■□■かみはし泉は「市町村合併は不良債権処理と同じ」と考えている■□■
(平成14年5月3日付け 産経新聞朝刊「アピール」で発表)

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合併論議が盛んになってきた。平成14年度中に合併合意が出来上がらなければ、その後に続く合併の事務手続の完了が合併のタイムリミットとされている平成17年3月末までに間に合わない。これを過ぎて合併しても合併に伴うさまざまな財政上の恩典にあずかれないことになる。  

しかし多くの自治体の首長や議員は本音のところ「経過措置的な恩典などはどうでもよい。できるものなら今のまま残りたい」と思っている。そこで「合併は強制であってはならない」という自治体側からの大合唱になる。

平成14年4月7日NHKスペシャル「地方発構造改革」に出演した片山虎之助総務長官も「合併を強制する気は毛頭ない」と繰り返し答弁していた。これは半分正しく、半分正しくない。確かに今次の合併には強制的要素はほとんどない。自治体の規模が小さければ小さいほど住民一人当たりの地方交付税が多く交付される交付税算定の基準「段階補正」の是正(これが合併の強制と自治体側から指摘されるものである)は今回、微々たるものにとどまった。しかし政府の本音は合併により自治体の規模を大きくしてから段階補正を本格的に是正するところにある。自治体側はこれを感じとっていて、「合併が強制だ」と非難するわけである。

政府が是か非でも達成しなければならないと考えているのは地方分権ではなく、地方交付税の抜本改革である。過去8年間、政府は景気対策事業を財源も与えないで自治体に起債をさせて奨励してきた。政府はその見返りとして「起債の償還は地方交付税で手当する」と約束して来た。
その結果、地方交付税特別会計の赤字は治癒し難いところまで膨らんでしまった。

政府は今、地方財政赤字の無際的な補填責任から何とか逃れる方法はないものかと模索している。国の許認可権限を放棄してでも、地方の財政赤字をできるだけ地方自身に負担してもらった方が国にとってプラスであると考えるようになった。  合併はまさに不良債権の処理・特殊法人の統廃合と同じく、痛みは本来それを負うべき立場の人々に負ってもらおうという小泉流構造改革なのである。もし平成17年3月までに合併の成果が上がらなければ、政府は次は段階補正の是正を前面に出して合併を求めてくる。それを念頭に合併を議論しなければならない。

 

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