直木賞 受賞エッセイ 集成 
    
 これは珠玉の一冊。
 直木賞をとった本にあまり関心がなかったが、エッセイを読んで
 作家を身近に感じることができた。
 エッセイを読んで興味を持った、角田光代、辻村深月の本を読んで
 みた。とても良かった。全員分を読んでいないが図書館の返納期
 限がきてしまった。機会があれば再度借りて読みたい。

〔内容(「BOOK」データベースより)
 来たる平成26年1月の選考で第150回を迎える直木賞。
 21世紀初の受賞者は、第124回の重松清、山本文緒の両氏でした。
 本書は、この回から第150回までの三十六名の人気作家と新受賞
 者の受賞エッセイをまとめた一冊。
 『オール讀物』の直木賞掲載号のエッセイもしくはロングインタビュ
 ーに加えて、奥田英朗氏のみ書きおろし随筆が入ります。
 それぞれのエッセイが多くの作家のキャリアの結節点を記している
 面白さはもとより、エンターテイメント小説界のひとつの大きな潮流
 をつぶさに感じとれる内容になっています。 

   


 中野 明 
    
読書のMLで、今年最も印象に残った本として名前が・・
あがったので久しぶりにフィクションでない本を読んだ。
読みやすい文だった。ただ時代が明治と現代が主で、
もっと広く変遷を知りたいと思った。
裸はいつから

恥ずかしくなったか

〔内容(「BOOK」データベースより)
「男女が無分別に入り乱れて、互いの裸体を気にしないでいる」。幕末、
訪日した欧米人は公衆浴場が混浴なのに驚いた。当時の裸体観がい
まと異なっていたのだ。しかし、次第に日本人は裸を人目に晒すことを
不道徳と考えるようになり、私的な空間以外では肉体を隠すようになっ
た。その間、日本人の心の中で性的関心がどのように変化していった
かを明らかにする。     

  
  

 

  

 宮田 珠己 (たまき) 
    
1964年生まれ 大阪大学工学部卒  エッセイスト
 巨大仏にとどまらずマヌケに感じのする風景全般を愛する。
 関連著書としてマヌケな風景を巡る「東南アジア四次元日
 記」がある。
 旅とレジャーを中心とした奇妙な著作多数。
晴れた日は
巨大仏を見に
牛久大仏・千葉  淡路島世界平和大観音
北海道観音・芦別町 加賀大観音・加賀温泉(石川) 高崎白衣大観音
長崎西海七つ釜聖観音 久留米救世慈母大観音
篠栗南蔵院釈迦涅槃像(福岡) 会津慈母大観音 東京湾観音
釜石大観音 親鸞聖人大立像(新潟) 仙台大観音 太陽の塔
最後の巨大仏めぐり(静岡・香川)
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内容(「BOOK」データベースより)
ウルトラマンより大きな仏像が、日本各地に存在している!
唐突かつマヌケな景色を味わうための、紀行エッセイ&日本風景論。 

 


 中村 仁一
    
 1940年 長野県生まれ。
 京都大学医学部卒
 1980年より財団法人高雄病院の院長を務める。
 京都仏教青年会の協力のもとに月一回の病院法話を開催。
 医療と仏教連携の全国展開の先駆けとなる。
老いと死から

逃げない生き方

出版社/著者からの内容紹介から
 一般に、年をとるということは、生きる条件が日を追って悪くなることを指し、
今日が最もいい状態であることなのです。(中略)
 それゆえ、老人には、弱い、衰えた、不健康な、寝たきり、ボケ、老残、老
醜、役立たず、用ずみの厄介者、傍迷惑な存在などという、概して、暗くて
否定的なマイナスイメージがつきまといがちです。(中略)
 老いとは、本当にそんなにマイナス面ばかりなのでしょうか。生まれたもの
が成長して、時間を経て古くなるのはごく自然であって、とくに異常でも何で
もないと思うのです。――(本文より抜粋)

 
 

 


 土屋 賢二
    
 1944年 岡山県生まれ。東京大学哲学科卒。
       お茶の水大学教授
貧相ですが

何か

内容(「BOOK」データベースより)
 穴があったらすかさず落ちる、犬にはかならず吠えられる…。
相変わらずトラップだらけの人生を送る教授に今日もまた事件
が起きる。
 笑う哲学者が自らの「貧格」を賭けた一冊! 『週刊文春』連載
の爆笑エッセイを単行本化。 

 
 

 
 

 かとう ちあき
    
  1990年 神奈川県生まれ。法政大学社会学部卒。
 在学中、就職活動をせずに旅を続けることを決意。
                      (のち、挫折)
 介護福祉。
 「人生をより低迷させる旅コミ誌」がキャッチフレーズの
 ミニコミ誌「野宿野郎」編集長。
 創刊から6年までで7号刊行。
野宿入門

★★★

内容(「BOOK」データベースより)
 野宿をするのに、もちろんお金はかかりません。あるいは、休みがな
くっても、大丈夫。まずは一晩外で寝るだけで、できちゃうのです。健
康な身体ひとつ、寝袋ひとつ、あればいい。ですから野宿を、学生や
自由人の専売特許にとどめておくのは、もったいない。サラリーマンや
イイトシした人だって、やっていいんじゃないか。やってみると、面白か
ったりするんじゃないか―。
 話題のミニコミ誌『野宿野郎』発行人がほんわかと提唱する気持ち
が軽くなる生き方。 

 
 

  
 

 中山 和義
    
  1966年生まれ。成蹊大学経営工学卒。
 日本メンタルヘルス協会公認カウンセラー
 日本コンサルタント協会PBCコンサルタント

 心理カウンセラーとしての知識を応用した講演は企業や
商工会議所、NPO団体などでも高い評価を受けている。

悔いのない生き方に

気づく24の物語

商品の説明より
■もしも、余命3ヶ月だとしたら…

もしも、あと3ヶ月しか生きられないとしたら
あなたはいったい何をしますか?

本書は人気モデル・押切もえさんの推薦で話題になった
『大切なことに気づく24の物語』『小さな幸せに気づく24の物語』
『大切な人に贈りたい24の物語』に続く
29万部突破のベストセラーシリーズ第4弾です。

人生の最期に、人は何を伝えたいのか?
人生の最期に、人はいったい何を悔やむのか?
幸せに生きるために大切なことは、いったい何なのか?

これが、本書のテーマです。
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  一つ一つの話が短く、じっくりと考えさせられないのが残念。
 伝えたいことはわかる。


 
 

     
 

 堺屋 太一
    
日本を創った12人

 前編
 

★★★

聖徳太子 光源氏 源頼朝 織田信長 石田三成 徳川家康
史実にのっとっていて、新しい事柄はほとんどないが、歴史人
物の「業績」に新たな視点をあてていて興味深い。
後編が図書館にないのが残念。
-----------------------------------------------
出版社/著者からの内容紹介から
 日本の独自性とはいったい何なのか。勤勉性なのか。それとも
仏教が広まっても神道は信仰の対象であり続けた、宗教に対す
る柔軟性なのか。明治維新、外国文化を受け入れた許容力なの
か……。
 もし、これらが日本の独自性であるとすれば、それは、いつ、誰
むによって、どのようにして創り出されたものなのか。
 本書は、聖徳太子をはじめ、織田信長、石田梅岩から近現代史
まで、日本史上に今なお強い影響力を残す12人の「人物」をとおし
て、日本の歴史を見直し、日本の独自性について考えた歴史・社
会評論である。
 大きな変革期を迎え、日本はどの方向に向かって舵を取ればよ
いのか、その決断がリーダーと国民に求められている。そうしたな
か、日本の独自性を認識し、それをいかにして活かしてかは、避
けてとおれない問題である。本書は、その問題に答えを出す一つ
の有効なヒントとなるだろう。

 

   
 
 
 岸本佐知子
    


  1960年生まれ
 
上智大学英文科卒

 翻訳家

気になる部分

★★★

 コミュで「面白い本」としてどなたかが薦めていた。
 初めての作家だったが読んでとても良かった。
 読んでいるうちに自然に笑みがこぼれてしまう、ウィットに富ん
 だ本である。
 ただ、2章からは少し趣が異なる。幼年時代が語られ、ちょっと
 切ない。
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出版社/著者からの内容紹介から
 なぜ「シュワルツェネッガー」の「ェ」は発音されないのか、眠れぬ
夜の「ひとり尻取り」、屈辱と野望の幼年時代――奇妙でせつない
日常を強烈なユーモアで綴る、名翻訳家初のエッセイ。

 
 


 篠田 達明
    


  1937年生まれ 愛知県生まれ 整形外科医にして作家。
 愛知県心身障害者コロニー・こばと学園園長を務める。
 いっへぼうで41歳から小説を書き始め、「大御所の献上
 品」や法王庁の避妊法」が直木賞候補となる。
 著書に「モナ・リザは高脂血症だった」など
徳川将軍家
15代のカルテ

★★★

 

 これは貴重な本。
 15人以外にも光圀、結城秀康、松平忠輝について書かれている。
 将軍のエピソード、病気や死因などが主であるが、歴代将軍を
 概観し、江戸時代を通覧できるという点で、とても良かった。
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内容(「BOOK」データベースより)
 健康オタクが過ぎた家康、時代劇とは別人像「気うつ」の家光、内
分泌異常で低身長症の綱吉、飲酒が高じて食道がんで逝った光圀、
そして実は三人も将軍位に就いた障害者…。
 芝・増上寺にある徳川家霊廟で発掘された遺体や文献をもとに、歴
代将軍を最新医学で診断してみると―。
 彼らはどんな養生法を心掛けていたのか、そして死因は、さらに世
継ぎをもうけるための苦心とは?史実には顕れぬ素顔が見えてくる。 

 

    

 酒井 順子
    


  1966年 東京生まれ 立教大学観光学科卒業・・・・・・・・・・・・・・・・・
     高校在学中から雑誌にコラムを連載。
     3年間の広告会社勤務を経て、執筆専業に。
     自分と等身大の都会の女子を容赦ない観察眼でつかまえ、
     すらりとすました独特のですます調、即妙な語彙と瀬絶妙
     な論理で分析していくスタイルで人気を博す。
     著書は「観光の哀しみ」「少子」「容姿の時代」のかなしみ
     三部作、「負け犬の遠吠え」「枕草子REMIX」「その人独身?」
     「私は美人」「ひとくちの甘能」など多数。 
 都と京 

★★★

 

 これは名著。
 京都と東京の違いを、鋭い切り口から鮮やかに描き切っている。
 京都に限りなく通い、京都の人や物を細かに観察しなくては書けない本である。
 文章は読み手にわかりやすく、惹きつけて離さない。
 この本を読んでいる時も、読み終わった後も「京都に行きたい」という気持ちを掻
 き立てられてやまない。
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内容(「BOOK」データベースより)
 内容(「MARC」データベースより)
京都と東京、二つのみやこの違いとは。東京生まれの著者が、都会を愛しながらも
京都に惹かれてしまう理由を、言葉、料理、節約、贈答、祭り、土産などさまざまな
視点から考察する、愛と困惑の都市論。 

 


 山本 博文
    


1957年 岡山県生まれ 東京大学文学部史学科卒業後、岡山大学
      大学大学院を経て、
1972年 東京大学史学編纂所助手、平成6年助教授、13年教授。
      文学博士。

 「江戸お留守居役の日記」で第40回日本エッセイスト・クラブ賞。
 「ン火英治代」「幕藩制の成立と近世の国制」「切腹」
 「日本史の一級資料」「将軍と大奥ー江戸城の事件とくらし」
 「江戸人のこころ」「お殿様たちの出世」
 「大奥学事事始めー女のネットワークと力」
 「教科書には出てこない江戸時代」など著書多数。

 こんなに変わった

歴史教科書 

★★★

 これは非常に参考になった。
 古代・中世・金性・近代の章から成っていて、以前と今の歴史認識の
 違いから、教科書の記述が変わってきた例を挙げている。
 ・聖徳太子、源頼朝、足利尊氏、武田信玄、などの絵が「伝」となった
  のは、別人の疑いが濃いから。
 ・大和政権の呼び方、鎌倉幕府の成立年、長篠の戦い(馬の実態)
  鎖国ではなかった、慶安の御触書は幕府の出したものではない
  士農工商はなかった、モンゴル襲来の一回目は大風なし?
 ・田沼意次の功績  踏絵は絵踏 弥生時代は縄文晩期?
興味深い話ばかりで、あっという間に読み終えた。

 


 高倉 健
    


1931年 福岡県中間市生まれ。明治大学商学部商学科卒
      本名 : 小田 剛一 (おだ ごういち)。
      中学校ではボクシング部
      俳優。
1978年 『幸福の黄色いハンカチ』で第1回 日本アカデミー・
     最優秀主演男優賞を受賞。その後数々の賞を受賞。
     『動乱』『遥かなる山の呼び声』『鉄道員(ぽっぽや)』
           『あなたへ』などに出演。
1998年 紫綬褒章 
2006年 文化功労者。
  著書
    「あなたに褒められたくて」 集英社
    「同題の作品を含むエッセイ集」  『南の文芸館』
    「旅の途中で」 新潮社
    「南極のペンギン」 集英社
    「想」 集英社
 あなたに

褒められたくて
 

★★★

 1991年に発行された本である。
 当時話題になった本を今頃読んでいる。
 前に少しだけ読んだような気もするが・・・。
 俳優の顔はわかるが、私生活やどんな考え方をする人なのか、「謎」が多い
 と思っていた。
 この本では生の人間としての高倉健が語られる。
 西表島でであった若者、内蒙古で愛する息子の写真をくれた母親、よくない
 噂を耳にしてロンドンから電話をくれた同郷の若者・・・。
 人との触れ合いを描いたものは感動を与えてくれた。
 いたずら好きの面、車を運転し、放浪する姿・・・。
 独特の文体(口調?)で語られる話が読み手を高倉健の世界に導く・・。
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内容(「BOOK」データベースより)
 いつも危険な撮影を心配してくれた母、ロケで5カ月も過ごした酷寒の大地…。
 男が生きてきた、忘れることのできない時間と場所、忘れ得ぬ人びと。
 そんな心にかかる男の想いを語ったエッセイ。
 第13回日本文芸大賞エッセイ賞受賞。 

 

 
 
 嵐山 光三郎
    


1931年 静岡県浜松市に生まれ。國學院大學文学部国文科卒業。
1988年 「素人庖丁記」で第4回講談社エッセイ賞。
2000年 「芭蕉の誘惑」で第9回JTB紀行文学大賞。
2006年 「悪党芭蕉」で第34回泉鏡花文学賞。
2007年 「悪党芭蕉」で第58回読売文学賞。
2012年 日本文藝家協会理事。
 料理をはじめ、多方面にわたるエッセイ、書き下ろし多数。
 文人悪食
 

★★★

 これはもの凄い本と言える。
 37人の食やエピソードを書くために、巻末に600冊あまりの参考文献が並ん
 でいる。
 さすがに一部を読んでクリア。
 夏目漱石、森鴎外、萩原朔太郎・・・。
 食ばかりでなく、各人の生き方、業績など幅広く触れている。
 好きな作家の部分を読むだけでも満足できる。
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内容(「BOOK」データベースより)
 「何か喰いたい」臨終の漱石は訴え、葡萄酒一匙を口に、亡くなった。鴎外
はご飯に饅頭を乗せ、煎茶をかけて食べるのが好きだった。
 鏡花は病的な潔癖症で大根おろしも煮て食べたし、谷崎は鰻や天ぷらなど、
こってりした食事を愉しんだ。
 そして、中也は酒を食らって狂暴になり、誰彼構わず絡んでいた。
 三十七人の文士の食卓それぞれに物語があり、それは作品そのものと深く
結びついている。

 

   
 

 藤原 正彦
    


1943年 満州生まれ 東京大学理学部数学科卒業 同大学院修了。
       数学者。お茶の水女子大学名誉教授。
      両親は新田次郎、藤原てい
1978年 第26回日本エッセイスト・クラブ賞(『若き数学者のアメリカ』)
2004年 第4回正論新風賞(全言論活動)
2005年 『国家の品格』は200万部を超えるベストセラーとなる。
2006年:第23回新語・流行語大賞(『品格』)

     著書多数

 管見妄語 

卑怯を映す鏡
 

★★★

 世相を鋭く批判している。考えさせられる本である。
 一方に自分を美化した?自惚れを書き、読者を飽きさせない。
 気軽に読めるが奥は深い。
 子どもの伸び伸びとした育ち、自然の中での遊び、いたずら・・そういうもの
 が学問と繋がる・・これは本当にそう思う。
 デフレの原因が消費税のアップにあること、TPPの本当の危険性・・・。
 経済を見る目が変わらせられた。

 父が・・と時々出てくるので誰だろうと思ったら、新田次郎であった。というこ
 と母は「流れる雲生きている」の藤原ていである。これには驚いた。
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内容(「BOOK」データベースより)
 「かつて日本では卑怯が道徳の中枢にあった。『卑怯者』の烙印は『生きる
 価値がない』の意であり、武士にとっては切腹を意味した。」
 ところが見渡せば、陰湿ないじめとその責任逃れ、「正義」を振りかざすマス
 コミの袋叩き、市場原理主義という名の弱い者いじめ…世界中が病んでい
 る一大原因は卑怯感覚の欠如に他ならない。美徳を忘れた日本人へ。世に
 蔓延る「卑怯」を一喝。現代の病んだ精神に鋭い慧眼とユーモアでもの申す。 
 週刊新潮」人気連載の痛快コラム集、最新版! 

日本人の誇り

★★★











 

 この本には、日本人の良さ・素晴らしさが書かれている。
 是非たくさんの人に読んでほしい。名著である。

 何故アメリカと戦争になったのか。このを読んでよくわかった。
 日本がアメリカとの戦争に踏み切ったのは、日本が欧米諸国、ロシア、アメリ
 カから追い詰められていたのが最大の原因。
 侵略というが、現在の価値観から当時の情勢を見てはいけない・・。

 以下、印象に残った個所を書き出してみた。

 「(幕末にやってきた)英米仏蘭は、アジアの国々とは比較にならないほど
  成熟した日本の文化や日本人の品格を見て、一様に仰天しました。
  薩英戦争や下関戦争で、たたひとつの藩であっても火の玉のように戦いに
  挑んでくることも知りました。」

 「個より公、金より徳、競争より和、主張より察する、惻隠や「もののあはれ」
  などを美しいと感じるわが文明は「貧しくともみな幸せそう」という、(幕末に
  やってきた西洋人が感じた)古今未曾有の社会を作った文明なのです。
  戦後になってさえ「国民総中流」という、どの国も達成できなかった夢のよ
  うな社会を実現させた文明です。」

 「今度の東北関東大地震でも、このような混乱時にはどこでも起る略奪が
  きわめて少なく、秩序がきちっと保たれていること、冷静にじっと耐える
  被災者を国民がこぞって助けようとしていること、などは世界中から賞賛さ
  れています。

  この作家が書いた「国家の品格」というベストセラーも是非読んでみたい。
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 内容(「BOOK」データベースより)
  危機に立たされた日本は、今こそ「自立」と「誇り」を回復するために何を
  すべきなのか? 『国家の品格』の著者による渾身の提言。 

  「個より公、金より徳、競争より和」を重んじる日本国民の精神性は、文明
   史上、世界に冠たる尊きものだった。しかし戦後日本は、その自信をなぜ
   失ったのか?
  幕末の開国から昭和の敗戦に至る歴史を徹底検証し、国難の時代を生き
  る日本人に誇りと自信を与える、現代人必読の書。 

グローバルの憂鬱

★★★

 日本と日本人の素晴らしさが随所に語られ、自国に誇りを持てるようにな
 る珠玉の書。
  ・統計を使い嘘をつかずに国民をだます
  ・「大人の態度」の結末
  ・ファーストレディの貧乏合戦・・上位一割の人々がすべての富の80%を
   しめるというアメリカ。選挙応援の夫人たちは自らが最上位階層である
   ことをひた隠し・・。
  ・エルトゥールル号の美談・・オスマントルコの舟が座礁。紀伊半島の村
   民が救助。手厚い介抱。トルコは今も親日的。
  ・シベリアに残ったポーランド孤児を救出。ポーランドの恩返し
  ・ユーモアの威力
  ・中韓北朝鮮に極右と呼ばれた驚き。ここ20年で軍事費を3倍にした韓国
   10数倍にした中国、数百万の飢餓人口を抱え核とミサイルに狂奔する
   北朝鮮。
  ・またもや英語とITか。
   小学生にできるだけ多くの物語、詩、偉人伝などを読ませ、感動の涙と
   ともに、夢、正義、結城、弱者への思いやり、卑怯を憎む気持ちなどの
   情緒力を培い、家族愛、郷土愛、祖国愛を育むことが大切。
   美しい自然や芸術に親しみ、美的感受性を高める。
   ちゅうがく、高校、大学初年級では、古今東西の文学、歴史、科学など
   をしっかりと学び教養を身に付けることではないか。
   体質改善の急所はここにある・・・。

  ・人間社会に平等はない。

  ・いじめ問題の「解」 「人の道」を教える。卑怯だけは許さないという親の
   姿勢。力づくでもこれを叩き込む。そして、思いやりとか弱者への涙を
   詩、童話、物語、小説などを通して培う。それを学校が道徳の授業で補
   強する・・・。

  ・お盆
    ポルトガル文人モラエスの言葉
    「日本人は日常的に死者をまつり、死者と語り、盆には死者の霊を迎
     えて一緒に過ごす。これがどれほど人々の心を慰め、死の恐怖を和
     らげてるだろうか。」
    「仏壇の中とはいえ家庭の中に居場所があり、すべての世代から愛
     情を注がれる。これは死ぬことではない。永遠に生きることなのだ」

  本は借りて読むものではない。
  買って読み、傍線を引き蔵書とする・・・
  そうかもしれないと思わせる本である。
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 内容(「BOOK」データベースより)
 「グローバル化」とは、米英の英語帝国拡大主義に他ならない。
 英語力、IT力の強化などにうつつを抜かす世の中に、「愛国」の一喝! 

 日本人に必要な真の教養とは何か?
 米英を盲信する能天気に一喝!物事の本質を見抜いて鋭く問う。 

祖国とは国語

★★★

 この人の本は実に読みやすく、読者を捉えて離さない。
 まずは我慢力を   国語教育絶対論 英語第二公用語論に
 産学共同の果ては 犯罪的な教科書
 卑怯を許さない  子どもの個性を尊重するのと甘やかすのは違う・・・
 国語の未来は読書にかかっている

 小学校の通信表に「読書活動」の欄を作る。(齋藤孝氏の案)これに
 ゜自分が思いつけなかったのが悔しい」と言っている。

 敢然と言い切る論調にただ頷かされる。

 解説で齋藤孝が「ああ、この人に、文部大臣になってほしい」
 「この本は、日本人の誰もに読んでもらいたい本だ」と言っている。
 全くその通りである。
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 内容(「BOOK」データベースより)
 国家の根幹は、国語教育にかかっている。国語は、論理を育み、
 情緒を培い、すべての知的活動・教養の支えとなる読書する力を生む。
 国際派の数学者だからこそ見えてくる国語の重要性。全身全霊で提出
 する血涙の国家論的教育論「国語教育絶対論」他、ユーモラスな藤原
 家の知的な風景を軽快に描く「いじわるにも程がある」、出生地満州へ
 の老母との感動的な旅を描く「満州再訪記」を収録。 

遥かなる

ケンブリッジ
 

★★★

 この方の著作もいつの間にか5冊目。
 読者を巧みに惹きつける文章、ユーモアから、
 「この方は本当に理系、それも数学者?」
 と疑った時もあった。
 しかし、この本を読んで紛れもなく数学者だとわかった。
 ケンブリッジで出会った数学者の名前や理論が次々と出てくるのである。

 イギリス人に奥深くあってぬぐい去れないレイシスト(人種的偏見)。
 次男が学校で殴られたこと。それらに敢然と立ち向かう「正彦」は逞しい。
 殴られたら殴り返せ・・。今回はこの説教が通じなかったが、校長に談判
 に行く姿が良い。

 イギリス人は気取っているわけではなく実は内気だから・・・。
 日本はかつてイギリスが歩いた道を歩んでいる。そして、現在のイギリス
 は、日本がいつか歩むであろう道を歩んでいる。2年間、イギリスで暮らし
 イギリス人を見た筆者の鋭い指摘と温かい親近感に満ちている。
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 内容(「BOOK」データベースより)
 「一応ノーベル賞はもらっている」こんな学者が濶歩する伝統の学府ケン
 ブリッジ。家族と共に始めた一年間の研究滞在は平穏無事…どころでは
 ない波瀾万丈の日々だった。
 通じない英語。まずい食事。変人めいた教授陣とレイシズムの思わぬ
 噴出。だが、
 身を投げ出してイギリスと格闘するうちに見えてきたのは、奥深く美しい
 文化と人間の姿だった。感動を呼ぶドラマティック・エッセイ。 


 
 

 


 末國 善己
    


1968年、広島県生まれ。明治大学卒。
     専修大学大学院博士後期課程単位取得中退。
  文芸評論家。
  時代小説・探偵小説を中心に評論、復刻活動を行う。
 時代小説で読む

日本史

 歴史上の人物が、時代の変化によって評価が変わることに言及している。
 亡くなって間もなくは全く話題にもならないが、その後、本に書かれたり、
 歌舞伎や見世物に取り上げられたりしたために一躍有名になった者など。
 明治維新後、評価されなかった新撰組、会津藩士。
 太平洋戦争の前後の世相を反映して人物の描かれ方が異なること。
 坂本竜馬は、評価する人物が出てこなかったら、二流の志士に過ぎなか
 った・・。
 各人物についての著作が多数紹介されていて、どういう本を読めば良い
 のか参考になる。
---------------------------------------------------------
内容(「BOOK」データベースより)
 坂本龍馬や信長・秀吉・家康、新選組に忠臣蔵など、日本人の精神形成に
 多大な影響を与えてきた歴史上の人物・事件がどのように小説化されてき
 たか分析し、日本人の歴史観の成り立ちを浮き彫りにする快著。 

 
 


  


 天木 直人
    


1947年 山口県下関市生まれ。京都大学法学部入学。
1969年 外交官試験に合格後、大学を中退。
     上級職として外務省に入省。
     中近東アフリカ局アフリカ第2課長、内閣官房内閣安全保障室内閣審議官、
     マレーシア公使、オーストラリア公使、カナダ公使、デトロイト総領事、
     レバノン日本国特命全権大使。
2003年に外務省を実質的な解雇処分。
 主な著書
  「マンデラの南アフリカ共和国南ア 日本の対応」
  「外交力でアメリカを超える 外交官がたどり着いた結論」
  「怒れ、9条! - 憲法9条こそ最強の安全保障政策だ」
 さらば外務省!

 私は小泉首相と
 売国官僚を許さない
 

★★★






























 

 久しぶりに小説以外の本を読んだが、小説以上の読み応えを感じた。
 外務省の内実を暴露した衝撃作である。
   (2003年の発行なので今頃読んでいるのは時代遅れではある。)
 内容紹介に詳しく載っているので詳細は書かないが、官僚の無自覚性、
 国のために尽くすという心構えも気概もない・・・それが余すところなく強
 調されている。必読の書である。
 
 筆者の訴え
  1.歴代首脳の中で小泉首相ほど、政治と国民を舐めてかかった政治
   家はいない。
  2.小泉外交を諌めず、喜ばすだけの外交に明け暮れる外務省の劣化と
   空洞化。
  3.政権交代が可能な政治システムをつくらないといけない。
   官僚組織と政権政党との癒着をなくするにはそれしかない。
---------------------------------------------------------
内容(「BOOK」データベースより)
 「拉致」「イラク」……小泉総理、あなたの外交政策は間違っている!
 外務省には、封印されたままの犯罪がある!
 キャリア官僚が、自分の首と引き替えに、すべてを書いた驚愕の書!

 9月1日(月)午前、事務次官室――
 竹内事務次官
  「あれだけの電報を書くくらいだから、辞職は納得のことだと思う」
 天木前大使
  「辞職するつもりで書いたわけではありません。しかし、辞めろというの
   なら潔く辞める覚悟はありました。あれは小泉首相に対する私の建白
   書です。供覧していただいたのでしょうね」
 竹内事務次官
   「そんなこと僕は知らないよ」
 天木前大使
   「少なくとも、川口大臣にはお読みいただいたでしょうね」
 竹内事務次官
   「それも自分は承知していない」

  私は竹内次官の無責任な態度に唖然とした。都合の悪い意見は無視し、
 情報操作を行う官僚の高慢な態度と、このような官僚の越権を放置し、そ
 の上に乗っかって国家の運命を軽々に左右していく小泉首相の無責任さ
 と危険性こそ、糾弾されるべきなのである。――「まえがき」より

●「本電を総理、官房長官に供覧願いたい」
●拉致問題から眼を逸らすな
●アラブの民を悲しませた小泉外交
●機密費詐取事件の闇
●小泉政権と公明党を直撃する一大スキャンダル
●公金を流用して公邸料理人の給与を払った大使
●外務官僚と政治家たちの恥ずべき行状
●こんな外務省は入らない


 


 佐藤学・勝野正章
    


佐藤学
 1951年 広島県生まれ。学習院大学文学部教授。
       専門は学校教育学。
勝野正章
 1965年 長野県生まれ。東京大学大学院教育学研究科准教授。
       専門は学校経営・教育政策。     
 安倍政権で

教育は

どう変わるか
 

★★★

 

 岩波ブックレット No.854
 興味深く読んだ。
  ・教育の危機
    教育格差  教科書  教育制度  教師教育
  ・教育委員会制度改革の問題点
  ・教師に対する管理強化と教育の国家統制に言及している。

 確かに、教育改革の名のもとに、画一的な教育が行われようとして
 いることを痛切に感じる。
 政治家の考える正義・秩序、道徳観。歴史認識・・・それらを子どもに
 徹底指導しようという目論見がある。
 教育はつまるところ、思考力・判断力・実行力を育てるものであり、固定
 化した認識を押し付けるものではない。(基礎・基本の習得は大事。)
 平和主義、民主主義を尊重する教育を願ってやまない。
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内容紹介・内容(「BOOK」データベースより)
 安倍政権は教育を重要施策として位置付け、いじめ対策を入り口とした
 道徳教育の徹底、学力向上策、教師への締め付け強化、教育委員会
 制度の改変など、現場への影響が少なくない改革メニューを揃えている。
 教師たちの信任が厚い教育学者二人が、それらの危険性と、いま真に
 必要な改革は何かを考察する。 

 教育を重要施策として位置づける安倍政権は、日本の教育をどう変える
 のか。道徳教育の強化、学校週6日制の導入や6・3・3・4制の見直し、
 教師に対する管理強化、教師教育や教育委員会制度の改革など、その
 個々の政策の危険な本質について、教育学の専門家の立場から検証
 する。 


 


 渋谷 申博
    


1960年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒
 著書 「六大宗派でこんなに違うお葬式のしきたり」
     「面白いほどよくわかる密教」
     「面白いほどよくわかる神事・仏事のしきたり」
 

図解

知っているようで
意外と知らない

日本の名僧二十人

 

 これまでの知識を整理できるという点でよかった。
 よくわからなかった僧もあった。

  夢想礎石・・中国の僧かと思っていたが、伊勢の生まれ。
        晩年(建武の新政・室町)に活躍した人物。
        禅僧で作庭にも力を尽くした。        
  隠元・・中国・明から来日。黄檗宗の祖。「念仏禅という浄土宗
      にも似たものであったこと。
  白隠・・江戸自体中期。公案で臨済宗を広めた中興の祖。
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内容紹介・内容(「BOOK」データベースより)
 天台宗の開祖・最澄と真言宗の開祖・空海の意外な関係とは?
 仏教の改革者・法然は女性の救済者でもあった?
 「悪人こそ救われる」は親鸞のオリジナルではなかった?
 臨済宗の開祖・栄西が密教僧としても活躍していた!?
 曹洞宗の開祖・道元は禅宗と呼ばれることをなぜ嫌悪した?
 たび重なる弾圧にあっても日蓮はなぜ他宗批判を繰り返した?
 一休さんの「ひと休み」は公案に対する見解だった!?
 波瀾万丈に満ちた生涯を送った名僧二〇人の意外な一面から、
 いまに生きる者にも光を与えるその教えまでがわかる。 


 


 蓮池 薫
    
1945年 新潟県柏崎市出身。新潟産業大学専任講師。
1978年 中央大学法学部3年在学中に拉致され、24年間
      北朝鮮での生活を余儀なくされる。
2002年 10月15日 帰国。中央大学に復学。
2005年 新潮社から初の翻訳書「狐将」を刊行。
2008年 中央大学を卒業。
2009年 「半島へ、ふたたび」で新潮社ドキュメント賞受賞
     「私たちの幸せな時間」「トガニ」など訳書多数。

 著書 「蓮池流韓国語入門」
     「夢うばわれても」などがある。

 

 拉致と決断
 
 

★★★

 これは必読の書である。
 共産主義國・北朝鮮の生活実態を知る貴重な本である。
 「真実をすべて語っているわけではない、語られないことが数多く
  ある・・・」と、思われる。当然である。
 しかし、ここに記載されている北朝鮮の人々の暮らし、行動、それは
 事実の一端であるのは確かである。
  ・きちんとした食事ができることが最大の夢であり目標である。
  ・食料が多大に捨てられる日本は、重大な犯罪を犯している・・。
  ・広場で・・本当に粗末な物しかないのに語り合い、、踊る人もい
   る。
  ・それぞれ監視態勢下にある。
  ・貧しく自由のない生活・・それが当たり前だと思って疑問を持た
   ない。それ以上の生活を知らない。求めようもない。
  ・スポーツ・・負けることは許されない。
  ・戦闘を常に意識した生活。
  ・格差の存在。自由に物を売ろうとする人々。
 
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内容紹介・内容(「BOOK」データベースより)
 監視下の生活、偽装経歴、脱出の誘惑、戦争の恐怖、飢餓と配給、
 電撃帰国の真相……
 「北」での24年間を初めて綴った、迫真の手記! 感涙のドキュメント。 

 


 竹村公太郎
    
1945年生まれ。東北大学大学院(土木工学)卒業。
1970年 建設省に入省。(国土交通省)退官まで。
 主な著書
  「日本文明の謎を解く―21世紀を考えるヒント」
  「土地の文明 地形とデータで日本の都市の謎を解く」
  「幸運な文明―日本は生き残る(PHP研究所)」
 

 土地の文明

 地形とデータで
 日本の都市の謎を解く
 
 


★★★

 これは興味深い一冊である。
 日本史を視点を変えてみることの必要性を感じさせられた。
 
 ・皇居の正門は半蔵門

 ・赤穂浪士の討ち入りはなぜ成功したか
  吉良邸移転
  麹町(直参・旗本が守る一帯)に赤穂浪士が潜伏

 ・北海道 2000年遅れた弥生時代
  石狩川・・執念のショートカット 泥炭層を流し去る

 ・頼朝が鎌倉に幕府を開いたのは
  権力が権威と別れた  疫病という敵

 ・田植えは胸まで浸かるもの
  信濃川と新潟  治水のもう一つの物語

 ・京都・滋賀
  文明の中心は交流  交流軸は栄える

 ・奈良
  ホテル・旅館の客室が日本一少ない
  京都へ首都移転  千年の永い眠り
 ・皮膚感覚の街・大阪

 ・都市の再開発が人々を救う・神戸
  街路は人々を守る

 ・広島・最後の狩猟民族

 ・漂流する人々の終の列島・巨大都市・福岡の誕生

 ・遷都 首都移転が避けられない時
  平安遷都  関西を嫌った家康
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内容紹介・内容(「BOOK」データベースより)
 地形とデータにもとづいて、大阪の五・十日渋滞など国内11都市の
 謎を解き明かし、日本人と日本文明の本質を炙り出す野心作。
 忠臣蔵は、徳川幕府の吉良家への復讐劇であった。
 地図を見るとそれがわかる。
 ▼まず、皇居すなわち江戸城の正門は、一般的には「裏門」である
  と言われている半蔵門である。江戸の古地図や、半蔵門周辺の
  地形を考えればそうとしか思えない。いっぽう赤穂浪士たちは、半
  蔵門周辺にまとまって潜伏していた。そこから見えてくる真実は…
  後は、本書を読んでいただきたい。
 ▼著者の竹村公太郎は、地形や気象、下部(インフラ構造)から、
  日本の各々の土地の謎を具体的に解き明かしてゆく。歴史文献だ
  けでは決してたどり着けない真実、そして日本人と日本文明の本
  質があぶりだされる興奮の快著である。
  北海道、東京、鎌倉、新潟、京都、滋賀、奈良、大阪、神戸、広島、
  福岡、これらの土地について少しでも興味がある人、いや、日本に
  関心がある人なら、本書によって今までにない知的興奮を得ること
  ができるだろう。特別編として、「遷都」「ソウル」の章も収録した。 


 
 

 

 荒俣 宏
    
1947年 東京都出身。慶應義塾大学法学部卒。
      日魯漁業退社後、翻訳、雑誌の編集などを手掛ける。
      博物学者・図像学研究家・小説家・収集家・神秘学者
            妖怪評論家・翻訳家・タレント・・・多彩な方面で活躍。
1987年 「帝都物語」で日本SF大賞受賞。
1989年 「世界大博物図鑑 第2巻 魚類」でサントリー学芸賞
 

 すごい人のすごい話
 
 

★★★

これは読みごたえがあった。
荒俣さんが、諸分野の第一人者や経験者と対談。その内容を記録した
もの。たくさんの話があったが心に残ったのは次のような話。
 竹村公太郎さんと楽しむ土地からの発想
 西成活祐さんと体を張って実験する渋滞学
 高田礼人さんと追跡する「変わり者」ウィルスの戦略
 板見さんと検証するハゲの噂
 林公義さんと推理する天皇陛下の自然学
 船曳建夫さんと聞きほれる演歌の真髄
 早坂暁さんと白装束でたどる死出の旅路 
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内容紹介より
 荒俣宏と15人の賢者たちの“元気の出る歓談"

 荒俣宏氏が、どうしても話を聞いてみたかった15人の「すごい人」たち。
 渋滞、演歌、建築、オランウータン、死……生涯のテーマを持ち、探究
 の道を行く賢人たちの口から語られる「すごい話」の数々には、荒俣氏
 も「聞けば聞くほどよく分かる」と思わず脱帽。
 自ら考案したやり方でもって問題を読み解く15人の賢者たちと荒俣氏の
 “元気の出る歓談"は、暗い話題の多い昨今の日本を照らす一筋の光と
 なり得る――「生の言葉」が詰まった一冊。 


 
 

 

 藤田 湘子(しょうし)
    
大正15年 小田原市生まれ。
昭和18年より水原秋櫻子に師事。「馬酔木」に投句。
      同誌同人を経て、32年より編集長。
昭和39年 「鷹」を創刊、主宰。

   句集に「途上」「一個」「黒」ほか。
   評論集に「水原秋櫻子」「俳句全景」ほか
   入門書に二十週俳句入門」「実作俳句入門」がある。

 

 俳句作法入門

★★★

 時に俳句、短歌を作ってみたいと思うことがある。
 しかし、言葉を考えているうちに行き詰り・・才能がないと思って諦める。
 そんな感じだった。
 1、2句できたとしても長続きしないのである。
 また、新聞や雑誌に投句されているものを見ても、さほど良い出来栄え
 だと思わないことが多かった。

 この本には筆者が選者として見た俳句が数え切れないほど掲載されて
 いる。非常にわかりやすい。入門書として一級品である。
 図書館から借りているので期間が過ぎれば返却しないといけない。
 この本を購入して、しっかり読み込めば俳句が作れるかもしれないが・
 ・・。
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内容紹介より
 句をつくるさい、無理なことばづかいをしない、陳腐な比喩は使わない、
 感じたことを自分のことばで表現する。
 投句欄の選評をもとに、実作に則して作句のポイントを平明に解説、指
 導する。 


 
 

 
 

 これからどうする――未来のつくり方
    
 

 岩波書店編集部

★★★

 図書館から借りた本なので、あちこち拾い読みをした。
 憲法9条、改正などにかかわる問題、歴史の進む道・・
 教育(不登校、教員の教師く力の向上、学力)なども興味深かった。
 一人が2ページ弱を執筆。短いが核心を突く内容である。
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Amaznのページから引用した「目次」です。

1 私たちは,これから
 柄谷行人、緒方貞子、坂本義和、テッサ・モーリス‐スズキ、澤地久枝、三谷太一郎、内田樹、
 加藤典洋、上野千鶴子、大澤真幸、養老孟司、蓮實重彦、山内昌之、船橋洋一、色川大吉、
 奥平康弘、長谷部恭男、宮田光雄、松尾尊、小森陽一、岩田靖夫、三島憲一、森まゆみ

2 〈3・11〉は終わっていない
 赤坂憲雄、山折哲雄、外岡秀俊、若松英輔、河田惠昭、伊東豊雄、戸羽太、加瀬和俊、菅野義樹、
 鎌田實、明石昇二郎、嘉田由紀子、鎌田慧、田坂広志、金子勝、今中哲二、伴英幸、飯田哲也、
 三浦哲哉

3 政治を根底から問う
 佐々木毅、山口二郎、杉田敦、加藤節、井上達夫、大山礼子、筒井清忠、後藤謙次、原武史、
 片山善博、片山健也、國分功一郎、今井一、半田滋、豊下楢彦、鹿野政直、我部政明、高橋哲哉、
 仲里効、内田貴、 山口厚、指宿信、江川紹子、土井香苗

4 東アジアに生きる,世界に生きる
 姜尚中、谷口誠、田中均、孫崎享、最上敏樹、倉沢愛子、朴裕河、岡崎暢子、和田春樹、国分良成、
 天児慧、梶谷懐、新井一二三、竹中千春、小杉泰、酒井啓子、臼杵陽、藤原帰一、宮島喬、古矢旬、
 西崎文子、石郷岡建、狐崎知己、松本仁一、川崎哲

5 経済・労働・産業をどうする
 伊東光晴、橘木俊詔、神野直彦、間宮陽介、服部茂幸、齊藤誠、諸富徹、高橋伸彰、水野和夫、
 浜矩子、川北隆雄、三木義一、玄田有史、濱口桂一郎、熊沢誠、川田達男、福原義春、上村達男、
 新宅純二郎、徳大寺有恒、西辻一真、勝川俊雄、坂 茂、菅裕明、宮本憲一、植田和弘

6 科学・技術の明日
 池内了、佐藤文隆、米沢富美子、長谷川眞理子、大木聖子、畑村洋太郎、海部宣男、竹内啓、
 山崎直子、水谷仁、大栗博司、倉谷滋、柳川弘志、山内一也、松沢哲郎、安西祐一郎、井村裕夫、
 香川知晶、新井紀子、鷲谷いづみ、村井純

7 文化・芸術のゆくえ
 亀山郁夫、沼野充義、赤川次郎、佐伯泰英、長尾真、鷲尾賢也、永江朗、三浦雅士、青柳正規、
 岡乾二郎、北川フラム、樋田豊次郎、渡辺保、三浦基、竹山洋、田沼武能、李鳳宇、富田克也、
 矢野誠一、コシノヒロコ、高取英、上野俊哉、佐山一郎、西村欣也

8 家族と教育の将来像
 山田昌弘、落合恵美子、白波瀬佐和子、信田さよ子、春日キスヨ、普光院亜紀、暉峻淑子、佐藤学、
 勝野正章、冨永良喜、土井隆義、尾木直樹、貴戸理恵、北原和夫、西村和雄、鳥飼玖美子、
 成田龍一、苅谷剛彦、本田由紀

9 私たちの社会はどこへ
 佐藤俊樹、想田和弘、湯浅誠、星野智幸、赤石千衣子、仁平典宏、村木厚子、石川准、
 佐藤幹夫、結城康博、千田有紀、清水睦美、小池振一郎、岩井信、河合幹雄、香取章子、
 平山洋介、島村菜津、池上彰、天野祐吉、久米宏、三浦俊章、田中伸尚、桂敬一、飯田譲治、
 白石草、角田健司、浅野智彦

10 生き方の新しい形
 平野啓一郎、平田オリザ、原研哉、香山リカ、辛淑玉、北原みのり、浜島裕英、辰濃和男、
 関川夏央、田中優子、真山仁、宇野重規、伊藤公雄、川口有美子、沖藤典子、高橋卓志、
 内海健、新宮一成、栗原彬

   
 
 

 
 

 萩原 朔太郎
    
猫 町
 若いころから傾倒している詩人である。
 生家や離れ、詩碑などのある前橋には何回か行っている。
 萩原朔太郎の散文詩風な小説(ロマン)が図書館にあったので
 借りてみた。(整理ボランティアの時に見つけた)

 内容は詩風と似ている。
 方角を知覚する三半規管の疾病によって、街がまるで違った景色
 に見える・・・。「この偶然の発見から私は故意に方位を錯覚させて
 しばしばこのミステリーの空間を旅行し廻った・・・」
 北越のある町で、幻燈をみるように・・・。
 街全体がしっとりとしていて、閑雅なな音楽も聴こえるが、人出が
 あるのにひっそりと静まりかえっている。
 そして唐突に全体の調和が破られると、猫の大集団が・・・。

 意識を回復すると、平凡な商家が立ち並びどこの田舎にもあるよ
 うな白昼の乾いた街・・・。

 アマゾンのカスタマーレビューでは読んだ人5人全員が評価5だ
 った。
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 内容紹介より
 猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかり。いつもの角を曲がったら、
 そこは夢現・無限のめまい町。
 ノスタルジックでモダーンなイラスト紀行。猫の視線で描かれ
 るイラストが不思議な旅の世界に誘う。 


 
 

 
 

 池上 彰
        
1950年 長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
      NHK入局。地方記者から科学・文化部記者を経て、報道局記者。
2004年 4月より11年間「週刊こどもニュース」の「お父さん」役として、
      子供から大人までが理解できるよう、さまざまなニュースをわかり
      やすく解説、人気を博す。
2005年 3月、NHKを退局、以後フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、
      雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。
2012年 2月から東京工業大学リベラルアーツセンター教授に就任、理系
      の大学生に現代史などの「教養」を教える。
      ジャーナリスト・東京工業大学リベラルアーツセンター教授。
教養のススメ

★★★

 小説ばかりでなく、幅広くものを考えさせてくれる本も読まなければ
 ・・・と思わせてくれる一冊。
  ・教養について知っておくべき12の意味
  ・ニッポンが弱くなったの、「教養」が足りないからです。
  ・哲学の力で、公共事業の問題も解決できるのです。
  ・ニッポンの会社の神さま仏さまとオウム事件と靖國問題と
  ・人間は「ひと」であるまえにいきものです。
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 内容紹介より
 教養を身につけるとは、歴史や文学や哲学や心理学や芸術や
 生物学や数学や物理学やさまざまな分野の基礎的な知の体系を
 学ぶことで、世界を知り、自然を知り、人を知ることです。
 世界を知り、自然を知り、人を知る。すると、世の理が見えてきま
 す。そうなってはじめて、たとえばビジネスの専門分野―それは
 ITかもしれませんし、金融かもしれませんし、メディアかもしれませ
 んし、製造業かもしれませんし、サービス業かもしれません―で、
 これまでにない新しい何かを生み出すことが可能となる。
 なにより、そのひとの人生そのものが豊かになる。学ぶことそれ
 自体が楽しくなる。
 教養は、一生かけて身につけ続けて、絶対に損のないものです。
 しかも、いつからだって学ぶことができる。
 教養がいかに「使える」ものなのか、教養がいかに「人を知る」た
 めに不可欠なものなのか、教養がいかに「面白くてたまらない」も
 のなのか。私の仲間の先生たちと一緒に、考えていきましょう。 

 

 
 

 清野 利保
        
1926年 青森県藤崎町生まれ。弘前中学校(現弘前高校)、
      青森師範学校卒。
      歌集に『白鳥の声」「黄なる人形」「桃太郎異聞」なでがある。
      現在「音短歌会」に所属。「つがる野短歌会」の代表者。
エッセイ集

さくら さくら

★★★

 元上司である。
 この本を図書館で偶然見つけて読んでみた。
 (県立図書館のボランティアで図書整理をしていたのが幸運だった。)
 驚いた。
 郷土の歴史についての記載も多彩であり、新たな視点を与えられた。
 地元の藤崎をはじめ地名の由来、藤崎安藤(安東)についての考察
 など、多彩な資料をもとに自論を述べている。
 専門の文学、教育についての熱い想いも伝わってくる。良作である。
  ・文学の周辺で
  ・歴史の周辺で
  ・教育の周辺で
  ・社会思想の周辺で
 海軍に席を置き軍国主義の中で育った経験から、徹底的な平和主
 義を持っておられる。エッセイも戦後の日本が目指した方向の間違
 い、再軍備への危惧で貫かれてる。
 教育においては、国民一人一人を大切にする政治が行なわれてき
 たかと問いかけ、綴り方教育に力をいれた日々が描かれている。
  
 
 

 

 日本博学倶楽部
        
歴史の意外な結末 

事件・人物の隠された

「その後」
 

★★★

 これは非常に面白かった。
 すでに知っているエピソードもたくさんあったが。
 130ほどの「意外な結末」が載せられている。
 ------------------------------------------------
 内容紹介より
 教科書などで読んで誰でも知っている歴史的事件の数々。
 だが、知られているのは、事件のあらましや、それに関わっ
 た人物の断片的な経歴にすぎないことが多い。
 例えば、エレキテルなどで有名な平賀源内が、殺人を犯し
 て獄死していることをご存じだろうか。
 清少納言や小野小町が、不遇な晩年を送ったことはあまり
 知られていない。
 本書は、歴史上の有名な事件や人物の「その後」を辿り、
 意外な展開、意外な人生のドラマを紹介。
 また、一般に知られている話が事実とは違うものや、真偽
 のほどはわからないが興味深い異説も多数収録した。
  「坂本龍馬亡きあとの海援隊」
  「生類憐みの令廃止後のお犬様」などの意外な事実から、
  「明智光秀は生き延びて家康の参謀天海和尚になってい
  た」
  「ジャンヌ・ ダルクは復活して二児の母になっていた」
 などの信じがたい説まで、日本史・世界史の教科書では教
 えない話が満載。歴史通を自称する人も思わずうなる一冊。 

  

 

 佐川 芳枝
                
1950年 東京都江戸川区生まれ。市川市昭和学院高等学校卒。
     銀行、社団法人信託協会に勤務。
1975年 名登利寿司の主人と見合い結婚。
     著書に「寿司屋のかみさん おいしい話」
         「江戸前寿司への招待」
  
寿司屋のかみさん

 うちあけ話
 

★★★

 これは寿司好きの人には必読の一冊か。
 30ちょっとの興味深い話が書き連ねられている。
 ブックオフで買ったので、図書館に「返却」の必要なし。
 手元に置いて、折に触れて読み返したい本である。
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 内容紹介より
 寿司につられて寿司屋のかみさんになって二十年。カウンターの内側からみた、
 とっておきの話。
 寿司の値段、賞味期限、符丁のあれこれ、残った酢飯や魚のゆくえ、盛りこみと
 別盛り。
 仕込みの話など、春夏秋冬寿司の「旬」を味わうためのとっておき話、こっそり教
 えます。
 なにかと誤解の多い寿司屋のホンネを飾らず気取らず綴る。
 寿司屋はこわいという方、このおいしい一冊で楽しく参りましょ。