エッセー(カラス)
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函館のカラス

この日の 花見弁当を買うのに、函館駅へいきました。
構内で、 背が高くて背広を着た とてもスマートな紳士を見かけました。
地元の人なのでしょう、誰かと立ち話をしています。すると、あいずちを 打つ時に「〜んだ、〜んだ」と訛っていました。
浜弁なのでしょうが、品のよい その風貌からは およそ似つかわしくなかったので 可笑しかったのです。

松前城では、陽差しを受けながら 眺めのいい桜の木の下で さきほど買ってきた花見弁当を食べていました。
すると、カラスが 後ろからヒョコヒョコとやってきて「おれにも 一口くれよ・・・」といわんばかりに 斜に構えて横柄な態度をとっています。
私は手を振り払うようにして「シッ、シッ」と睨み付けて追い払うのですが 「フンだー」と言って知らんふりをしたままです。

こんどは、
夫がちょっと振り向いただけで 慌てて逃げ去っていきます。
やはり、黒いサングラスに黒い顎鬚の 人相の悪さは カラスもわかるのですね。

まもなくして、またカラスがやってきて「その、カラアゲうまそうじゃん!」と、覗き込むのです。
私は「しかたがないねえ、じゃあ カマボコでも あげようか・・・」と 言ったら カラスも「〜んだ、〜んだ」と首を振りながら 訛った返事をするんですよ。

函館ではカラスも 浜弁を喋るんだ〜と笑い転げました。
方言は その土地の温もりが伝わってくるものです。