紙版画「とうもろこしを食べる人」
小学校2年生で版画といえば、まだ紙版画。
「しばらく紙版画なんて指導したことがない。」
「どうやるんだっけ?」
「何を題材にすればいい?」
と職員室でつぶやいていると、周りの先生たちがいろいろアドバイスをくれた。
顔、上半身、全身。1年生が体全部で、いろいろな動きを表現するという。
顔だけじゃつまらないし、それじゃあ上半身!
次は、モナリザのような動きのないものだとつまらない。
動きをつける?何か持たせる?何かしているところ?
歯みがき、おにぎりを食べる?どこかで見たような気がする。
自由にして、子供たちに任せる。学級の実態からして、そんな無謀なことはできない。
そこで思いついたのが、「とうもろこしを食べる」ということだった。
全体を「顔」「体」「手」「とうもろこし」の4つのパーツに分けて作成していくことにした。
【顔】
@まず8つ切りの画用紙を渡し、実物大になるように顔の形を切らせた。
鉛筆で線など書かせず、いきなりはさみでチョキチョキと。
多少の大小は気にせず、ただ、小さくなりすぎた子にはやり直しをさせた。
A次は目の作成。目は何からできているか?
子どもに聞くと「白目」「黒目」「まぶた」「まつげ」と4つのパーツが出てきた。
私が作らせようと考えていたのは「白目」「黒目」「まつげ」の3つ。
「すごいな、先生は“まぶた”を忘れてた。」と言ってやると、発表した子は得意そうな顔をしていた。
Bまず白目、要するに目の形を2つ作る。
実物よりちょっと大きめに作る方が、インパクトのある作品に仕上がるような気がする。
そして、黒目。白目の幅よりちょっと大きめの○を切らせる。(1円玉の大きさをイメージ)
そこで、となりの人と見つめ合う時間をとる。
「となりの人は、黒目が全部見えてるかい?」と聞くと、
「あっ、下がかくれてる。」
「上も下もかくれてる」
というような声がたくさん聞こえてくる。
「みんな目と同じように、黒目を少しはみ出してくっつけてごらん。」
「はみ出たところは、白目にあわせて切っちゃおう。」
というと、ほぼ目のできあがり。
残りのまつげは、上だけアクセント程度につけさせた。なくてもいいか、というぐらいだ。
Cこれを顔の上に置かせる。
何も指示しないでいると、顔の上の方に置く子が圧倒的だ。
担任の目の位置を観察させ、顔のほぼ中央にあることをつかませる。顔の紙を上下で2つに軽くおり、目印をつける。
そうすれば、だいたいそれらしい位置に貼ることができる。
Dこの後、「鼻」「口」「耳」「まゆげ」「髪の毛」という順番で顔の中のパーツを作らせた。
B6程度に切った画用紙を用意しておいて、紙の足りなくなった子には渡すといい。
子どもによって作業にかかる時間が大きく違うが、新しいパーツをするときには、後れている子も一度作業をやめさせ、説明をしていった。
作りかけのパーツはなくなりやすいので、大判の古封筒を用意しておいて、それに入れさせた。
また、余っている紙についても別の古封筒にしまわせると教室のゴミが少なくなっていい。
【体】
@新しい画用紙(8つ切り)を渡し、自分の体に合わせる。
紙を横にしたときが肩幅に近いことに気づかせる。
そして、となりの人と向きい肩をさわって、肩は斜め下に下がっていることにも気づかせる。
A首の部分は、Vネックでも丸首でもかまわない。
顔の幅より大きくならなければいい。
B服の襟やボタンは後からでいい。
丸首にしておくと後の作業が少なくていい。
襟の丸みに合わせて、1・2p幅の紙を切って貼るだけでTシャツになる。
C顔と体をつなぐ首の作成する(8つ切り画用紙を新たに配布)。
首の太さは、顔より少し細くなる程度がいい。
【とうもろこし】
@首を作って天津孝美で、とうもろこしの土台になる紙を切らせる。
実際にもって食べることをイメージさせるといい。
今は、いつでも真空パックのとうもろこしが売っているので、それを見せるといいかも。
渡しは、ほぼ実物大の写真を用意した。
A一つ一つの粒は、1列に並んでいるところに気をつけさせれば、粒の大きさが全体的に大きくなってもいい。
逆に小さいと、作業の時間がかかりすぎる。(粒は、丸みを持たせるのがポイント)
【手】
@また新しい画用紙を渡し、左右の手をなぞらせる。
手首から先で、指はあまり開かせない。
鉛筆を使うのは、名前を書く以外では初めてになる。
Aとうもろこしを持つときは、親指が陰に隠れてしまうので、親指を切ってしまう。
Bこの手に、爪と関節のしわをつける。
Cできあがった手を、腕でつなぐ。
腕は、肩から肘、肘から手首に分けて2セット作る。
新しい画用紙を渡して、4等分するようなイメージだ。
D手首の部分は四角いが、ほかの部分は全部丸くする。
後で組み立てるときに、自然なつながりになる。
【組み立て】
印刷する紙の大きさを気にせずに組み立てさせるといい。
組み立てのポイントは、
1.口の上半分以上を見えるようにすること
2.手を重ねたり、話したり変化をつける。
3.顔をちょっとだけ傾ける。(印刷してから気づいた)
最後に、印刷する紙の大きさに合わせて、版を切る。
今回、刷りは、子どもにバレンや指でこすらせたが、きれいな仕上がりを求めるなら、教師の手がかなり必要だろう。
せっかくここまでやったのだから“1枚は子ども、もう1枚は教師”とするといいかもしれない。
クラス25人の全作品が下である。同じ構図だが、個性が出ていて楽しい作品に仕上がったと思う。