海南市が直面する問題に対する私の考え


       @ 市役所移転について

       A 国民健康保険料の値上げについて

       B 家庭ごみの有料化について
     


@ 市役所移転について


 市役所移転に反対します。
 反対の理由は3つあります。
 第1の理由は、市役所の移転は、中心市街地の決定的な衰退要因となると考えるからです。
 急激な人口減少と少子高齢化が進行する本市においては、コンパクトな街づくりに努め、中心市街地に、公共施設、市民会館、図書館などの文化施設、子ども園などの子育て施設、病院や老人ホームなどの医療介護、福祉施設を集中し、全体を持って活性化に努めるべきである考えます。

 第2の理由は、移転が津波対策を主たる理由とするならば、まさに海に隣接する消防署や警察署の移転、市民の安全確保が先であると考えるからです。
 市民の避難路の拡幅整備、火災の延焼防止対策が優先されるべきであり、250億円をかけた津波防波堤の建設が進んでいる中、1千年に一度の可能性である大津波に備えて、内陸部に庁舎を移転することは、古来より自然の脅威とも共存してきた先人のまちづくりを無にしてしまうのではないのでしょうか。
 耐用年数に達していない市役所よりも、耐用年数を20年以上超えた木造平屋の市営住宅は、なぜ後回しなのでしょうか。
 人口密集地である西部沿岸地域の市民の安全よりも優先するのでしょうか。

 第3の理由は、財政的に問題があると考えるからです。
 中心市街地の地価は基準地価で、直近10年で45%下落しました。
 市役所の移転後は、45%程度の下落ではすまないでしょう。
 一方で、移転地での地価は、その立地的理由で上昇がほとんど見込めません。
 平成24年の固定資産税の評価替え以来、劇的緩和措置を飲み込み、地価の下落は固定資産税にダイレクトに跳ね返るようになりました。これからは、地価の下落イコール、固定資産税の減収となります。
 さらに、海南市国保税の資産割にも直結し、国保料のさらなる値上げにつながります。

 海南市の9月1日の推定人口は52,943人となり、ついに53,000人を割り込みました。国立社会保障人口問題研究所の予測では、海南市の人口は2040年には、35,232人となります。
 2010年比で、34%も減少します。現役世代、生産年齢人口では、実に45%も減少します。一方で75歳以上の人口は増加し続け、社会保障費は増加。
 現役世代の負担は限界を大きく超えます。
 現在でも、海南市国保料は、市民にとって限界です。
 年収1,556,700円の借家住まいの2人世帯で、136,800円にもなります。

 今、海南市において、必要なことは、市役所の移転と建て替えにまい進するのではなく、まちおこしと市民生活の防衛に貴重な予算を費やすべきであると考え、市役所の赤坂への移転に反対します。


A 国民健康保険税の値上げについて

海南市国民健康保険税条例の一部を改正する条例に反対の討論を行います。
 海南市の市民、国民健康保険の被保険者は、経済的に非常に苦しい状態です。被保険者のうち、農業従事者、自営業者は合わせて14.7%にしかすぎず、そのほとんどは非正規雇用の方々と年金暮らしの方々です。
 具体的には1万6,850名の被保険者のうち、年間所得が300万円以下が89.62%、200万円以下でも81.23%です。現状でも国保税を軽減されている世帯の割合は56.16%、半数以上に上ります。経済的に苦しいからこそ軽減されていることを忘れてはいけません。
 今回の改正案では、国保税は所得割で1.4%に実質14.4%の値上げ、さらに均等割で2,100円、平等割で1,000円、限度額で4万円の値上げになります。
 わかりやすいようにモデルケースで考えると、夫婦と子供1人の世帯で、不動産資産がない場合で、給与収入が240万円の場合は、2万3,700円増の219,500円となり、12.1%もの増税となります。
 もっと年収が低い世帯で考えてみると、子供のいない夫婦2人世帯で年収が1566,700円の場合、1万800円増の136,800円となり、8.57%の増税となります。年収約150万円の2人世帯で年間136,800円もの保険税を納めなければならないんですよ。借家、アパート代や光熱費、食費などの生活費を考えれば、余りに大きい負担ではないのでしょうか。
 この値上げの結果、1世帯当たりの調定額、いわゆる平均国保税額は165,151円にもなります。和歌山県下の市で有田市に次いで2番目に高い税額となります。
 県下で2番目に高い国保税ですが、さらに問題なのは保険関連サービスが国保税の高さに見合っていない点です。保険関連サービスも残念なことに県下で最も低い市の一つです。
 子供医療費の無料化の年齢範囲は、有田市と並んで県下他市や周辺自治体に比べても最も低い水準となっています。中学校卒業まで無料化されている紀美野町と比べると残念な限りです。県の施策から所得制限を外しただけの小学校入学前までしか無料化されていない海南市に対して、他市は小学校卒業まで入院・通院の双方を無料化しているか、少なくとも入院は無料化しています。
 繰り返しますが、今回の改正は、市民サービスが最も低いのに、有田市を除いて保険税が最も高くなるのです。現状の保険税でも高い。払い切れない市民がたくさんいます。2割弱の世帯、18.68%、1,769世帯が現状の保険税額でも未納です。調定額、保険税総額約14億円のうち1億1,5464,513円が未納なのです。
 保険税が大幅に上がれば、当然に保険税を払い切れない市民がふえます。年収150万円で借家、アパート暮らしの夫婦に「あと1万800円余分に払ってください。8.57%の増税です。総額136,800円払ってください」と、お願いできますか。退職後の年金者と非正規雇用の方々がほとんどなんですよ。苦しい生活をする彼らに今回の大幅な値上げを私は説明ができない。
 保険税額は自治体によって大きな差があります。全国的には、一般会計からの繰り入れを十分に行い、低い保険税で抑えている自治体がたくさんあります。海南市においては一般会計からの繰り入れが少な過ぎます。
 保険基金安定繰入金、職員給与費等分、出産育児一時金、財政安定化支援分、福祉医療波及分など国から交付税措置がされている分や県から措置されている分など当然繰り入れられる分を予定されている分を除いた純粋な一般会計からの繰入額、福祉医療波及分は2,7078,000円、0.36%にしかすぎません。余りにも少ないのではないのでしょうか。
 海南市は高齢化率が約30%です。国立社会保障・人口問題研究所によると、2020年には高齢化率は37%、2035年には41.2%にもなると予想されています。高齢化率が30%の現状で国保税を機械的にこんなに上げて、高齢化率がはね上がる今後はどうするつもりなのか。行政改革を行い、得た資金で一般財源の大幅な繰り入れを行い、値上げ幅を可能な限り圧縮すべきであること訴え、議案第10号に対する反対討論といたします。



B 家庭ごみの有料化について

海南市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部を改正する条例についての反対討論。

反対の理由は、5つです。

1に、市当局が示した有料ゴミ袋導入の5つの目的に合理性がないと判断したこと。

2に、ゴミの有料化が、財政的に赤字になると判断したこと。

3に、市民経済にマイナスの影響を与え、小売業者に深刻なダメージを与えると判断したこと。

4に、近い将来の地場産業の廃棄物処理費用の値上げにつながる可能性が高いと予測されること。

5に、有料化の前に行われるべき、新ゴミ処理場の建設コスト、ランニングコストの削減、人件費総額の削減が見られないこと。

以上5つが、反対の理由であり、

条例改正が、可燃ゴミの更なる少量化につながり、地球温暖化対策という正当性に反しても、現在と将来の市民生活を第一に考えた場合、反対せざるを得ないと判断しました。

海南市当局が提出した有料化ゴミ袋導入の5つの目的に合理性が無いと判断した根拠を説明します。

 『排出抑制、減量化』の目的に関しては、平成17年から平成22年の5年間にかけて、焼却ゴミの処理量は19.3%減少しています。海南市が掲げている第1次総合計画の市民一人当たりの年間ごみの排出量の目標値は既に2年前倒しで達成されています。

平成19年作成の海南市一般廃棄物処理基本計画の減量目標値も平成21年に達成されています。

 人口の急激な減少、製造業、商業の急速な衰退により、ゴミの量は減少の一途にあります。市当局が掲げる20%の減量目標も、有料化なしで容易に達成されるでしょう。

 また、有料化の影響によるゴミの減少は1年から3年間だけの効果でしかないことは、既に実施されている全国の他の自治体の結果から明らかです。

 有料化の1年から3年後には、リバウンド効果により、ゴミ量は有料化されなかった場合と同じ量に戻ることが多くの有料化した自治体が報告しており、市当局も認めています。

 よって、『排出抑制、減量化』の目的は妥当ではありません。

 次に『リサイクルの促進』の目的に関しては、第1次総合計画の再資源化されているゴミの割合の目標値13.0%も、現在12%で、あと、わずか1%となり、平成17年から22年の5年間で40.4%の資源化率の上昇の結果からみて、目標年度内の達成は確実です。

さらに、廃品回収の民間業者の圧迫となります。民間業者、自治会、親子クラブなどが行っている資源ごみ回収の取り組みに援助することによる回収率の増加策の方が、はるかに経費が、かかりません。

 よって、『リサイクルの促進』の目的は妥当ではありません。

 次に『費用負担の公平性の確保』ですが、市民から「隣の可燃ごみは、我が家より多いから、不公平だ!ゴミの量に応じて負担額を変えて有料化して欲しい」などの公平性に疑問を呈する声は、聞いたことがありません。

 逆に、既にゴミ有料化を導入している橋本市では、平成21年からは、1人から4人世帯で20枚、5人以上の世帯で30枚のゴミ袋の無料支給を始めました。群馬県明和町、岐阜県北方町も同様に一部無償化にハンドルを切っています。

全国の市区の有料化実施率は平成21年10月現在、52.2%。

約半数の市区が、今も無料を維持しています。

 次に『ゴミ処理費用の軽減』の目的に関しては、有料化による可燃ゴミ処理の収入増は市当局によると年間3千万円にしかすぎません。収入増の3千万円に対して、市の計画では資源ごみの回収に新たに3台の車が購入され、4人の職員が新規採用されます。支出の増加は、指定外ゴミ袋を使用された場合の再回収費用、激増すると予測される不法投棄の回収費用、不法投棄を予防するためのパトロール費用、行政事務の増加など、行政全体でみれば、増加経費の方がはるかに大きい。

 よって、『ゴミ処理費用の軽減』の目的は妥当ではありません。

 次に『家庭系ごみと事業系ごみの区分の明確化』の目的に関しては、家庭ごみの有料化に先駆けて中小零細業の事業系ごみが有料化されました。その結果はどうでしたでしょうか、生鮮3品などの生活必需品を扱う商店を何件も閉店に追い込んでしまいました。閉店に追い込まれた商店の周辺の買い物弱者である高齢者の方々を買い物難民に追い込んだことを反省しなければなりません。商店の減少、ごみ増加を嫌い、仕入れを控える商店の増加により、卸売市場の売り上げは急激に減少しました。市が、結果として負担を押し付けたゴミ処理を卸売市場が肩代わりをしたために、経費が増加しました。そして、海南市の生鮮卸売市場は、今年末での閉鎖に追い込まれようとしています。

 同じ轍をまた、踏むのですか?

最後に、訴えます。

 家庭系可燃ごみの有料化を行うことで、行政コスト増加させ、市民経済に打撃を与えるのではなく。

逆に、生産事業者、生活必需品、生鮮3品を扱う商店など中小零細業者のごみ処理費用を無償化して、海南市経済の活性化、雇用と仕事の確保を図り、ひいては税収の確保を図るべきであると考えます。