ありがとう
　目を閉じれば
　君と走り続けた路の
　ひとつひとつが懐かしく甦ってくる 

　襟裳の岬をめざして
　ただひたすらに駆け続けたあの日 
　サラブレット銀座には
　草熱れと焦茶色の鬣の向こうに
　パステルブルーの青空が広がっていた

　富良野をめざし
　日高　石狩の山懐深く入り込み 
　エゾマツの林を 
　走り抜けたあの日

　気がつけば
　北の大地を見晴るかす
　狩勝峠の
　緑の芝生の中に
　君と僕だけがいた

　ありがとう 
　一途にランニングにチャレンジした
  日々を
　君は優しく見守ってくれた

　深浦　夕陽海岸マラソン
　米代川のきみまち坂
　能代　風の松原
　新緑の猊鼻渓（げんびけい）東山
　民話のふるさと遠野
　酒田の砂丘
　真夏の釧路湿原マラソン

　気がつけば
　いつも君と一緒だった

　ずぶ濡れになり激走した
　雨の岩手山麓マラソン 
　新記録を出したときの弾む心を
　覚えていてくれる君だった

　次第に走行距離を伸ばす君
　僕のマラソン距離も
　いつの間にかぐんぐん伸びていた
　
　ありがとう
　君と走り続けた思い出の日々

　山形県境の町　雄勝
　小野小町の古里にたどり着いた
　あの日の感激を忘れない 

　浄法寺から奥羽山脈越え
　漆黒の闇に覆われた
　十和田湖を抜け
　滝ノ沢峠にたどり着いた
　あの日
　君がとても　とても頼もしく思えた

　君に導かれて 
　この大地を走り回った日々を 
　僕は忘れない

　ありがとう
　ありがとう 
　ほんとうに　 ありがとう 

　拙い言葉だけれど 
　万感の思いを　いっぱいに込めて

　ありがとう