより強度を増す事ができます。  別館側は独立して柱を立てるので(そもそも別館の外壁は板の鎧張なので、壁に柱を張り付けることが出来ない)強度を確保する為に2X4材の3枚張りとします。
この様に柱を立てました。  その柱の上に2X6材の梁を載せていきます。柱と同じように一枚目を壁の中の柱にコースで結合してから二枚目を貼り合わせます。念のため柱とも2X4用の金物で補強しておきます。  別館側の柱は2X8材二枚重ねの大引きの上に立てます。柱自体は2X4材の二枚重ねなので、間を2X4材の厚さ分だけ切込みを入れて、両側から大引きを挟みこむように固定します。
この様に柱を垂直に立てます。  その上に2X6材二枚張りの梁を載せるわけですが、本館側は柱の上の梁に、別館側は先ほど立てた柱の上に載せます。これは本館側は窓や勝手口、壁の中の構造体の柱の位置の都合などで別館側と左右対称な位置に柱を設置できない箇所があったからです。  本館側の梁とその上に載せる梁の結合部分です。コースの斜め打ちと2X4用の金物で固定します。
 別館側の柱と梁の固定は、左右方向の梁と、それと直行する形の梁の両方ともが柱の上にのる様にします。(柱に梁から直接荷重がかかるように)  梁を固定したらその上に小屋柄を載せていきます。本館側は屋根の軒の脇に固定します。これもコースの斜め打ちと金物で固定します。  別館側は屋根の軒のすぐ横に柱を持ってきているので柄の下にちょうど柱が来るようになります。強度的にはもちろんこちらがベストです。
 この様に小屋柄を立てていきます。本館側の柄の下には柱は無いので、荷重を分散させる為に柄の下から柱まで筋交いを入れ、屋根の水平方向の強度を増す為に火打ちを入れます。  そして柄の上に小屋梁を載せていきます。こちらは2X4材の2枚張りとしました。天井張りの高さはデッキ面から約2.5m、その上に登っての作業でした。ちょっと怖かった。  裏側から見たところです。別館側、本館側の柱と軒の位置関係、小屋柄と筋交いの位置関係が良くわかるでしょう。
 そして小屋裏の強度を出す為に筋交いを入れていきます。小屋柄はいちばん長い物で1.3mほどの高さがあるのでそのままではぐらついてしまいます。筋交いを入れるとしっかりとぐらつかなくなり、筋交いや火打ちが家の構造体にとっていかに重用かが良くわかります。  前後方向だけでなく左右宝庫にも筋交いを入れます。2X4材の筋交いを梁や柄に切り込みを入れて押し込み、コースで固定した後、筋交いの交差する部分もコースで結合しているので強度的にはかなりの物です。というか本職大工が作った本館の小屋裏より明らかに強度過剰です。やはりしろーとは手抜きが下手なのです。もっともここは下から見える部分なので、見た目も多少気にしているんですけどね。  筋交い等での補強が終わったら小屋梁の上に垂木を載せていきます。材料はすべて2x4材です。この辺の構造は他のデッキ屋根と同じです。
 屋根の傾斜と高さはこの様に本館屋根と同じになるようにしました。  その上から構造用合板を張っていきます。屋根板を張るまではデッキ上からはしごで梁に登って上がっていたのですが、屋根板を張るとなるとそうも行きません。構造用合板を持ち上げながら地面から3m以上の高さまではしごで上がるのはなかなか大変で、危険な作業でした。  構造用合板を張り終えたら、その上からアスファルトシングル(防水紙)を張ります。
 下から見るとこんな感じです。いずれこの下にヘルパー部屋と小屋裏部分に屋根裏収納を作りたいと思っています。  別館屋根と間デッキ屋根は高さが違うので大きく開口部が出来てしまいます。そのままでは雪や雨が吹き込んでしまうので(この部分は西側になるので、西風が吹く冬場は雪が吹き込んでしまいます)開口部に角材で下地を作ります。  傾斜にあわせて角波トタンを切るときは、この様に角材で両側から挟み込み両端をコースで締めこんで固定します。そして角材にあわせてグラインダーで切り落とします。
 先ほどの開口部にトタンを張るとこの様になります。これで吹き込みの心配はありません。  今回の屋根製作で一番の問題となったのがこの本館側の屋根形状です。寄せ棟構造の為、軒下にあわせてデッキ屋根を作る事が出来なかったのです。本館屋根と同じ高さに別館屋根を作ったので、両屋根をまたぐようにこの上に屋根をかぶせます。  この様に格子状に組んだ2X4材を両屋根に渡す形になります。間に斜めに入っているのはベニヤ板ですが、このようにして間をふさいでおかないと、本館屋根とその上の載せた屋根の間に鳥などが巣を作ってしまいます。
 本館屋根の上の部分には断熱材を入れます。これは断熱効果を高めると共に、部屋内の熱を屋根に伝わりにくくすることで、北側の軒にツララや氷の塊が出来るのを防ぐ事が出来ます。  そして構造用合板を張ります。とりあえずは屋根の北側面だけで南側は一部残しておきます。  と言うのは別項にてご照会している薪ストーブ移動の為新しく煙突を設置するのですが、その場所がちょうど本館屋根と今回その上にかぶせた屋根の位置にくるのです。その部分だけ合板を張るのは後回しにして、位置を測り煙突開口部の切断箇所を書いていきます。
 そして思い切って(屋根に大穴を開けるのですから最初の一撃はちょっと勇気がいる?!)屋根トタンと屋根板、垂木を切り取って屋根に穴を開けます。開口部が四角いのは小屋裏と屋根上の約2.5m程は煙突の周りを四角い筒で囲うからです。(屋根裏が暑くなりすぎないようにと、雪の重みで煙突が折れてしまうのを防ぐ為)  その煙突を覆う四角い筒を作ります。まずは2X4材をコースで結合し、骨組みを作ります。  そしてその骨組みをL字型に二枚組み付け、外側部分に構造用合板を張ります。
 内側は煙突の熱で暑くなるので対価ボードを張るのですが、その間に断熱材を入れます。これはストーブ使用の季節は筒の外側は氷点下で冷たく、内側は煙突の熱で暑くなります。そのため内側がけ結露してしまうのでそれを防止するためです。(薪ストーブ屋さん談)  L字型のものを二つ作ったのは、内側に耐火ボードを張るため、最初から筒状にしていたのでは内側にビスを打てません。なのでL字型のものを一つづつ屋根まで持ち上げて、上で結合する予定でしたが、とてもはしごを上って持ち上げられる重さでは無く、結局ばらして一枚づつ持ち上げて、上で結合する事としました。それでも片手で材料を持ち、はしごを上って屋根まで持ってあがるのはかなりの重労働でした。  こちらは屋根の開口部から中をのぞいたところです。煙突囲いの部材は一枚づつ小屋浦の梁と屋根の上に新たに被せた屋根の2X4材に固定し、4枚を結合して筒状にします。
 4枚を結合して、残りの屋根板を張った状態です。  煙突囲いの筒は屋根の頂部から少し下がった場所に位置するので雪割を付けます。まずは骨組みを作ります。  そしてその上から構造用合板を張ります。雪割を付けるのは、そのままでは屋根に積もった雪がずり落ちる時に、煙突囲いに荷重をかけてしまい壊れる恐れがあります。それを防止するのと、煙突囲い自体が屋根から1.5m程突き出しているため、強度を確保する為のつっかえ棒的な役割も担っています。
 そして屋根の板金作業ですが、今回は煙突囲いにトタンを巻き付けたり、雪割の三角形の部分など技術的にしろーと大工では困難なので、板金屋さんにお願いしました。屋根を葺いた材料は「平成ルーフ」とよばれる葺き方で、すが漏りに対していちばん強いとされています。  間デッキ屋根と、本館デッキと別館デッキを繋ぐ渡り廊下デッキの屋根とは高さが違うので、その開口部は角材で下地を作り、ポリカーボネイトの透明波板で塞ぎました。  完成した全体図がこちらです。これですべてのウッドデッキの上に屋根が付いて、本館〜別館の行き来が楽になっただけでなく、雪や雨でデッキが傷む心配が少なくなりました。(今までは雪が降るたびにデッキ上の雪はねをしていました)
ご参考までに今回の改築費用です。
2X4材などの木材と構造用合板、金物、断熱材などの材料代が約15万円、板金工事代金が約20万円でした。構造が複雑になった分だけ木材を多く使い、屋根が煙突や雪割の関係で複雑になったので工事代金がかさみました。