『後期高齢者医療制度』はそんなに悪いか?
老人医療制度の変遷
から考えてみたい
昭和44年
東京都が70歳以上の老人医療費無料化(美濃部知事)
―→
全国各地で革新首長が誕生
昭和48年
1月
全国一斉に老人医療費無料化(田中角栄首相)
昭和48年
7月
東京都は老人医療費無料化を65歳まで引き下げる
昭和48年10月
オイルショック
( 初めてのマイナス成長 :
老人医療無料化の前途に暗雲!)
昭和56年
第二臨調で老人健康保険制度を提案
昭和58年
同制度施行
以降の老人保健制度は、この3月末まで施行されていた制度なので説明を省略
個別の疑問にお答えします
【Q.1】制度がわかりにくい・・・
→
A.:「老人医療制度のなかった時代」と「老人医療費がゼロの時代」はいずれも制度がわかり易かった。しかし、今
いずれの時代にも戻れないでしょう。
【Q.2】保険料を支払う必要のなかった人にも賦課されるようになった・・・
→
A.:次の2つのカテゴリーがあります。
(1)
これまで子供の健保の扶養家族だった高齢者
→
酷なことであると思います。
但し、扶養家族であったという方の収入は少ないはずですから、70%の軽減措置があり、保険料は微々たるものです。
(2)
国保世帯の非世帯主高齢者 →
さらに
次の2つのカテゴリーがあります
(a)国保世帯に富裕な高齢者がおられる場合
;
国保は扶養の有無にかかわらず、世帯単位で賦課されるところから、裕福な非世帯主高齢者はこれまで国保料を全然払ってこられませんでした。今年から
現役世代以上の所得のある後期高齢者の方全員に、かなり高額な保険料を払っていただくことになります。これは不公平是正という点で、大いに評価すべきではないでしょうか?
(b)夫妻で単一の国保料を払っておられた場合
;
酷なことですが、夫人も個人で保険料を支払うことになります。後期高齢者保険料の軽減措置は、夫人の年金が少なくても、ご主人の年金が多ければ適用になりません。このことが明らかにするところは、後期高齢者保険料は、支払能力のある世帯に賦課するというものです。
上橋の主張
老人医療制度は、自民党と社共連合が死闘をくりひろげた1970年代の地方首長選挙戦略の中で生まれた。田中角栄が老人医療無料化を打ち出したとき、「これは持続しない制度だ」との意見が厚生省内で強かった。しかし、田中角栄は地方首長選挙でこれ以上、社共連合に負けられないということで、美濃部東京都知事の独自施策を横どりした。
老人医療費無料化がスタートした昭和48年の秋、オイルショックでこの制度が持続しないものであることが早くも明らかになった。しかし、既得権化した医療費の無料制度にメスを入れるのには第二臨調を待つ必要があった。
以降の流れは、高齢化の進行に比例して膨張する老人医療費圧縮の試行錯誤である。
各種健康保険の中で、財政が年を追って悪化したのは国保である。国保加入者のうち、無職の割合が昭和40年には6.6%であったものが、平成17年には53.8%に達している。人口高齢化の影響をまともに受けた国保を、保険制度で維持することは、ずだい無理な話なのだが、国民皆保険制度の中で、国保だけを保険から福祉に移すことができるか?・・・その苦しみの中から『後期高齢者医療制度』が生まれた。
抜本的解決は、年金の場合もそうであるように、各種の健康保険を一元化するしかない。しかし、健保組合や公務員共済の恩恵にあずかる現役世代が、それを呑まないだろう。
すると、高齢者医療費の膨張分の負担を高齢者に求めてはならないというのであれば、税金からの投入を増すしかない。今日の国・地方の財政に削減できる歳出はあるか?
ある程度の無駄は削減できても、膨張する高齢者医療費とはケタが違う。消費税率のアップを本格的に議論するときが来たと言える。
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私は『後期高齢者医療制度』を支持しますが、中国に媚びる福田首相の早期退陣を求めます!
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