子育て!親も育て!!


   おこづかい(小学校6年生)

 最近、子どもたちのお金の使い方で気になることがあり、6年生の子どもたち98名にいくつかの質問をしてみることにした。

 ずいぶん前から、子どもたちの周りにはいろいろな物があふれ、子どもたちは物やお金に不自由していない。 そのお金の使い方や物の管理は、家庭教育の力によるところがきわめて大きく、それゆえに家庭による差が大きくなってきている。 親の知らないところでおやつをかって食べたり、スーパーのゲームコーナーで一度に使ったり、おこづかいがなくなったら万引きをしたり、時にはおこづかいがあってもほしい物なら平気で盗ったりする。 程度の差はあっても、子どもたちの善悪の判断の基準が揺らいでいるように思えてならない。 その原因が、家庭でお金の使い方・価値について教えられていないことにあるとしたら、どのように親と関わり、子どもを指導していったらよいのだろうか。 また、小さな子どもを持つ一人の親としても、このことを考えてみたいと思う。 

1.子どもたちの毎月のこづかい
毎月決まった金額のおこづかいをもらっている
YESNO
61人37人

 子どもたちへの最初の質問は、『毎月決まった金額のおこづかいをもらっているか?』どうかである。 毎月こづかいをもらっているのが61人と、全体の5分の3を占めた。 過半数は超えているが、6年生という発達段階では、これでも少ないという印象を受ける。
 2003年の全国調査「学研版《小学生白書》」のグラフを見ると、6年生でこづかいをもらっている子が67.1%であり、今回のアンケートの結果をほぼ裏付けている。 ただし、同白書の1994年では82.6%、1984年では89.0%が、こづかいをもらっていたことから考えると、毎月決まったおこづかいをもらっている子は減ってきていることが分かる。 学習研究社「学研版《小学生白書》2002−2003小学生まるごとデータ」2003
 では、決まった金額のこづかいをもらっていない子どもたちに、ほしい物があったらどうするのかを聞いた。 子どもたちからは、「お年玉とかを貯めてあるのでそれで買う」「手伝いをしてお金をもらう」「言えば買ってくれる」等の声が返ってきた。 これは、お年玉をはじめとするお金がふんだんにあることをしめしている。手伝いをしてお金をもらうという子の中に、風呂掃除1回で150円という子がいて驚いた。 いずれのことからも、子どもたちが毎月おこづかいをもらわなくても、お金に困らないことははっきりしている。
 おこづかいをもらっている子どもたちの毎月の金額は下の表の通りである。 3分の2が500円〜1000円ということで、ほぼ全国調査と同程度であることが伺われる。 こづかいの額は、古くから「学年×100円」とか「学年×100円+200円」とか言われてきたが、現在でも多くの家庭で昔からの計算方法が踏襲されているようである。  
毎月のおこづかいの金額
〜500円〜1000円〜2000円〜3000円3001円〜
4人42人10人1人4人

 昔の我々のもらっていたこづかいの額と現在の額で、さほど大きな差がないのに今の子どもたちが裕福に思えるのは、毎月のこづかい以外のお金によるところが大きいだろう。
 また、子どもの中の高額所得者に目を向けると、「3001円以上」の内訳が3500円・4000円・6000円・7000円がそれぞれ1名ずつと、耳を疑いたくなる。 サラリーマンの中にもこの程度のこづかいで耐えている者がいるかもしれない。

2.子どもたちの経済状態

 実際に子どもたちが、金銭的に恵まれた環境にあることを裏付ける資料として、次の「今現金で持っているおこづかいの金額」を聞いてみる。 これは、郵便貯金や銀行預金を除いた、財布や貯金箱等に入っている今すぐ使える金額である。 驚くことに3分の2が3000円以上持っており、全体の2割が10000円以上持っている。    
今現金で持っているおこづかいの金額
〜500円〜1000円〜2000円〜3000円〜10000円10001円〜
8人6人17人8人41人18人

 もちろん預貯金もほとんどの子があり、多くの子が何万円も、中には20万・30万という残高の子もいる。
 多くの子が何千円も現金を持っていて、通帳の中にも多額のお金がある。 これが今の小学生の実態だ。 こういう状況からは、毎月のこづかいをコツコツ貯めて、目的の物を買うという「我慢&計画」的なお金の使い方は、ほとんどの子が経験していないことが予想できる。 家庭での金銭教育はもはや不可能な状況といってもよいかもしれない。

3.こづかいの使い方

 子どもたちが、こづかいをどのように使っているのか、何を買うのかを聞いてみると、「お菓子」「雑誌」「文具」「玩具」類が多く、特別変わったものは買っていないようにも思える。 だが、子どもたちの話を聞いていると、時には「服」を買ったり、「栄養ドリンク」や「弁当」まで買っている。 こづかいでどこまで賄うのかが、はっきりしていない家庭が多くなっているということである。 普通、少額のこづかいだけでは服や靴などの日用品を買うのは無理である。 玩具や文具、雑誌程度の範囲の中で計画的に使う力をつけ、大きな買い物のために貯金をし、お年玉等の臨時収入と合わせて購入するという図式がかつてあった。 現在は、ほしい物はいつでも買えるという余裕がある。
こづかい帳をつけている
YESNO
16人82人
家の人に言ってから買い物に行く
YESNO
57人41人

 多額のお金を持っている子どもたちだが、こづかい帳をつけている子は圧倒的に少ない。 20年以上の調査を見ても20%以下だったので、持っているお金の多い少ないによって、こづかい帳をつけるつけないは変化しないと言うことか? 子どもがたくさんのお金を持っても、その使い方や管理は子どもに任されている。
 また、親に断らずに買い物に行く子がずいぶんいることにも驚く。 小学生の段階では、まだまだ親の管理下でこづかいは使われるべきものと考えるがどうだろう……
 もちろん家庭によっては、子どものおこづかいの管理を考えてしつけをしている家庭もあるだろう。 いつも悩みながらこづかいをあげている家庭が多いと信じたい。 でも、すぐにじいちゃんが物を買ってくれるし、ばあちゃんがおこづかいをあげて困るんだよねということも聞こえてくる。。

4.親として、教師として

 ここまでの話で、多くの家庭で金銭教育が機能していないことがはっきりした。

 そういう我が家でも、おこづかいは悩みの種である。 小学校1年生の息子がいるが、2学期の途中から毎月1日に300円のおこづかいをあげだした。 といっても、現金はまだ渡していない。 夏休みから息子の家での仕事が、朝晩のカーテンの開け閉めになった。 その対価としてのおこづかいだということを話して聞かせた。 手伝いがしっかりできたら”1ヶ月に300円だけ好きな物を買ってもいいよ”ということにした。 今月は、
「遊戯王カードに149円使って、あと151円残っている。」
と言っている。 まだ使えるということは理解しているようだ。 その内、また遊戯王カードを買うつもりらしい。
 原則として300円以外には渡さない。ほしい物があったら私か妻に相談することになっている。
 そろそろ近くの信用金庫で口座を作り、通帳を持たせようとも考えている。 すでに郵便局には子ども名義の口座があるが、こちらは親管理の通帳で、入学祝い等のお金が貯めてある。 今のところ手伝いもそれなりにし、こづかいも我慢しながら使っている。 こづかいのスタート段階としてはほぼ合格だろう。

 だが、これから学年が上がっていく中で、こづかいに関して難しい問題が出てくることだろう。 そんなことも考えて、我が家ではこづかいについて次のようなことを考えている。 

・毎月のこづかいは、家の中での役割(手伝い)を果たすことが前提。
・基本的に毎月のこづかい以外のお金はあげない。
・こづかいは親が把握する。(預かる・残高を聞く・こづかい帳を学年や成長に応じて方法を変える)
・子どもが管理する通帳はいつでも下ろせるものとし、お祝い等は親が管理する。
 (お年玉も本人と相談して、一部を親が管理する)
・途中でなくなっても、補充しない。必要なときは通帳から。
・こづかいを使うときは、親に言う。
 (基本的にダメとは言わないが、文具や服など必需品は親が購入する)

 また、こづかいの額は、子どもにとって少したりない程度の額がいいだろう。 我が家では、こづかいのスタートをある程度の物を買うことのできる金額と言うことで、300円に設定した。 3年生までは、学年×100円+200円。4年生からは、学年×100円という公式で小学生の内はいこうと考えている。

 一人の親として考えると、最近は、家庭でのしつけの多くの部分を、保育園や幼稚園、そして学校にゆだねてしまっている。 でも、しつけの基本は家庭である。 「こづかい」の外にも多くのしつける事柄がある。 「睡眠」「食事」「テレビ」「入浴」など、学校の手の届かないしつけはたくさんある。 我が家は、保育園に通わせていたので、子どもが小学校に入学するとともに家でしつけることが一気に増えた。 これから少しずつ親としても成長して行かなくてはと思う。

 学校の手の届かないところで子どもたちがどんどん崩れてきているのは事実である。 「お金の使い方の問題」の外にも「睡眠不足」や「朝ご飯を食べてこない等」、家庭で教育されない子どもたちがどんどん増えている。
「これは家庭の問題だから、どうしようもない。」とさじを投げてしまうのも情けない。 かといって、「学校からのお願い」程度では少しもよくならない。 学校は、親も困っているんだと言うことを理解した上で、親を「応援」していくという立場でありたい。 多少厳しいことも、はっきり言える関係を保護者との間で作るのが第一歩だ。  


参考文献等
『モノグラフ小学生ナウ』(子どもとこづかい 上杉賢士 他) 教育図書出版
『家計の金融資産に関する世論調査』 金融広報中央委員会
『日本子ども年間2002』 日本子ども課程総合研究所
チャイルド リサーチネット(インターネット上の「子ども学」研究所)