民間企業は雇用方式の柔軟化において努力不足
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多数の皆様からご意見をいただきました
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4月から5月にかけて「日本企業の新卒者採用方式はこれでよいのか?」というチラシを駅頭で配布した。日本の大手企業が新卒採用制を厳格に守ることによって、就職氷河期に就職できなかった若者が、卒業後、正規雇用に挑戦するチャンスを与えて来なかったことの是非を、中高年の皆様に考えていただきたいという趣旨のチラシであった。
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若者はバカか? ひ弱か?
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巷間耳にする「若者の自業自得だ」という意見は極少数であった(このような若者「バカ化」論は、昨年末、日比谷公園に年越派遣村ができたとき、よく聞いた)。
「今の若者は精神的にひ弱である。正規雇用されないからといって、何故、死を選ぶのか?戦争を体験した世代はニコヨンをしてでも生きてきた」という意見もあった。しかし、よく考えてみると、就職氷河期の若者は、ほぼ全員が中産階級の家庭で不自由のない少年少女時代を過してきた。自分たちが大人になったとき両親と同じような人生が送れることに、何の疑いも持ってこなかった。
日本のような中産階級社会で、それから排除された人生を送ることは、中国のように国民の大多数が貧しい社会で貧困生活を送ることより、精神的には、はるかにつらいことを理解する必要がある。
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雇用方式は官庁の方が民間企業より進歩している
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いただいたほとんどの意見は、「終身雇用制は日本人の国民性によく合っており、これが日本企業の生産性を高くしているので、どうしても新卒以外の採用は限定的にならざるを得ない」というものであった。
柏市は本年度より、職員採用において新卒・転職(非正規も含む)の区別をなくし、且、採用の年齢上限を35歳まで引き上げた。これには、就職氷河期において柏市も職員採用をゼロか、ゼロに近い人数に絞った時期があり、その穴埋めをするのに就職氷河期の若者にもチャンスを与えようとの趣旨がある。既に柏市は平成14年から、転職者の一斉試験採用を始め、年齢制限を34歳としていた。昨年度は転職者採用が新卒者採用よりも10名も上回っていた。市川・船橋・習志野市は、今年度より転職者採用の年齢制限を58歳まで引き上げた。
役所のように職員の業績評価を数値化しにくい職場でも、新卒者と転職者の待遇を調整するモデルを開発している。
民間企業であれば、もっと簡単に調整モデルができるはずだ。
昨年来の金融危機は第2の就職氷河期の扉を開いた。第2の就職氷河期が第1期のそれと同じくらい長期化すると仮定すると、今の大学生から小学校の上級生までが、大量に正規雇用の労働市場から排除されることになる。皆様のお子さん・お孫さんも、これに引っかからない保証はない。
大量の若者が未来に希望がもてなくなったとき、この国は滅びる。民間企業もこの国の将来を真剣に考えてほしいと思う。
平成21年6月25日記
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