エッセー(オシドリ)
トップページ 四 季 小動物エッセー 旅行記 プロフイール
カラス クマゲラ オシドリ

イケ面男のオシドリ

 人間界でも、よく、仲の良い夫婦のことを『オシドリ夫婦のよう』などと例えていうが、実は違うのである。  
あの歌舞伎役者のような色彩ゆたかな衣装を纏ったオシドリは、鳥なかまきってのプレーボーイなのだ。腰のあたりには銀杏羽としょうする黄色の刀剣のような飾り羽をさしている洒落者だ。
オシドリはカモ類の仲間である。
ガン、カモ類は木には止れないので、みな 地上、草地の上に卵を産んで子育てをする。
が、オシドリだけは 樹上の洞とか、まあ、中古マンションのようなクマゲラの古巣、などに卵を産み、子育てをする。

おしどりの妻は 毎日一個の卵を産み十個産みつづける。
少し離れた枝に止ってみている 夫は、産みおえるのを 見届けるやいなや 冷たい視線を投げかけ、 家族を捨てて二度とは戻ってこない。
そして夫は また 他に女をつくり家族をもつのだ。毎年妻を変えているそうだ。

その後、母子家庭の子育てには涙ぐましい苦労がある。
オシドリの妻の方は 夫に比べると 茶色一色の着物で、じつに地味である、が、目は慈愛に満ち、クリクリとしていて優しくかわいい。カモのメスと同じような、いでたちをしている。

また、雛が巣立つときには ふしぎな行動がある。
ビルの4階ぐらいの高さの樹上の巣穴から、まだ飛べない雛は、ボロボロと転がるようにして十羽が落下してくる。
不思議に、怪我も骨折もせず、カルガモ親子のように一列になり 水辺の方へと歩いていく。

以前、円山公円の池でみた オシドリの母親には 関心した。
この公園はカラスが多くて子育てには とても危険地帯である。
母親は雛たちを池から丘に上げると、 雛を連れスタスタと わたし達人間の方へ近づいて来るではないか。つまり雛を一時、人間にあずけて 自分は休養のため 目を閉じてコックリ、コックリと いねむりを始めたのだ。人間のそばにいれば 安全である、と 母親は知っているのだ。母は賢い!

このようにオシドリには失礼だが、
何かの挨拶とか、祝辞などで 褒め言葉のつもりでも「オシドリ夫婦のように」とは使わない方が良いかと思うのだが。
まあ、生涯連れそう代表的な鳥は「白鳥夫婦のように」とか「丹頂鶴夫婦のように」「クマゲラ夫婦のように」などと言ったほうが縁起が良いかと思う。

なぜ仲の良い夫婦を「オシドリ夫婦のように」と 言うようになったのだろう?
根拠はさだかではないが オシドリは恋愛ちゅうは いつも仲良く、寄り添って並んで泳いでいる姿が美しかったから、とも聞いた。

人間界でもイケ面男には、あまり近づかないほうがよさそうだ。

  2005/06