昔よく両毛線の沿線を旅した。 
 前橋出身の詩人萩原朔太郎の足跡を辿りながら、歴史 
的に有名な足利学校跡、また、相沢忠洋氏が遺跡を発見 
して学界に波紋を投げかけた岩宿など、あちこちの駅に降 
り立って、近辺を散策した。 
  
 国定で忠治の墓を探しながら歩いた上州路。 
 今ではこんな風景も思い出の中だけに残されているの 
だろうか。 

                              (写真はイメージ画像) 

風が吹く
一本道を 歩いている
砂埃をあげ
曲がりくねっているが
見晴らしのよい
その田舎道
遥か社(やしろ)の辺りに
枝も太く 桜の木々が寄り集まっている

見つめる彼方に
幾本かの草木が揺れて
景色を左右に分ける

ふと 気がついてみれば
辺り一面
桑の木の短い枝々が連々と続き
荒涼とした風景の中に
確実に
生活のにおいも息づいている

一軒の民家が見えてきて
娘が畑に出ている
その若々しい姿が黒い大地に
溶け合っている

  


バック音楽はMapaさん作曲の「風人(かぜびとう)」